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松竹映画に出てくる「いいセリフ」をご紹介します。

おてんとうさまは見ているぜ

「男はつらいよ 寅次郎忘れな草(第11作)」より

映画の冒頭、寅次郎が居眠り中に見ている夢。悪政のせいで陰でこそこそ弱い者いじめが横行する荒廃した世の中。無法者たちに理不尽にも金品をせしめられている貧しい親子(倍賞千恵子、前田吟、松村達雄)を、颯爽と現れ救った、寅次郎という名のさすらいの風来坊(渥美清)が、去り際に放った捨てゼリフ。幾ら世が荒れても、陰でこそこそ悪いことはできないよ、必ず誰かが見ているよ、という強いメッセージです。

その他のちょっと良いセリフ

考えたらダメっす。
取り込まれますよ。

「ミンナのウタ」より

居る(在る)はずのないモノ、すなわち見てはいけないモノを見てしまった関口と中務。当然恐れおののき狼狽する関口に対して、冷静な中務が諭した言葉です。
想定できない、想像を超えた(外れた)事象に直面すると、人は往々にしてその事そのものや原因・理由、真偽などを考えてしまい、不安や恐怖に支配され、思考も行動も不自由になってしまいます。まさに事象に「取り込まれ」るのです。
しかし、それを避けるための、自由でいるための知恵、それが「考えない」ことなのです。これは人生の様々な局面で有効な、普遍性・汎用性の高い知恵かもしれません。
さて、ここで見事な冷静さを見せた中務ですが、果たして彼らはその先で待ち受ける恐るべき異常な怪異事象の数々を、「考えない」ことで「取り込まれ」ずにいられるのでしょうか・・・

僕はあなたを幸せにする自信はありません。しかし、僕が幸せになる自信は絶対ある!

「釣りバカ日誌(第1作)」より

みちこさんがスーさんに話した、ハマちゃんのプロポーズの言葉です。こんなプロポーズされたら、絶対にOKっていいたくなりますよね。

今度あの子に会ったら、こんな話しよう、あんな話もしよう、そう思ってね、家出るんだ。いざその子の前に座ると、ぜんぶ忘れちゃうんだね。

「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(第30作)」より

自分と一緒にデートしていても、いつも寡黙で無口になってしまう三郎(沢田研二)が、何考えてるかわからない、ふたりの間に生まれる沈黙がつらい、と迷い悩む蛍子(田中裕子)を、寅次郎が諭した言葉。好きな人を前にして黙りこくる、そんな自分が情けなく泣きたくなる、まさに恋する男心を優しいまなざしで言い表した、寅次郎らしい表現。

私はね、ハマちゃんが二枚目じゃないから好きになったのよ。

「釣りバカ日誌3(第3作)」より

「スーさんは若い頃ハンサムだったでしょうね」、と言われて焼きもちを焼いたハマちゃんにみち子さんがかける言葉。やさしさに溢れています。

ああ、この人を幸せにしたいなぁと思う。この人のためだったら命なんかいらない、もう俺死んじゃってもいい、そう思う。それが愛ってもんじゃないかい?

「男はつらいよ 葛飾立志篇(第16作)」より

縁戚である御前様(笠智衆)の紹介でとらやの下宿人となった筧礼子(樫山文江)は、助手として考古学者の田所教授(小林桂樹)に熱心に師事する学者の卵だった。礼子に恋する寅次郎は、ひょんなことから田所教授とも知り合うが、なんと教授は礼子に思いを募らせていた。自分の気持ちに確信が持てずに告白する決心がつかず悶々としていた教授に、寅次郎が提言した言葉。愛という曖昧な感情をシンプルで具体的な思いに言い換え、とても分かり易く表現したその力強い言葉に背中を押され、教授は自分の気持ちを愛だと確信。勇気を出して礼子に恋文を手渡す。

ゆっくり知っていけばいいさ。夫婦なんだから

「PとJK」より

運命のイタズラで恋に落ちた、真面目な警察官の功太(亀梨和也)と女子高生のカコ(土屋太鳳)。結婚から始まる恋だからこそ、知らなかった彼の抱える心の傷を聞いて戸惑うカコに、功太の同僚がかけた言葉。困難を乗り越えながらもお互いを理解しあい成長していくピュアでハッピーな感動ラブストーリーです。

思ってるだけで何もしないんじゃな、愛してないのと同じなんだよ。

「男はつらいよ 寅次郎の青春(第45作)」より

宮崎の旅館で、寅さんと満男が泉との恋について語る男同士のシーン。愛しているなら態度で示せよ、と語る叔父さんの言葉は重みがあります。

幸せは希望の向こう側にある。

「大怪獣のあとしまつ」より

人類を未曽有の恐怖に陥れた大怪獣が、ある日突然、死にました。国民は歓喜に沸き、政府は怪獣の死体に「希望」と名付け、国全体が安堵に浸ったのです。しかし、安堵も束の間、この巨大怪獣の死体が腐敗による体温上昇で徐々に膨張が進み、ガス爆発の危機が迫っていることが発覚します。大怪獣の死体が爆発し、漏れ出したガスによって周囲が汚染される事態になれば国民は混乱し、国家崩壊にもつながりかねません。そこで、絶望的な時間との闘いの中、国民の運命を懸けて死体処理という極秘ミッションを任されたのは首相直轄組織・特務隊の隊員である帯刀アラタ(山田涼介)でした。このセリフは、ほとんどインポッシブルなミッションに挑むアラタの、諦めない気持ちの力強い表明です。また、先般大怪獣が「希望」ネーミングされた事にも引っかけた、ウィットとユーモアの効いたナイス発言とも言えるでしょう。いかなる無理難題を前にし、どんなに過酷な難局にあっても、このような強い気持ちと余裕を持っていたいものです。

お前、さしずめインテリだな?それじゃ余計女にモテないよ。ダメだ、あきらめな。

「男はつらいよ 翔んでる寅次郎(第23作)」より

行商先の北海道・支笏湖畔で、男(湯原昌幸)に襲われかけたひとみ(桃井かおり)を救った寅次郎(渥美清)。ひとみは田園調布の富豪令嬢で、結婚を間近かに控えていたがマリッジブルーからの現実逃避で北海道を旅していた。帰京後まもなく、結婚式を逃げ出し柴又へ寅次郎に会いに来たひとみは、とらやで暮らし始め、寅次郎との距離が縮まる。しかしそこへひとみと結婚するはずだった邦男(布施明)が度々訪れるようになり、ひとみへの執着を見せる。失恋豊富な寅次郎は邦男を慰めるが、難解な御託を並べる邦男に対して、ひとみを諦めるよう言い放った言葉。辛辣な放言に聞こえるかもしれないが、寅次郎は、容姿端麗な見た目や家柄だけではなく、意外に純朴で真っ直ぐな邦男という男の天性の魅力を理解しており、そのうえで男らしい潔さを身につけるよう示唆する、温かい言葉です。

どこにでも行ければいいってもんじゃないんだよ。
ここには山も海もある。お前の心は丈夫だし。

「つぐみ」より

生まれつき病弱で、常に死の恐怖を感じながら、死を覚悟しながら、生まれの地・西伊豆から出られずに人生を送っているつぐみ(牧瀬里穂)。
病弱で生まれてきたことへの引け目や、ある種の憐憫から、家族や周囲はつぐみを優しく甘やかし、そのせいで、傍若無人な我が儘さや、攻撃的な物言い、その一方で何があってもへこたれないタフな精神力を持った少女へと成長したつぐみですが、その不思議な生命力に、友人まりあ(中嶋朋子)をはじめ周囲の人間たちは何故か心をひきつけられ、どんなに乱暴な行動があっても、どんなに辛辣な発言をされても、つぐみを憎めず、嫌いになれないのでした。
すなわち、つぐみは、か弱い身体と強靭な精神力が一体となった、アンビバレンツで不思議な魅力の持ち主でした。とはいえど、病弱であることに変わりなく、このセリフは、つぐみと運命的に出会った恋人・恭一(真田広之)が、いつになく不調の波に襲われていたつぐみにかけた、地味で素朴な中にも愛情と励まし、そして切なる願いがこめられた言葉です。
いくら強気なつぐみでも、病弱なせいで地元・西伊豆を出られずに一生を終えることになりそうな事については、さびしく悲しく思っていることは確かで、そんな彼女を力強く全肯定する恭一からの言葉に、最後の決心をするつぐみでしたが・・・

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