松竹映画に出てくる「いいセリフ」をご紹介します。
ある年齢に達したら、一切仕事から離れて、鮭のように故郷に帰って暮らしたい。かねがね私はそう考えて参りました。
その他のちょっと良いセリフ
どんな死にも必ず意味があります。
燃えるような恋をしろ。大声出してのたうち回るような、恥ずかしくて死んじゃいたいような、恋をするんだよ。
幸せは希望の向こう側にある。

「大怪獣のあとしまつ」より
人類を未曽有の恐怖に陥れた大怪獣が、ある日突然、死にました。国民は歓喜に沸き、政府は怪獣の死体に「希望」と名付け、国全体が安堵に浸ったのです。しかし、安堵も束の間、この巨大怪獣の死体が腐敗による体温上昇で徐々に膨張が進み、ガス爆発の危機が迫っていることが発覚します。大怪獣の死体が爆発し、漏れ出したガスによって周囲が汚染される事態になれば国民は混乱し、国家崩壊にもつながりかねません。そこで、絶望的な時間との闘いの中、国民の運命を懸けて死体処理という極秘ミッションを任されたのは首相直轄組織・特務隊の隊員である帯刀アラタ(山田涼介)でした。このセリフは、ほとんどインポッシブルなミッションに挑むアラタの、諦めない気持ちの力強い表明です。また、先般大怪獣が「希望」ネーミングされた事にも引っかけた、ウィットとユーモアの効いたナイス発言とも言えるでしょう。いかなる無理難題を前にし、どんなに過酷な難局にあっても、このような強い気持ちと余裕を持っていたいものです。
今度あの子に会ったら、こんな話しよう、あんな話もしよう、そう思ってね、家出るんだ。いざその子の前に座ると、ぜんぶ忘れちゃうんだね。
だって、後悔しない人生なんてないんじゃありません?
ったく。仕事から帰ってきたら風呂も沸いてない。

「GONIN」より
久しぶりに帰った自宅で、風呂に入ろうとし浴室を覗いた時に萩原昌平(竹中直人)がつぶやいた独り言。
この発言は、独り言だからまだよかったものの、その下地・背景にあると思われる、夫(父)は外で仕事をし金を稼ぎ、妻(母)は家を守り子を育て、夫の疲れを癒すべく甲斐甲斐しく世話をする、なんて思想は論外でしょう。
もっとも、夫婦によってはそれぞれの役割を当人納得の上で分担している場合もあるので、他人の夫婦(家庭)のありように第三者が軽々しく口を出すべきではありませんが…。
ちなみに、夫であり父である萩原昌平は、上記の発言(だけ)によれば、おそらく一般的には、一生懸命に仕事をし金を稼ぎ一家を養っているという自負心の塊のように思われますが、実際は仕事をしていない、リストラされたサラリーマンです。そのことを家族に言い出せずに、出張続きで仕事が忙しいと嘘をつき、家に帰らず毎日外で暇をつぶす日々を過ごしています。
この発言は、その鬱屈に起因する悪辣な暴言なのかもしれません。あるいは、自分が仕事をしているという嘘にリアリティを持たせるための演出なのかもしれません。
そして、その一方で、実は彼の家族は・・・
俺にだって一生にいっぺんくらい役作りってやつをさせてください

「蒲田行進曲」より
新作『新選組』映画に沸く撮影所。うだつの上がらない大部屋俳優のヤス(平田満)は、心酔し敬愛するスター俳優・銀ちゃんこと倉岡銀四郎(風間杜夫)のため、そしてその銀ちゃんの身代わりに自分が結婚することになった、彼の子を身ごもる落ち目の女優・小夏(松坂慶子)のために、軽くて半身不随、最悪で死亡という危険きわまりない池田屋階段落ちのシーンで、銀ちゃん演じる土方歳三に斬られ高さ10メートルから転げ落ちる役を、自ら申し出ます。ふだんは役作りをする必要も無い、名も無き雑魚役を演じて日々を過ごす大部屋俳優にとって、この生死のかかった階段落ちは、一日だけスターになれる一世一代のひのき舞台。このセリフは、死の恐怖にさいなまれるヤスが、撮影直前に最後の覚悟をする時間をもらうために、自分以外の全員に向けた魂の願いでした。大部屋俳優でも俳優は俳優。命がけの大仕事を前に、その矜持と尊厳がほとばしる、静かに重厚なセリフです。
泣くがいいさ 腹いっぱい泣くがいいさ。
生きてる?そら結構だ。







