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隠れた名作邦画(日本映画)はこれ!見逃し注意の松竹作品16選

2023.06.01

邦画隠れた名作メインイメージ

はじめに

邦画は面白い!掘れば掘るほど面白い!!名作と呼ばれる作品がマストであることは言うまでもありませんが、その眩しさゆえに目立たなくなってしまった不幸な名作も少なくありません。マニアック?カルト?いや、これはまごうことなく名作。映画史的には目立たないが愛おしい、そんな邦画を掘ってみませんか?

松竹ではおうちで楽しめるDVDを販売しています。公式サイトからぜひチェックしてみてください。

 

 

邦画(日本映画)は隠れた名作揃い!

日本で最初の映画上映から120年。中でも最盛期と呼ばれるのが、戦後の復興の波に乗った1950年代~1960年代です。YouTubeはもちろん、カラーテレビもなかった時代、人々は娯楽を求めて映画館に詰めかけました。そしてこれと歩調を合わせるかのように、日本映画も黄金時代を迎えます。興行面はもちろん、質的にも『東京物語』をはじめとする名作が続々と誕生した。やがて1970年代になると洋画のシェアが増え、1980年代~1990年代は“洋高邦低”といわれ、邦画冬の時代に突入。しかし、邦画の火が消えることはありませんでした。21世紀に入ると邦画のシェアが洋画を上回り、それは現在も続いています。

1950年代~1960年代黄金期のまばゆさに比べると、21世紀の邦画は名作と呼ばれる作品は、まだ多くはありません。しかし、観客を熱狂させた作品は確実に存在しますし、この先、時を経て再評価される映画もあるでしょう。松竹の映画にしても同様で、隠れた名作はいつの時代にも現われます。『男はつらいよ』ほど大メジャー作品ではないにしても、“これを観てないのはもったいない!”“こんな邦画があったのか!”と思える作品は少なくないのです。ピックアップ作品の中で、もしまだ観ていない作品があれば、ぜひ一度ふれてみてください。

1950年代~2000年代の松竹おすすめ映画はこちらから確認できます。時代背景を感じる作品を多く取り上げていますのでぜひご覧ください。

▼年代記事を確認する

 

ヒューマンドラマの隠れた名作邦画(日本映画)4選

1. 八日目の蝉(2011年)

角田光代の小説を映像化した作品は多いが、本作ほど高評価を得た映画化作品はない。妻帯者である男との関係によって妊娠するも、堕胎により二度と子どもを産めない体になった女性。相手の男に子どもが生まれたことを知り、この赤ちゃんを誘拐した彼女は4年の逃亡を経て逮捕される。十数年後、大人になった被害者の女の子は4年を過ごした“母”と同様に不貞の子を妊娠して……。女性の生きづらさを浮き彫りにしつつ、社会の過酷な現実に耐える人々のドラマを紡ぐ。日本アカデミー賞では作品賞など10部門を制覇。

作品情報

公開(年):2011年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :成島出

キャスト :井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子

上映時間 :147分

 

2. 異人たちとの夏(1988年)

異人たちとの夏

舞台化もされた山田太一の小説を名匠、大林宣彦が映画化したファンタジー風味の人間ドラマ。シナリオライターの男が幼い頃に暮らしていた浅草で、12歳のときに死別したはずの両親と遭遇。子どもの頃に戻ったように両親とふれあう彼だったが、“異人(=幽霊)”との交流には人間を衰弱させる力があった……。大林監督というと尾道を舞台にした作品があまりに有名で、その点、本作は目立たない印象も受けるが、日本アカデミー賞で2部門を制するなど、映画賞を賑わせた点は無視できない。親子の交流のドラマが温かくも切ない。

作品情報

公開(年):1988年

ジャンル :人間ドラマ、ファンタジー 

監督   :大林宣彦

キャスト :風間杜夫、秋吉久美子、片岡鶴太郎、名取裕子

上映時間 :108分

 

3. 時代屋の女房(1983年)

時代屋の女房

直木賞を受賞した村松友視の同名小説を映画化。東京の街にひっそりたたずむ、「時代屋」と呼ばれる骨董屋。ある日、そこに野良猫を抱いた若い女性が転がり込んできた。“何も言わず、何も聞かずが都会の流儀”という彼女に従い、中年の独身店主は夫婦のように暮らし始めるが、彼女は何も言わずに消えては戻ってきて……を繰り返す。1985年に27歳の若さで世を去った女優、夏目雅子が奔放なヒロインを演じ、その美しい姿を永遠のものとした。人情喜劇の温かさも好評を博し、2年後にはキャストを一新して続編が製作されている。

作品情報

公開(年):1983年

ジャンル :人間ドラマ、恋愛

監督   :森﨑東

キャスト :渡瀬恒彦、夏目雅子、津川雅彦、中山貴美子

上映時間 :97分

 

4. 息子(1991年)

『男はつらいよ』シリーズでおなじみの山田洋次監督には多くの秀作があるが、本作もそのひとつ。東京でアルバイト生活を送っている青年。岩手の田舎で独り暮らしをしている父は、不安定な生活をおくる息子の身を案じていた。そんなある日、鉄工場のバイトに就いた青年は、聴覚に障がいを持つ若い女性事務員に恋をして絆を育むようになり……。家族の愛情と葛藤を見据えた物語は、『東京物語』にも似た厳しさやぬくもりを感じさせる。日本アカデミー賞では作品賞など8部門を制覇。映画賞を賑わせた俳優陣の名演も見逃せない。

作品情報

公開(年):1991年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :山田洋次

キャスト :三國連太郎、永瀬正敏、和久井映見、原田美枝子

上映時間 :121分

『息子』が公開された1990年代の松竹おすすめ映画はこちらから確認できます。時代背景を感じる作品を多く取り上げていますのでぜひご覧ください。

▼ちょっと懐かしい!90年代の邦画(日本映画)松竹作品15選

 

サスペンス・ミステリーの隠れた名作邦画(日本映画)4選

1. 白ゆき姫殺人事件(2014年)

湊かなえの小説を映画化。化粧品会社の美人OLが惨殺されるという事件が発生。TVのワイドショーのディレクターを務める男は、被害者の同僚で、事件後に行方をくらませた女性、美姫を犯人と断定して調査を進めながら、番組やSNSで情報を発信する。たちまち美姫は凶悪犯罪者として非難の的となり、プライベートがさらされるなどの騒ぎに発展。果たして彼女は、本当に犯人なのか!?SNSの炎上や報道被害などの問題は現在進行で起こっているが、それらを俯瞰しつつ現代の闇を見据えた社会派劇はミステリーともども歯応えアリ。

作品情報

公開(年):2014年

ジャンル :ミステリー、サスペンス

監督   :中村義洋

キャスト :井上真央、綾野剛、菜々緒、染谷将太

上映時間 :126分

松竹おすすめのサスペンス映画はこちらの記事で詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

▼絶対おすすめ!邦画(日本映画)サスペンス・ミステリーの松竹作品15選

 

2. 震える舌(1980年)

野村芳太郎監督は『砂の器』をはじめ本格的なサスペンスを生み出してきた名匠として知られているが、そのフィルモグラフィーの中でも異彩を放つ本作。郊外の団地に引っ越してきた一家の幼い女の子が、外で遊んでいるときに怪我をした。よくある怪我と思われたが、その後、彼女は異変に襲われ、凄まじい発作を起こしだす。破傷風と診断された少女を懸命に看病する父母だったが、彼らもその疲れによって精神的に追い込まれ……。『エクソシスト』を思わせるオカルトホラー調の演出。随所にまぶされたショック描写にドキっとさせられる。

作品情報

公開(年):1980年

ジャンル :サスペンス、ホラー

監督   :野村芳太郎

キャスト :渡瀬恒彦、十朱幸代、若命真裕子、中野良子

上映時間 :114分

 

3. 波の塔(1960年)

波の塔

松本清張の小説に基づくサスペンスの中でも、ラブロマンスの要素が強い秀作。新人の検事、小野木は謎めいた頼子という女性と恋仲に。それは頼子が人妻であると知っても続いた。やがて小野木は官庁の汚職追及の職務に就く。汚職の中心人物が、頼子の夫であるとも知らずに……。邦画の黄金期を支えた中村登監督は、『紀の川』などの文芸作品で知られる名匠。本作では権力による事件のもみ消し工作などの社会派の要素を含ませつつ主人公の奔走をスリリングにとらえ、なおかつ切ない恋物語に力点を置いた。情感に富んだ語りが光る。

作品情報

公開(年):1960年

ジャンル :人間ドラマ、ミステリー

監督   :中村登

キャスト :有馬稲子、津川雅彦、桑野みゆき、南原宏冶

上映時間 :98分

 

4. さんかく窓の外側は夜(2021年)

ミステリーではあるものの、こちらはオカルトタッチのサスペンス。ヤマシタトモコの人気漫画をベースにして、それぞれに異なった霊能力のある探偵コンビの奔走を描く。幼い頃から霊が見える現象に悩まされてきた青年が、除霊の専門家と出会ったことで、タッグを組んで心霊探偵業に乗り出した。未解決殺人事件を追う彼らは、やがて呪いをあやつる謎の女子高生の存在に行き当たり……。岡田将生をはじめとする若手俳優たちのフレッシュな共演により、ミステリーに生き生きとした活力が宿る。老若男女が楽しめるエンタテインメント。

作品情報

公開(年):2021年

ジャンル :ミステリー、サスペンス

監督   :森ガキ侑大

キャスト :岡田将生、志尊淳、平手友梨奈、筒井道隆

上映時間 :102分

 

時代劇映画(邦画)の隠れた名作4選

1. 御法度(1999年)

鬼才、大島渚の遺作にして、『戦場のメリークリスマス』以来久しぶりに男社会の愛憎に切り込んだ意欲作。幕末の世、厳格な規則によって規律が保たれていた新撰組に、若くて美しい剣士が入隊してきた。言うまでもなく、新撰組内では男色は御法度。しかし、彼の美ぼうに魅了された剣士たちは運命を狂わされ、隊長の近藤勇や副長、土方歳三、若き凄腕の剣士、沖田総司にも影響をあたえていく……。大島監督に見出された松田龍平は、これがデビュー作に。崔洋一やビートたけしなどの豪華キャストの共演はもちろん、坂本龍一による音楽も注目のポイント。

作品情報

公開(年):1999年

ジャンル :時代劇

監督   :大島渚

キャスト :松田龍平、ビートたけし、武田真治、浅野忠信、崔洋一

上映時間 :100分

 

2. 壬生義士伝(2003年)

浅田次郎の人気小説を映画化。こちらも新撰組にまつわる物語だが、ひとりの剣士にスポットを当て、そのこだわりの生き方を描き出す。盛岡から京都に飛び、新撰組の門を叩いた下級武士。性格こそ柔和だが、剣の腕は誰よりも立つ。それでいて、どういうわけか給金の請求にはうるさく、新撰組内では守銭奴呼ばわりする者も。彼のそんな態度の背後には、意外な秘密が……。主人公と仲間の志士たちとの葛藤が緊張を醸し出す一方で、家族の絆のエピソードは胸に迫るものがある。のちに『おくりびと』で米アカデミー外国語映画賞を受賞する滝田洋二郎監督の才腕に注目。

作品情報

公開(年):2003年

ジャンル :時代劇

監督   :滝田洋二郎

キャスト :中井貴一、佐藤浩市、三宅裕司、中谷美紀

上映時間 :137分

 

3. 利休(1989年)

茶道の大成者として知られる千利休と主君、豊臣秀吉の葛藤と愛憎に焦点を絞った野上彌生子の小説『秀吉と利休』を映画化。秀吉の寵愛を受け、茶道を広く世に広めた利休。しかし秀吉の部下、石田三成の台頭により秀吉と利休の関係は狂い始める。三成の策によって秀吉への忠誠を疑われ、都を追われた利休は、それでも自身の生の美学を追求し続けるが……。国宝級の茶器美術品を随所に配して、安土桃山時代の文化を絢爛たる映像で再現。利休役の三國連太郎と、秀吉を演じる山﨑努という名優ふたりの、かけあいの妙にも唸らされる。

作品情報

公開(年):1989年

ジャンル :時代劇

監督   :勅使河原宏

キャスト :三國連太郎、山﨑努、三田佳子、九代目松本幸四郎

上映時間 :135分

 

4. 北斎漫画(1981年)

北斎漫画

「富岳三十六景」などの傑作を残す一方で、春画の分野でも才気を発揮した江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の熱狂的な創作意欲に迫るドラマ。絵師を志すも芽が出ないまま中年となった北斎は、ある妖艶な美女に魅せられ、突破口を開こうとする。一方で流行作家となった友人、滝沢馬琴の書物の挿絵を描くことで、北斎の名も知られるようになった。のちに彼は、思いもよらぬ出会いから最高傑作を作り出す……。巨匠、新藤兼人の人間臭い語り口と、主演を務めた緒形拳の熱演、田中裕子や樋口可南子の艶によって、エネルギッシュな力作となった。

作品情報

公開(年):1981年

ジャンル :時代劇

監督   :新藤兼人

キャスト :緒形拳、西田敏行、田中裕子、樋口可南子

上映時間 :119分

 

小説・漫画を映画化した隠れた名作(邦画)4選

1. リトル・フォレスト(2014年)

岩手の自然に恵まれた大地で生活をしていた、五十嵐大介の実体験に基づくコミックを映画化。都会での暮らしになじめず、田舎に戻って来た女性が自給自足に近い生活をおくることに。稲や野菜を育て、山菜を採取し、日々の糧を得る。四季折々の自然と向き合う彼女は、その果てに何を見るのか?4部に分かれた作品で、劇場では“夏/秋編”と、“冬/春編”のふたつに分けられ公開された。自然の恵みから食材を得て、他では得ることのできない食事をつくり、明日への活力を得る、そんな主人公を橋本愛が凛とした存在感とともに好演。

作品情報

公開(年):2014年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :森淳一

キャスト :橋本愛、三浦貴大、松岡茉優、桐島かれん

上映時間 :111分

リトル・フォレスト 夏・秋を見る

リトル・フォレスト 夏・秋は、「夏に見たい映画」としてこちらの記事でも紹介していますので、こちらもあわせて見てみてください。

▼おうちでも夏を満喫したい!夏に観たい映画5選

リトル・フォレスト 冬・春を見る

 

2. 東京喰種 トーキョーグール(2017年)

映画化不可と思われた石田スイ原作の人気コミックを、漫画のスピリットに沿って忠実に実写映画化したダークファンタジー。人間以外に“喰種(グール)”と呼ばれる食人人種が息を潜めて暮らしている東京。大事故に遭い、病院で偶然グールの臓器を移植された大学生カネキは以来、人間の理性とグールの食人欲を併せ持つ半喰種となる。とまどいながらも、グールの仲間の助けを得て、彼は人間社会に溶け込もうとするが……。人間ではなくなってしまった者の苦悩と格闘のドラマがスリリングに展開。よりバイオレントな続編『東京喰種 【S】』ともども必見!

作品情報

公開(年):2017年

ジャンル :アクション、ファンタジー

監督   :萩原健太郎

キャスト :窪田正孝、清水富美加、鈴木伸之、大泉洋

上映時間 :119分

 

3. 植物図鑑 運命の恋、ひろいました(2016年)

「阪急電車」などで知られる作家、有川浩の大人気恋愛小説を映画化。仕事もプライベートも行き詰ったOLが酔った勢いで、コンビニの前で行き倒れていた青年を拾って連れ帰った。翌朝目覚めると、青年が作った朝食が並んでおり、手料理とは無縁の生活をおくっていた彼女は嬉しさのあまり涙する。以後、彼らは奇妙な共同生活を続けることになるが……。忙しさの中で忘れがちな、好きな人と食卓を囲む温かさは、幸福の意味を考えさせずにおかない。岩田剛典と高畑充希の相性抜群の共演も見どころだ。

作品情報

公開(年):2016年

ジャンル :恋愛

監督   :三木康一郎

キャスト :岩田剛典、高畑充希、阿部丈二、宮崎美子

上映時間 :112分

 

4. 鴨川ホルモー(2009年)

万城目学のデビュー小説を映画化した青春ファンタジーコメディ。二浪して京大に入学した安倍は新歓コンパのタダメシに釣られて、謎めいたサークルに入会。ただのレジャーサークルと思われたそれは、京都の町に巣くう鬼や式神を駆使する競技“ホルモー”を専門とする、超自然的な体育会系サークルだった!競技の恐ろしさを目の当たりにしつつも、安倍はこのバトルから抜け出せなくなってしまう……。京都でオールロケを敢行し、2000匹以上の鬼がそこを走り回る奇想天外さ。怪優、山田孝之の熱演ともども見逃すべからず!

作品情報

公開(年):2009年

ジャンル :ファンタジー

監督   :本木克英

キャスト :山田孝之、栗山千明、濱田岳、石田卓也

上映時間 :113分

 

隠れた邦画(日本映画)の名作はDVDや動画配信サービスで

DVDやブルーレイなどの映像ソフトはもちろんネット配信サービスも充実し、自宅で映画を楽しむための間口が広がった今、これらの隠れた邦画の名作も見つけやすくなりました。ヘビーな映画ファンにも、ライトなファンにも、嬉しい時代。今すぐチェックしましょう!

 

まとめ

いくつかの作品を紹介しましたが、“隠れた名作”はまだまだ存在します。映画ファンなら、“あれが入ってないのは、なぜ!?”という疑問が起こっても不思議ではありません。そう、映画のファンの数だけ、“隠れた名作”があるのです。自分だけの名作を求めて、どんどん掘り起こしてみてはどうでしょう。

また別の記事では邦画名作について紹介していますのでこちらもあわせて見てみてくださいね。

▼傑作から話題作まで!名作邦画(日本映画)の松竹作品15選

 

この記事を書いた人

相馬学

1966年、秋田県生まれ。情報誌の編集を経てフリーライターとなり30年。「SCREEN」「DVD&動画配信でーた」などの雑誌や劇場パンフレットなどの紙媒体、「シネマトゥデイ」「ぴあ映画生活」「CINEMORE」「Re:minder」などのインターネット媒体で取材記事やレビュー、コラムを執筆。

※おすすめ作品は松竹の担当者が選びました。

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