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昭和を感じる!1980年代の邦画(日本映画)松竹作品15選

2023.11.30

80年代映画(邦画)

はじめに

「ジャパン・アズ・ナンバーワン(※1)」(アメリカの社会学者エズラ・F・ヴォーゲルのベストセラー書籍名)なんて威勢のよい言葉が、いい意味でも、また悪い意味でも流通していた1980年代の日本。

そんな経済的に激変していったあの時代を背景に持つ「1980年代の邦画(日本映画)」の中から、松竹のおすすめ15作品をセレクト!

1980年代の邦画作品を探している方はぜひ参考にしてみてください。

※1:日本経済の黄金期(1980年代の安定成長期、ハイテク景気やバブル景気)を表す言葉として度々用いられる語句

1980年代の日本映画界の状況と邦画作品の特徴は?

1980年代前半、先端的な技術を要するハイテク産業を中心に日本は経済大国化へ。自動車や電気製品、半導体などの輸出を伸ばして貿易黒字が増大し、1980年代後半には大幅な金融緩和のもと、多額の資金が株や不動産に流れて地価・株価が異常なまでに高騰、いわゆる“バブル景気”を迎えます。円高によるジャパンマネーは猛威を振るい、例えば1989年、ソニーがアメリカの映画会社コロンビア・ピクチャーズ・エンタテイメントを買収したことは象徴的な出来事でした。

エンタメ面に目を向ければ、ファミコン(ファミリーコンピューター)やCD、ビデオテープレコーダー、カラオケといった新たな娯楽が市場を席巻していきます。一方で、映画業界では邦画の製作本数がピーク時(1950年代末から1960年代はじめ)の半分程度にまで落ち込み、80年代後半には洋画が“邦画の国内シェア”を上回る「洋高邦低」状態となりました。

とはいえまだまだ時代的には、黒澤明、木下惠介、市川崑、小林正樹といった世界に名だたる巨匠たちが新作を発表し、また彼らと同じく、映画会社の撮影所での助監督経験のあるベテランの作り手がその歴史を継承しながら第一線で稼働をしていました。

かたや、メディアミックス戦略で邦画を変えた新興の「角川映画」はすっかり世に定着して若手や中堅監督の梁山泊となり、巷の新人クリエイターと自主映画をバックアップしていたPFF(ぴあフィルムフェスティバル)、それから長谷川和彦監督を中心に1982年にスタートした企画・制作会社「ディレクターズ・カンパニー」の活動等が合わさって、邦画界を活性化していきます。ただし、撮影所にて新旧有能な人材を、長年ロマンポルノの量産体制で育成してきた日活(当時は「にっかつ」)のこのレーベルは、1988年に終わりを迎えたのでした。

さてビジネスを軸に眺めてみますと、フジテレビが本格的に映画製作に参入した『南極物語』(1983年)、『ビルマの竪琴』(1985年)、『子猫物語』(1986年)は、家族向けにメディアミックスを仕掛けて興行的成功を収め、松竹の『ハチ公物語』(1987年)には東急グループが出資、以後、様々な企業がバブル景気で蓄えた資金を映画事業に投資するようになります。

撮影所が人材育成の場でなくなっていった1980年代。それでも映画界の閉塞感を打ち破る、様々な出自を持つ存在が監督として登場してきます。筆頭に挙げられるのは個性派の俳優でありエッセイストとしても一流、マルチな才能を有していた伊丹十三でしょう。1984年の長篇デビュー作『お葬式』でいきなり頭角を現し、『マルサの女』(1987年)ほか稀代のヒットメーカーに。CM界からは市川準が抜擢され、『BU・SU』(1987年)、『会社物語 MEMORIES OF YOU』(1988年)、『ノーライフキング』(1989年)を発表。劇画界の旗手・石井隆は『天使のはらわた 赤い眩暈』(1988年)で関わりの深かったロマンポルノの終焉を飾り、自主映画界の新星・塚本晋也は『鉄男』(1989年)で海外でもカルト(熱狂)的な評価を得たのでした。

そしてこの方、人気お笑い芸人のビートたけし。当初、深作欣二監督の映画の主演に決定するも、降板したことから本名の「北野武」で監督も兼任。それが『その男、凶暴につき』(1989年)で、のちに“世界のキタノ”と呼ばれるとは露知らぬまま、やがて来たる1990年代初頭にはバブル景気の余波と相まって、“異業種監督ブーム”が起こるのでありました。

松竹担当者が選ぶ1980年代の邦画(日本映画)15選

現代の尺度ではとても測れない「ジャパン・アズ・ナンバーワン」な1980年代。

数ある作品の中から松竹担当者がおすすめしたい15の邦画作品を紹介します。

1. 遙かなる山の呼び声(1980年)

山田洋次監督、高倉健、倍賞千恵子という“夢の座組”が再び実現した珠玉作。しかもその一度目の『幸福の黄色いハンカチ』(1977年)や、『なつかしい風来坊』(1966年)、『家族』(1970年)などのディテールとも響きあう山田洋次シネマティック・ユニバースを形成する重要作だ。亡き夫の遺した牧場にて幼い息子を育てながら酪農を営むヒロインと、そこで働くことを許されたワケありの流れ者。両者の心の移ろいが北海道の四季と共に情感豊かに映し出されていき、涙腺直撃のラストまで魅せられっぱなし。名子役ぶりを発揮した吉岡秀隆は以後、2大シリーズ、映画『男はつらいよ』とTVドラマ「北の国から」のレギュラーとなった。

作品情報

公開(年):1980年

ジャンル :人間ドラマ、恋愛

監督   :山田洋次

キャスト :高倉健、倍賞千恵子、吉岡秀隆、鈴木瑞穂、ハナ肇

上映時間 :124分

2. 疑惑(1982年)

疑惑

桃井かおりと岩下志麻、大女優が初共演――「夫殺しで限りなくクロに近い被疑者」と「辣腕弁護士」の共同戦線が展開し、クライマックスは互いを認めつつも、生き方の違う女同士の火花散る頂上決戦へ。「あんたってさ、ホントにイヤな目つきしてるわね」「私ね、あなたみたいなエゴイストで自分に甘ったれてる人間って大っ嫌いなの」。かたや赤ワインを白スーツにドボドボと掛ければ、グラスのワインを相手の顔面にぶちまけて応戦、続くやりとりがまた超クールでシビれる。小説だと弁護士は男だが、古田求が巧みに脚色を(原作者の松本清張は事後承諾という太っ腹!)。監督は清張映画のエキスパート・野村芳太郎。

作品情報

公開(年):1982年

ジャンル :ミステリー、サスペンス

監督   :野村芳太郎

キャスト :岩下志麻、桃井かおり、鹿賀丈史、柄本明

上映時間 :127分

3. 蒲田行進曲(1982年)

蒲田行進曲

昼を夜へ、ウソをマコトへと変える映画の力。そのマジックで、銀ちゃんこと破天荒なスター・倉岡銀四郎と、取り巻きの大部屋役者、決死の階段落ちに挑むヤス、そして女優の小夏の“入り組んだ愛”がエモく輝く。80年代メディアミックスの成功作であり、まず、つかこうへい作・演出の舞台が1980年に紀伊國屋演劇賞を獲得し、戯曲の小説化が直木賞に。角川春樹プロデューサーの企画が松竹へ持ち込まれ、つかが脚色、主要キャストに松坂慶子と、舞台版で人気を集めた風間杜夫、平田満も。でもって、監督の深作欣二監督がエネルギッシュに作り上げ、劇中にはヒットソング、桑田佳祐作詞&作曲、中村雅俊の「恋人も濡れる街角」が主題歌として流れるのであった。

作品情報

公開(年):1982年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :深作欣二

キャスト :松坂慶子、風間杜夫、平田満、高見知佳

上映時間 :109分

4. 道頓堀川(1982年)

道頓堀川

大阪ミナミの繁華街――道頓堀を舞台とした芥川賞作家・宮本輝の同名小説を映画化するにあたり、選ばれたのは(フリー監督だが東映作品が続いていた)深作欣二監督である。松竹で撮るのは『黒薔薇の館』(1969年)以来で、名カメラマン・川又昂とのジョイント再び。小料理屋の若女将(松坂慶子)と画家を志す美大生(真田広之)のメロウなドラマで初の本格ラブシーン描写にも怯まず新境地を開拓した。また、道頓堀川に面した喫茶店のマスター(山﨑努)と息子(佐藤浩市)の因縁のビリヤード対決ほか “盛り場の群像劇”にも力を入れ、出演者ひとりひとりを際立たせ、なかでも松坂慶子はこの年の主演女優賞を軒並みゲットした(『蒲田行進曲』の演技と合わせて)。

作品情報

公開(年):1982年

ジャンル :人間ドラマ、文芸作品、青春もの

監督   :深作欣二

キャスト :松坂慶子、真田広之、山﨑努、佐藤浩市、加賀まりこ

上映時間 :130分

5. 魚影の群れ(1983年)

魚影の群れ

厳しい海との、そして、巨大マグロとの闘い。名優・緒形拳扮する「マグロ漁に命を賭ける頑固一徹な男」を軸にして、本州最北端の地、青森県下北半島の漁港・大間でのオールロケを敢行した激烈なるドラマ活劇だ。男手ひとつで育てた娘(夏目雅子)と結ばれた若者(佐藤浩市)との確執。豪雨の中、自分を捨てた元妻(十朱幸代)と出会い、そこから延々と繰り広げられる驚異の追走シークエンス。当時、アイドルや若手俳優の青春映画で異才を発揮していた相米慎二監督が初めて挑んだ大人の、ハードな愛憎ロマンである。小型船上での一本釣りの撮影は実際に釣れるまで続き、相米流の長回しで生々しくドキュメンタルに収められている。

作品情報

公開(年):1983年

ジャンル :人間ドラマ、文芸作品

監督   :相米慎二

キャスト :緒形拳、夏目雅子、十朱幸代、佐藤浩市

上映時間 :141分

6. この子を残して(1983年)

この子を残して

妻を亡くした男は遺された子供たちを育て、死を意識しつつ戦争と原爆の実相を記録した。原作は1945年8月9日、長崎で被爆した医学博士・永井隆の同名手記だ。自らも戦争を体験して晩年にこの歴史的題材に取り組んだのは巨匠・木下惠介監督で、博士役に木下組の加藤剛を配し、本作に“未来永劫伝えるべきメッセージ”を込めた。共同脚本にクレジットされた山田太一は第一稿を執筆、師弟最後のタッグ作である。ラストに真正面から触れられる原爆投下直後の市街の惨状は衝撃的で、特撮を担った成田亨の仕事ぶりも特筆もの。永井博士の生涯を先に映画化した『長崎の鐘』(1950年/大庭秀雄監督)とあわせて観たい。

作品情報

公開(年):1983年

ジャンル :人間ドラマ、戦争、社会派

監督   :木下惠介

キャスト :加藤剛、十朱幸代、淡島千景、山口崇、大竹しのぶ

上映時間 :128分

7. 上海バンスキング(1984年)

1970年代、東映実録路線の旗手であった深作欣二は、1980年代にはバラエティに富んだ大作の監督に。上海ロケを行い、劇団「オンシアター自由劇場」のロングラン音楽劇を映画化した本作もそのひとつで、数々の賞を得た大ヒット作『蒲田行進曲』のキャスト陣が再結集している。結婚し、成りゆきで上海のジャズクラブで働き始めるクラリネット奏者(風間杜夫)と歌手(松坂慶子)や、友人のバンドマン(宇崎竜童)、中国人ダンサー(志穂美悦子)などの青春群像が賑々しく展開する。華やかなステージ場面に心躍る一方、左翼学生は特務機関員(平田満)に転じていき……1930年代から敗戦までの昭和史に、猥雑かつ硬派な“深作印”がクッキリと。

作品情報

公開(年):1984年

ジャンル :青春もの、ミュージカル・音楽映画

監督   :深作欣二

キャスト :松坂慶子、風間杜夫、宇崎竜童、志穂美悦子

上映時間 :121分

8. 必殺! THE HISSATSU(1984年)

1972年にスタート、人知れず恨みを晴らす仕事人の裏稼業を描く『必殺シリーズ』のTV放送通算600回記念として作られた映画版。敵は仕事人たちを殲滅しようとする殺し屋集団、という特別仕様が用意された。監督の貞永方久は第2作『必殺仕置人』(1973年)から参加し、そこで生み出されたのが不動の人気キャラクター、表の顔は冴えない同心だが実は剣の達人・中村主水(藤田まこと)だ。加えて『必殺仕事人III』(1982〜83年)、『必殺仕事人Ⅳ』(1983〜84年)の精鋭チーム、三味線張替屋の勇次(中条きよし)、飾り職人の秀(三田村邦彦)、元締のおりく(山田五十鈴)らも顔を揃え、様式美とバラエティ色の融合が一段と図られたテイストになった。

作品情報

公開(年):1984年

ジャンル :時代劇

監督   :貞永方久

キャスト :藤田まこと、山田五十鈴、中条きよし、三田村邦彦

上映時間 :124分

9. 鑓の権三(1986年)

鑓の権三

日本を代表するボーカリスト、郷ひろみは役者としてもスゴかった。この初めての時代劇映画での役どころは、出雲の国・松江藩に仕える槍の使い手であり、そして美男としても知られる笹野権三。運命に翻弄され、茶道の師匠の妻(岩下志麻)との間を疑われるばかりか不義密通の濡れ衣を着せられ、道行きを余儀なくされてゆく。理不尽な武家社会の中でもがき、極まっていく男と女のドラマ。篠田正浩監督が『心中天網島』(1969年)に続いて近松門左衛門の世界(原作は世話浄瑠璃『鑓の権三重帷子』)と交わり、ベルリン国際映画祭の銀熊賞 (芸術貢献賞)に。海外からもリスペクトされる宮川一夫のカメラワークは陶酔必至である。

作品情報

公開(年):1986年

ジャンル :時代劇、人間ドラマ

監督   :篠田正浩

キャスト :郷ひろみ、岩下志麻、火野正平、田中美佐子

上映時間 :126分

10. ハチ公物語(1987年)

ハチ公物語

1987年の邦画配収1位は、渋谷駅前の“忠犬ハチ公像”のモデルである秋田犬の生涯を綴ったこの国民的映画だが、のちにリチャード・ギア主演のハリウッドリメイク『HACHI 約束の犬』(2009年)が作られ、海外にも広く通ずる力を持っていた。昭和初期、駅で主人の帰りを(死後も)健気に待ち続けた忠犬ハチの実話がベース。これをインディペンデント映画の先駆者・新藤兼人が膨らませて脚本にし、弟子にあたる神山征二郎が監督に。大規模なセット撮影と丹念な人物描写が見事で、とりわけ「犬には犬の“犬格”がある」がモットーの飼い主、大学教授(仲代達矢)の人柄に終始胸打たれる。

作品情報

公開(年):1987年

ジャンル :ドラマ

監督   :神山征二郎

キャスト :仲代達矢、八千草薫、石野真子、柳葉敏郎

上映時間 :107分

11. 釣りバカ日誌(1988年)

人気漫画の実写化、しかもバディ物は数あれど、こんな異色の設定は稀だろう。名コンビのスーさんハマちゃん、いや、一流建設会社の堅物な社長・鈴木一之助と、釣りと家庭をこよなく愛する万年ヒラ社員、楽天家の浜崎伝助はいかにして出会ったのか。国民的コメディシリーズの1作目でのちのフォーマットは粗方ここに揃っているのだが、実は製作時、まだシリーズ化は決まっていなかったそう。監督は全22作品中、11本を任された栗山富夫。歴然と社会的身分の差がある二人が“趣味の釣り”を通して立場が逆転したり、意外な人間性が見えてくる面白さ。それを成立させた三國連太郎&西田敏行の芸の広さ、深さが天晴れだ。

作品情報

公開(年):1988年

ジャンル :コメディ

監督   :栗山富夫

キャスト :西田敏行、三國連太郎、石田えり、山瀬まみ、谷啓

上映時間 :93分

12. ダウンタウン・ヒーローズ(1988年)

薬師丸ひろ子、中村橋之助(現・八代目中村芝翫)、柳葉敏郎ら当時若手のフロントランナーが、山田洋次監督のもとに一挙集結した青春グラフィティ。敗戦直後の四国・愛媛県松山の旧制男子高校の寮生活、バンカラ学生たちの“自治”を求める日々が活写されてゆく中、彼らは文化祭の演劇の主演女優として、憧れのマドンナ、県立高等女学校の生徒に声をかける。コメディリリーフとして登場する渥美清とは旧知の仲の名脚本家、早坂暁の自伝的連作短編小説集をアレンジ。不器用だが恋と友情に懸命な若人の姿が尊く、映画初出演の中村橋之助が演じたメインキャラの壮年期を実父、先代の中村芝翫にしたキャスティングは技あり!

作品情報

公開(年):1988年

ジャンル :青春もの、人間ドラマ

監督   :山田洋次

キャスト :薬師丸ひろ子、三代目中村橋之助(現・八代目中村芝翫)、柳葉敏郎、尾美としのり

上映時間 :120分

13. 異人たちとの夏(1988年)

異人たちとの夏

甘く切ない郷愁を都会の中で呼び覚ます、映像の魔術師・大林宣彦監督の一大ファンタジーだ。子供時分に事故で亡くした両親(片岡鶴太郎、秋吉久美子)と、もしまた出会えたら――心が乾き、すっかり泣けなくなってしまったシナリオライター(風間杜夫)の身に起こる奇談にして、再生物語でもあり、名取裕子がフィーチャーされたサブエピソードも含め、大林監督の怪奇趣味との親和性も高い。迷い込む昭和の原風景が胸に沁み、最後に一家三人がすき焼きの鍋を囲むのは浅草の名店・今半別館。内部はセット撮影だが本作ファンの聖地である。なお、主人公と同職業、浅草生まれの山田太一の同名小説は山本周五郎賞の第1回受賞作に。

作品情報

公開(年):1988年

ジャンル :人間ドラマ、ファンタジー 

監督   :大林宣彦

キャスト :風間杜夫、秋吉久美子、片岡鶴太郎、名取裕子

上映時間 :108分

14. 利休(1989年)

重厚な歴史ドラマに加え、政治とアートの関係を捉えてヴィヴィッドな現代性を湛えた作品。織田信長(九代目松本幸四郎=現・二代目松本白鸚)、さらには豊臣秀吉(山﨑努)に仕え、茶の湯を大成させた茶人・千利休(三國連太郎)の“人生の作法”を見つめ、徳川家康(二代目中村吉右衛門)の言葉「終わりは、新しいことの始まり」が象徴的に映画を包み込む。監督の勅使河原宏は華道草月流三代目家元で、全篇にその美意識を漲らせており、脚本の赤瀬川原平(小説家のペンネームは尾辻克彦)、衣装デザインのワダエミ、音楽の武満徹ら、共に伝統と前衛(アヴァンギャルド)を生きた随一のアーティストたちも存分に自らの美学を貫いている。

作品情報

公開(年):1989年

ジャンル :時代劇、文芸作品、人間ドラマ

監督   :勅使河原宏

キャスト :三國連太郎、山﨑努、三田佳子、九代目松本幸四郎

上映時間 :135分

15. 226(1989年)

昭和11年2月26日、陸軍皇道派の青年将校22名が1483人もの下士官兵を率いて決起した!!――昭和史に刻まれた未曽有のクーデター「二・二六事件」の終結までの4日間に、鬼才・五社英雄監督が豪華キャストで臨んだ超大作である。バブル期の風も吹き、総製作費20億円を掛けて当時の主要な建物や街路をセットで再現してみせ、許諾の上、関係者を実名で描きあげた。リーダー格の野中四郎を演じた萩原健一の自決シーンがインパクト大だが、同じく殉ずる将校・河野寿(本木雅弘)の実兄、河野司(根津甚八)がこの映画化の監修に当たっている。挿入される哀切な回想ショット、男たちが残してきた妻や恋人、家族の存在に五社監督の思いが滲む。

作品情報

公開(年):1989年

ジャンル :人間ドラマ、戦争

監督   :五社英雄

キャスト :萩原健一、三浦友和、本木雅弘、竹中直人

上映時間 :114分

まとめ

1980年代の邦画はとにかく、“勢い”があります。そして作品のジャンルが多岐に渡っています。それには日本が経済大国となっていき、消費社会が到来したこととも関係がありそうです。時代の空気をどう掴むか……ポジティブにせよネガティブにせよ、映画は現実を反映しているのです。

松竹の邦画の名作は別の記事でも紹介しています。

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この記事を書いた人

轟夕起夫

洋画も観ますが、とりわけ邦画(日本映画)全般を視野に入れ、執筆しています。単著は『映画監督になる15の方法』(洋泉社)、『轟夕起夫の映画あばれ火祭り』(河出書房新社)、共著・編著は『清/順/映/画』(ワイズ出版)、『好き勝手夏木陽介 : スタアの時代』(講談社)、『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』(スペースシャワーブックス)など。過去の文章やインタビュー記事をアーカイブした「読む映画館 轟夕起夫NET(http://todorokiyukio.net/)」 というサイトもあります。

※おすすめ作品は松竹の担当者が選びました。

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