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松竹映画に出てくる「いいセリフ」をご紹介します。

いいか人間誰しも欠点というものがあるんだよ。

「男はつらいよ 幸福の青い鳥(第37作)」より

かつて世話になった旅役者一座の座長の忘れ形見・美保(志穂美悦子)の世話をすることになった寅次郎(渥美清)だが、まるで娘のように美保の将来を案じる気持ちが行き過ぎて、つい妄想に浸る。その妄想の中で、幸福をつかんだ美穂が旦那のことをまじめ過ぎてつまらないと愚痴った際に諭した言葉。世の大多数の人間が救われるであろう言葉。

その他のちょっと良いセリフ

社長の資格は第一に運の強さ。第二に周りを明るくする性格。

「釣りバカ日誌2(第2作)」より

鈴木建設の後継者についてスーさんが考える経営者の資質。なぜか浮かんでくるのは会社幹部ではなく、ハマちゃんの顔でした。

ハンカチ渡してもいいですか?

「遙かなる山の呼び声」より

北海道・中標津の酪農地帯で、亡き夫が遺した農場を女手一つで営む未亡人・風見民子(倍賞千恵子)とそのまだ幼い一人息子・武志(吉岡秀隆)のもとで住み込み作業員として働く、素性を明かさぬ謎の男・田島耕作(高倉健)。
寝食だけ提供してもらえれば無給でもいいから働かせて欲しいという田島を渋々と雇い入れ、しばらくは警戒心を隠さなかった民子でしたが、息子の武志が田島に懐き、また田島も武志を可愛がっていることや、民子に一方的な思いを寄せる虻田(ハナ肇)が民子に乱暴しかけた際に田島が颯爽と勇躍し虻田を撃退したこと、その復讐にと虻田がゴロツキ三兄弟でやって来たのを軽く返り討ちにし、終いには逆に三兄弟に慕われるようになった田島に心を開き、その朴訥としながらも実直で温かみのある魅力に惹かれるようになっていました。
しかし、身辺に警察の捜査が迫ってきていたことを悟った田島は、民子たちのもとを去る決意をします。2年前、田島は借金苦で自殺した妻を葬式で罵った金融業者を殴り殺し、警察から逃げていたのでした。それを聞いた民子はショックを受けますが、すでに惚れていた田島に居て欲しいとすがりつきます。ですが、その甲斐なく、ついに警察に逮捕された田島は、立ちつくす民子と泣きながら追いかける武志の元から去って行くのです。
このセリフは、ラストシーン、刑が確定し列車で網走刑務所へ護送されている田島を駅で発見した民子が、田島の護送車両に乗り込み隣の席に座り、涙ながらにいつまでも出所を待つと伝えた際に、護送刑務官に言った言葉です。ハンカチの色は、黄色。『幸福の黄色いハンカチ』と同様に映画史に燦然と輝くこの圧巻のラストシーンで、自分(民子)の涙、田島の涙、刑務官の涙、そしてこの映画を観ている我々の涙をもまとめて拭いてくれるような、まるでそんな巨大な黄色いハンカチが存在するような錯覚さえ覚える、圧倒的な映画の力が漲る場面とセリフです。

そりゃ今は悲しいだろうけどさ。月日がたちゃどんどん忘れて行くものなんだよ。忘れるってのは、本当にいい事だな。

「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」より

幼いころ生き別れになった最愛の弟を、ひょんなことで出会った寅次郎(渥美清)と共に探す芸者の浜田ふみ(松坂慶子)だが、弟は病死していた。悲嘆に暮れながらも、弟の婚約者の、結婚を前に相手を亡くした悲しみを思い遣るふみ。そんなふみに、自分は頭が悪いからすぐに色々な事を忘れると卑下しながらも、寅次郎がかけた、慰めでもあり励ましでもある言葉。忘れるという事は人生の知恵でもある、とも聞こえる。

幸せは希望の向こう側にある。

「大怪獣のあとしまつ」より

人類を未曽有の恐怖に陥れた大怪獣が、ある日突然、死にました。国民は歓喜に沸き、政府は怪獣の死体に「希望」と名付け、国全体が安堵に浸ったのです。しかし、安堵も束の間、この巨大怪獣の死体が腐敗による体温上昇で徐々に膨張が進み、ガス爆発の危機が迫っていることが発覚します。大怪獣の死体が爆発し、漏れ出したガスによって周囲が汚染される事態になれば国民は混乱し、国家崩壊にもつながりかねません。そこで、絶望的な時間との闘いの中、国民の運命を懸けて死体処理という極秘ミッションを任されたのは首相直轄組織・特務隊の隊員である帯刀アラタ(山田涼介)でした。このセリフは、ほとんどインポッシブルなミッションに挑むアラタの、諦めない気持ちの力強い表明です。また、先般大怪獣が「希望」ネーミングされた事にも引っかけた、ウィットとユーモアの効いたナイス発言とも言えるでしょう。いかなる無理難題を前にし、どんなに過酷な難局にあっても、このような強い気持ちと余裕を持っていたいものです。

――腹 割かれたくなかったんじゃないの?
――浮いてんだろ?
  梶の横っ面(つら)張るまでは沈まないよ

「GONIN2」より

(劇映画などフィクションの世界では)ヤクザのオーソドックスな死体処理の仕方の一つに、海に沈める、というものがあります。ただし、ただそうする訳ではありません。死体の腹部を裂いて体内のガスを、ある程度手間と時間をかけて、入念に抜くのです。それを怠ると、やがて死体の中でガスが膨張するなどして、せっかく沈めた死体が浮き上がってきてしまうのです。余裕があれば、相当な重量の重りと共に沈める、という場合もあります。
このセリフは、ヤクザの末端組織に属するチンピラの梶(松岡俊介)という男に身も心も許し、運命をも委ね、共に犯罪に手を染めたが、土壇場で裏切られ重傷を負った女・直子(片岡礼子)が、傷が癒えぬままプールを泳いでいた場面で、直子の傷を手当てした蘭(余 貴美子)が心配してかけた言葉と、それに対する直子の返答です。
この短い対話には、先述した恐ろしい死体処理をするヤクザに絶対に捕まらない、殺されない、腹を裂かれない、すなわち「沈まない」という強い意志と、愛し信じていたのに自分を裏切った男に復讐するまでは絶対に死なない、すなわち「沈まない」(重傷を負っているにもかかわらず実際にプールに「浮いて」泳いでいる)というもう一つの強い意志、「沈まない」で生き延びる二つの意志が表現されています。
心身ともに傷ついた女たちが、水面煌めく夜のプールを、手負いであることを忘れたかのように、無邪気に戯れる人魚さながら浮かび泳ぐ、詩情すら漂う美しい場面ではありますが、意志は強し、病は気から、を象徴的に描いた力強い場面とも言えます。いかなる窮地にあっても、そんな強い気持ちを持ちたいものです。

ちゃんと知ってるのよ
前の奥さんにこっそり会ってるってこと

「この子の七つのお祝いに」より

当然ながら、これは奥さんから旦那さんへの言葉です。そのうち、おそらく最も恐ろしい部類のものです。
「前の奥さん」の部分には幾つかのバリエーションが当てはまり、そうなると夫婦に限らず恋愛関係全般に範囲は広がると思いますが、
いずれにせよ言われた立場としては背筋がゾッとするセリフです。
特に本作のこのセリフのように、突然笑いながら言われた場合、恐怖きわまり、反射的な高速で土下座し謝罪してしまうかもしれません。
ともかく、不実な行為はしないにこしたことはありません。実態は健全なものであっても、不実を疑われる行為は避けたいものです。
誠実に生きたいものです。

燃えるような恋をしろ。大声出してのたうち回るような、恥ずかしくて死んじゃいたいような、恋をするんだよ。

「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(第47作)」より

大学時代の先輩の妹・菜穂(牧瀬里穂)とのロマンスを経験した満男(吉岡秀隆)、長年連れ添った夫との倦怠に悩む主婦(かたせ梨乃)との淡い恋を終えた寅次郎(渥美清)。共に琵琶湖畔で失恋を味わったふたり。大学を卒業し社会人となった甥との絆は更に深まったが、かわいい甥への愛情あふれる伯父の視線は変わらない。そんな寅次郎が、再び新たな旅に出る別れ際に満男に残した言葉。物語の前半で久しぶりに満男と再会した寅次郎が投げかけた「燃えるような恋愛してるか」と呼応する、大人の男の先輩としての根源的な力強いエールの言葉。

ったく。仕事から帰ってきたら風呂も沸いてない。

「GONIN」より

久しぶりに帰った自宅で、風呂に入ろうとし浴室を覗いた時に萩原昌平(竹中直人)がつぶやいた独り言。

この発言は、独り言だからまだよかったものの、その下地・背景にあると思われる、夫(父)は外で仕事をし金を稼ぎ、妻(母)は家を守り子を育て、夫の疲れを癒すべく甲斐甲斐しく世話をする、なんて思想は論外でしょう。
もっとも、夫婦によってはそれぞれの役割を当人納得の上で分担している場合もあるので、他人の夫婦(家庭)のありように第三者が軽々しく口を出すべきではありませんが…。

ちなみに、夫であり父である萩原昌平は、上記の発言(だけ)によれば、おそらく一般的には、一生懸命に仕事をし金を稼ぎ一家を養っているという自負心の塊のように思われますが、実際は仕事をしていない、リストラされたサラリーマンです。そのことを家族に言い出せずに、出張続きで仕事が忙しいと嘘をつき、家に帰らず毎日外で暇をつぶす日々を過ごしています。
この発言は、その鬱屈に起因する悪辣な暴言なのかもしれません。あるいは、自分が仕事をしているという嘘にリアリティを持たせるための演出なのかもしれません。

そして、その一方で、実は彼の家族は・・・

何もかもさ。

「青春残酷物語」より

学費滞納で除籍寸前の不良大学生・清(川津祐介)は、同じく不良の女子高生・真琴(桑野みゆき)と運命的に出会う。自分の言う事に素直に従わない年下の真琴を、苛立ちを隠さず、サディスティックに、荒々しく抱いた清。粗暴に抱かれた直後、清に何に対して怒っているのか問うた真琴への、清の返答。刹那の衝動に突き動かされ無軌道に生きる、あらゆる現実や既成概念に牙を剥き、触れるものすべてを傷付けてしまう鋭利なナイフのような清を象徴するセリフ。そこには、青春特有のまだ幼い感情に根差した眩しさと瑞々しさがあふれ出ており、年と経験を重ね常識と分別を得た大人にとっては、懐かしく、羨ましく思えるかもしれない。しかし、若さは往々にして手痛い代償を支払うことになることを、二人は知ることになる…

だって、後悔しない人生なんてないんじゃありません?

「釣りバカ日誌9(第10作)」より

スーさんが後継者として目をかけていた営業部長の馬場(小林稔侍)が、会社を辞めて好きな女性(風吹ジュン)の故郷の鹿児島で再婚する人生を選んだことに失望したスーさんが、家で「あいつは絶対後悔するよ」と言った時に妻の久江(奈良岡朋子)がかけた言葉。人生の選択で迷った時に背中を押してくれるセリフです。

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