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松竹映画に出てくる「いいセリフ」をご紹介します。

なにも死ぬまでガツガツガツガツ働くこたあないんだよ、ねえ。
黙ってたって、いつかは死ぬんだから。

「男はつらいよ 寅次郎心の旅路(第41作)」より

旅の途中、自殺しようとした心身症のエリートサラリーマン・坂口兵馬(柄本明)と出会った寅次郎(渥美清)が、自殺を思いとどまらせ元気づけようと発した言葉。寅次郎ならではの力強い達観と脱力に満ちたセリフ。結果、坂口は寅次郎を頼りになる兄貴分として慕い、強引にオーストリアのウィーン旅行に誘い出かけることになる。ちなみに冒頭、大学受験に失敗し浪人となり、予備校通いで毎日満員電車に揺られる生活を送り始め、それがサラリーマンになっても退職するまで延々と続くことを想像し、「うらやましいなぁ…伯父さんだよ。だってそういう生き方を否定したんだろう?」と言う満男(吉岡秀隆)に対して、母さくら(倍賞千恵子)が、「伯父さんは否定したんじゃなくて、されたのよ、世の中に」といつになく辛辣な言葉を返す場面があるが、まさにこのさくらの言葉に対する寅次郎からの鮮やかな返答とも言えるセリフ。

その他のちょっと良いセリフ

困ったことがあったらな、風に向かって俺の名前を呼べ。

「男はつらいよ 寅次郎の休日(第43作)」より

泉(後藤久美子)と礼子(夏木マリ)との旅を通して絆を深めた寅次郎(渥美清)と満男(吉岡秀隆)。実の親であるさくら(倍賞千恵子)と博(前田吟)には従わないのに、寅次郎の言うことは素直に受け入れるようになっていた。新たな旅に出かける寅次郎は、別れ際に満男にかけた言葉。大学生となった満男をひとりの大人の男として信頼しつつも、寅次郎にとってはかわいい甥であることには変わりがない。そんな甥への伯父心があふれた、愛の言葉。

女抜きで引っ越しができるとお思いですか?

「引っ越し大名!」より

藩の存亡を懸け、姫路(兵庫)から日田(大分)へ、移動人数10,000人、距離600Km、予算なし・・・という過酷な国替え=引っ越しの仕切り役「引っ越し奉行」を仰せつかった、ふだんは書庫にこもって本を読んでばかりの引きこもり侍・片桐春之介(星野源)。
柄に合わない任務と前途多難におののく春之介は、幼馴染で武芸の達人・鷹村源右衛門(高橋一生)や前任の引っ越し奉行の娘である於蘭(高畑充希)に助けられ、知恵と工夫なしではまず成し遂げられない一大事業=引っ越しに臨みます。
これは目の前の、そしてこれから間違いなく降りかかって来るであろう無理難題の数々に怖気づく春之介たちに向けた、於蘭によるこのうえなく頼もしく力強いセリフです。自信、そして前任の引っ越し奉行の娘であることの強い自負心に満ちた威勢のいいひと言は、春之介たちを見事に鼓舞したのでした。
…ちなみに余談ながらも、筆者個人的に、過去に経験した幾度かの引っ越し全てにおいて、間違いなく母や妻が居たればこそテキパキと合理的に事が進んだと、心の底からの感謝と共に、強くそう思っております。

そうよ、人生は賭よ。

「男はつらいよ 純情篇(第6作)」より

印刷工場から独立を夢見る博(前田吟)を、義理人情に欠けリスクもあると諭すサクラ(倍賞千恵子)に対して、危険や不安を恐れていてはなにもチャレンジできないと反論する博に、まるで自らを鼓舞するかのように同調し応援する寅次郎(渥美清)の言葉。

自分を醜いと知った人間は決してもう醜くねえって。

「男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)」より

浪人中の身でありながら後輩との恋に悩み受験勉強が手につかない満男(吉岡秀隆)を飲み屋に連れ出した寅次郎(渥美清)。自分の気持ちが純粋な恋心ではなく不潔な気持ちだと思っていることを吐露した満男に対して、寅次郎がかけた励ましの言葉。不純な気持ちを不純だと認識している時点で純粋だ、とも言い換えることができる。実はこの言葉、かつて満男の母・さくら(倍賞千恵子)と結婚する前に、さくらに恋する父・博(前田吟)が寅次郎に語ったものだった。いま恋に思い悩む満男に、かつての父の言葉が伯父・寅次郎を経由して伝わった。

“世間”って誰?どこの誰のこと?
そんな顔も見えない人たちのことなんてどうでもいい
私は自分の物差しで生きるの

「人間失格 太宰治と3人の女たち」より

妻子ある新進気鋭の小説家・太宰治(小栗旬)との不倫の挙句に子を身ごもった太田静子(沢尻エリカ)による、世間体を前面に押し出して不倫を非難・叱責する弟(千葉雄大)に対しての開き直った反論でもあり、自分の信条や生き方の肯定でもあるセリフ。
たった一度きりの人生、たとえ後ろ指さされようとも自分の感覚を信じて好きなように生きる、そんな高らかな自由の宣言です。
静子自身、太宰と同業の若き作家。創作に取り憑かれ優れた表現欲を持つ者が、活動の源泉として半ば代償のように常識と引き換えに背負わされる、ある種の反社会性や非道徳性。その是非はともかく、そこに恐ろしい魔力(魅力)があることは確かです。

ゆっくり知っていけばいいさ。夫婦なんだから

「PとJK」より

運命のイタズラで恋に落ちた、真面目な警察官の功太(亀梨和也)と女子高生のカコ(土屋太鳳)。結婚から始まる恋だからこそ、知らなかった彼の抱える心の傷を聞いて戸惑うカコに、功太の同僚がかけた言葉。困難を乗り越えながらもお互いを理解しあい成長していくピュアでハッピーな感動ラブストーリーです。

おてんとうさまは見ているぜ

「男はつらいよ 寅次郎忘れな草(第11作)」より

映画の冒頭、寅次郎が居眠り中に見ている夢。悪政のせいで陰でこそこそ弱い者いじめが横行する荒廃した世の中。無法者たちに理不尽にも金品をせしめられている貧しい親子(倍賞千恵子、前田吟、松村達雄)を、颯爽と現れ救った、寅次郎という名のさすらいの風来坊(渥美清)が、去り際に放った捨てゼリフ。幾ら世が荒れても、陰でこそこそ悪いことはできないよ、必ず誰かが見ているよ、という強いメッセージです。

女ってね、別れるとき男が自分のために傷ついてたらバンザイなんだよ。

「時代屋の女房」より

35歳気ままな独身の安さん(渡瀬恒彦)が営む古道具屋「時代屋」に、ある日、真弓(夏目雅子)という女が現われ、その日のうちにふたりは男女の関係になり、真弓はそのまま店に居ついてしまいます。
真弓は「それ以上踏み込まないのが都会の流儀」と、自分がどういう過去の持ち主なのか語ろうとせず、安さんも「何も言わず、何も聞かずが好きだから」と、無関心が粋とばかりに、あえて聞こうとはしません。
ふらっと店を出たまましばらく帰ってこない日が続いたかと思うと、何事もなかったかのように戻ってくる真弓。恋人関係ではあるが、淡々とした、平熱に冷めたような、不思議な距離感・温度感の日々が続きます。
そしてまた彼女がいなくなりました。何度目かの失踪です。安さんには慣れたものですが、今度はいつもより長そうです。
さすがに不安になり、やきもきし、苛立ち、時に悶々とする安さん。揃いも揃って変わり者ばかりな彼の仲間たちは、同情したり、励ましたり、笑い飛ばしたり、慰めたりと様々ですが、そんな中で、ある女性が放ったひと言がこのセリフです。
言わずもがな、主語は「女」だけに限らないでしょう。非情に手前勝手な、心無い言い様ですが、妙に共感・納得できるものがあります。それは、自分を失って相手が負った心の傷が大きければ大きいほど、相手にとっての自分の存在(自分への恋慕や愛情)が大きいことに他ならないからです。自分が相対的に持ち上がるからです。
実に残酷な心情をぬけぬけとあからさまに言い表したセリフですが、老若男女問わず、人間なんてすべからくそんな生きもの、と達観したくなるような名言です。
そして、上述の、真弓の「それ以上踏み込まないのが都会の流儀」、安さんの「何も言わず、何も聞かずが好きだから」というスタイルやスタンスは、恋愛に傷つかないための防御的な知恵として、編み出されたのかもしれません。

“真実”と言うと聞こえがよすぎるかもしれませんが、
我々が求めているのは、それです。

10のうちひとつぐらいは真実かもしれません。
それを探し当てるのは、結構面白い作業ですよ。

「クリーピー 偽りの隣人」より

元警視庁捜査一課の刑事で庁内随一の犯罪心理学のエキスパートである高倉(西島秀俊)は、ある事件で自らの知識や経験を過信したがゆえに起こしてしまった失態により退職、大学で教鞭を執っていた。
しかし、元刑事の性(さが)が再び頭をもたげた高倉は、後輩の刑事・野上(東出昌大)に乞われ、未解決一家失踪事件の謎を究明すべく、事件唯一の生き残りである長女・早紀(川口春奈)の記憶をたどり事件の核心に迫ろうとしていた。
そのさなか、記憶が曖昧でかたくなに心を閉ざす早紀に対し、高倉が協力の懇願として口にしたセリフ。

言わば職業的な紋切り型と言ってもいい口説き文句ですが、“真実”の一義的な価値をシンプルに言い表しています。
ただし世の中で“真実”は、取り扱い要注意でもあります。むやみやたらと追い求めたり扱ったりすべきではないとすら言えるほどに、悪しき作用を及ぼすことも大いにあり得ます。
そして、時としてとんでもなく恐ろしい闇が潜む場合があり、まさに高倉たちはその闇に飲み込まれ、翻弄されて行くのです…

会社というのはたくさんの歯車で成り立っている。その歯車をスムーズに噛み合わせるためには潤滑油が必要。この浜崎くんは潤滑油の役割を果たしているのではないかと思います。

「釣りバカ日誌8(第9作)」より

渓流釣りの後、山で遭難してしまったハマちゃんとスーさん。会社の一大事に大捜索が行われ、会社をサボっていたことがバレてしまった。懲罰委員会で解雇の危機に立たされたハマちゃんをかばうため、佐々木課長(谷啓)が重役たちの前で発言した言葉。普段はガミガミうるさい課長のハマちゃんへの愛情を感じる温かい言葉です。

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