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邦画(日本映画)の全盛期!1950年代の映画史と松竹作品15選
2023.06.01
はじめに
邦画(日本映画)に興味があり、クラシカルな名作、海外にも影響を与えている傑作、基礎教養として知られている話題作などにぜひ触れてみたい、という方はきっと多いはず。が、しかし!あまりにも数が多すぎて、どこから手をつけたらいいのか分かりにくいのが現状です。
そこで今回は、黄金時代と謳われている「1950年代の邦画(日本映画)」の中から松竹おすすめの15作品をセレクトしました。
1950年代の日本映画界の状況や邦画作品の特徴についても紹介しているのでぜひ気になる作品を見つけてみてください。
松竹ではおうちで楽しめるDVDを販売しています。公式サイトからぜひチェックしてみてください。
1950年代の日本映画界の状況と邦画作品の特徴は?
1950年代の日本映画界を語るとき、まず外せないのが敗北で終わった先の戦争、第二次世界大戦(1939‐1945)です。
戦後、日本では製作される映画に対し、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の「検閲」が行われていました。具体的には下部組織CIE(民間情報教育局)やCCD(民間検閲支隊)が管理し、企画を立てると脚本を含め全て英訳し、許可を受け、完成作もチェックが実施されました。
一番制限されたのは邦画のメインジャンル「時代劇」で、刀を振り回す剣劇は軍国主義的であり、敵討ちなど復讐の賛美がアメリカ合衆国に対する敵対心を喚起すると見なされました。この映画検閲が廃止されたのは、サンフランシスコ講和条約が締結された翌年の1952年。ここから邦画の復興に拍車がかかります。
ところで戦中、戦後、各社の名だたる監督たちの境遇は様々でした。例えば天才と称された山中貞雄は召集され、1938年に中国で戦病死してしまいます。また国内では戦意高揚の国策映画を撮る者や、そのために戦地へと派遣される者もいました。
黒澤明は運よく軍役を逃れ、『姿三四郎』(1943年)で監督デビュー。徴兵されて中国各地を転戦し、ケガと病を患って帰国した木下惠介も同じ年に『花咲く港』でデビューを飾り、翌年、『陸軍』で国策映画ながら、出征する息子を見送る母親の哀しみをカメラの長回しでエモーショナルに捉え、厭戦の意志を潜ませました。
溝口健二は軍部の要請に則りながら、製作費をかけて自分の様式美を拡張させ、中国戦線へ徴兵された小津安二郎は1939年、帰国後に撮影所に復帰するも1943年、軍報道部映画班員としてシンガポールへ。帰還したのは1946年のことでした。終戦後も中国に残留していた内田吐夢は1954年にようやく復員しています。監督たちのこうした経験のもと、1950年代の邦画には“戦争の影”があちらこちらに差し込むこととなります。
その一方、1950年代は創作的な自由を得て、それぞれの資質、才能がいっそう花開き、海外でも評価が上昇していった年代でもありました。ではこの時代、「世界三大映画祭」を獲得した監督と作品にはどのような作品があるのでしょうか。
1950年代に「世界三大映画祭」を獲得した監督と作品
- 黒澤明『羅生門』(1950年)/第12回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)に。
- 溝口健二『西鶴一代女』(1952年)/第13回ヴェネチア国際映画祭で国際賞に。
- 溝口健二『雨月物語』(1953年)/第14回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞に。
- 衣笠貞之助『地獄門』(1953年)/第7回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール(グランプリ)に。
- 溝口健二『山椒大夫』(1954年)、黒澤明『七人の侍』(1954年)/第15回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞に(同時受賞)。
- 市川崑『ビルマの竪琴』(1956年)/第17回ヴェネチア国際映画祭でサン・ジョルジョ賞(銀賞)に。
- 今井正『純愛物語』(1957年)/第8回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(最優秀監督賞)に。
- 黒澤明『隠し砦の三悪人』(1958年)/第9回ベルリン国際映画祭で銀熊賞に。
- 稲垣浩『無法松の一生』(1958年)/第19回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に。
- 小林正樹『人間の條件 第一部 純愛篇/第二部 激怒篇』(1959年)/第21回ヴェネチア国際映画祭でサン・ジョルジョ賞とパシネッティ賞(映画批評家賞)に。
このように国際的評価を獲得しつつ、1950年代の邦画は国内でも活況を呈し、1958年、映画館への入場者数は年間11億2745万人とピークに達することとなりました。
1950年代~2000年代の松竹おすすめ映画はこちらから確認できます。時代背景を感じる作品を多く取り上げていますのでぜひご覧ください。
松竹担当者が選ぶ!1950年代おすすめの邦画(日本映画)15選
そんなふうに日本映画界が大きく躍進した1950年代。
数ある作品の中から松竹担当者がおすすめしたい15の邦画作品を紹介します。
1. 長崎の鐘(1950年)
NHKの朝ドラ『エール』(2020年)では吉岡秀隆が演じていた人物のモデル、原子医学に生涯を捧げた永井隆博士のベストセラー手記の映画化。戦時中は放射線治療研究で被爆し、しかもあの長崎に投下された原子爆弾の被害にも。撮影時、日本はまだGHQの占領下ゆえに、原爆についての描写には検閲と言論統制があった。しかし大庭秀雄監督の手腕によって伝記モノにメロドラマ要素も巧みに加味され、「原爆を扱った劇映画第1号」にして永井博士(若原雅夫)とその妻(月丘夢路)の夫婦愛、さらには家族愛が胸迫る感動作に。
作品情報
公開(年):1950年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :大庭秀雄
キャスト :若原雅夫、月丘夢路、西條鮎子、河村黎吉、津島恵子、滝沢修
上映時間 :94分
2. 麥秋(1951年)
役柄は違うが名前のみ同じ、小津組で原節子がとりわけ輝いた「紀子三部作」の1本で『晩春』(1949年)、『東京物語』(1953年)の間に入る作品。終盤に用意されている記念写真を撮る場面がさりげなくドラマティックで、それは北鎌倉の「間宮家の7人」がカメラ前に集う図にして、家族の定めと各々の思い、そこには並べなかった(紀子の)亡き兄の存在にも光を注いだシーンである。当時の邦画や他の小津作品同様、先の戦争の影が垣間見え、叙情と共に無常さをも感じさせる。英題は『Early Summer』だが『All Things Must Pass』(万物は流転する)としてもいいと思う。
作品情報
公開(年):1951年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :小津安二郎
キャスト :原節子、淡島千景、笠智衆、二本柳寛、三宅邦子、佐野周二、菅井一郎
上映時間 :124分
3. 白痴(1951年)
文豪ドストエフスキーに傾倒した“世界のクロサワ”、黒澤明が同名原作の背景を昭和20年代の札幌に移し、念願の企画に挑んだ渾身の作である。戦争体験で心を病んだものの無垢な魂を持つ男(森雅之)と、彼に引き寄せられた人々(原節子、三船敏郎、久我美子)を通じて「真に善良な人間像」を突き詰めてゆく。黒澤監督の特異な才能の一つは、何事も徹底的に過剰に描くところ。ここでは瞬きを禁止し、4名の豪華主要キャストの演技は何かに取り憑かれたかのよう……結果、鬼気迫るテンションの四角関係ドラマとなった。
作品情報
公開(年):1951年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :黒澤明
キャスト :原節子、森雅之、三船敏郎、久我美子、志村喬、東山千栄子
上映時間 :166分
4. 自由学校(1951年)
男らしさ、女らしさとは!?先駆的なジェンダー観が綴られ、しかもギャグ満載、戦後派カップル(淡島千景・佐田啓二)ほか奇天烈な人物たちがクセになるポップなホームコメディ。結婚9年目、“自由”を求めて勝手に会社を辞め、妻(高峰三枝子)に家を追い出されたグータラ夫(佐分利信)は新天地のホームレス生活へ。一方、束の間フリーとなった彼女はモテモテ状態に!世相風俗描写に長けた渋谷実監督が、流行作家・獅子文六の同名小説をコミカルかつシニカルに調理し、早くもジェンダー問題に一石投じたようなラストシーンも◎。
作品情報
公開(年):1951年
ジャンル :コメディ
監督 :渋谷実
キャスト :高峰三枝子、佐分利信、三津田健、淡島千景、佐田啓二、望月優子
上映時間 :119分
5. 本日休診(1952年)
喜劇なのに悲劇的、いや、痛ましいのにどこか滑稽でもある“渋谷実ワールド”と、ユーモアとペーソスの作家・井伏鱒二の小説は相性バッチリ。物語の語り手は東京の下町の医者(柳永二郎)で、たとえ開業1周年の休診日であろうと情に厚い彼は急患の対応に勤しみ、往診もいとわない。終戦直後のバイタリティ溢れる市井の人々、その人間模様を通して戦争の傷跡が露わになり、とりわけ精神を病んだ復員兵の奇矯なエピソードの数々に泣き笑い。演じたのは今作を晩年、「自選の10本」へと入れた大俳優・三國連太郎である。
作品情報
公開(年):1952年
ジャンル :コメディ
監督 :渋谷実
キャスト :柳永二郎、鶴田浩二、角梨枝子、淡島千景、佐田啓二、岸惠子、三國連太郎
上映時間 :97分
6. お茶漬の味(1952年)
小津監督の大好物が題名に。ではグルメ映画なのか?ある意味ではそうとも言える(だが決して食べ物をアップにはしない)。サブキャラ(鶴田浩二、津島恵子)のためにラーメン屋での名シーンが用意されていて、極め付けは主人公の中年夫婦(佐分利信、木暮実千代)が一緒に美味そうにお茶漬を食べる。倦怠期をこじらせ、すっかり心が通わなくなっていたのに。小津流のラブコメディでテンポよくサクサクと進み、ガールズトークあり、ツンデレ展開も。『孤独のグルメ』ファンも必見。原作漫画でしっかり本作について触れられているのだ!
作品情報
公開(年):1952年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :小津安二郎
キャスト :佐分利信、木暮実千代、鶴田浩二、淡島千景、津島恵子、笠智衆
上映時間 :115分
7. 東京物語(1953年)
2022年、イギリスの映画専門誌「Sight&Sound」の10年ごとに更新されるオールタイムベストで第4位に選ばれるなど、現在、国内外で最も評価の高い邦画だ。
東京で暮らす子供たちを、尾道に住む老夫婦(笠智衆、東山千栄子)が20年ぶりに訪ねる――と話の縦軸はシンプルなのだが、横軸の、世界中を共感させる「人生のロードムービー」成分がポイント高し。誰ひとり、型通りな人物はおらず(原節子扮する心優しい義理の娘さえも!)、チクッと人間関係の“棘”がそこかしこに顔を覗かせ、それぞれの気持ちがじんわり伝わってくる。描かれる機微が、(観る側の経験値に比例して)我が事と化す小津安二郎流の「体感映画」なのだ。
作品情報
公開(年):1953年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :小津安二郎
キャスト :原節子、笠智衆、東山千栄子、山村聰、香川京子、杉村春子
上映時間 :135分
世界の映画関係者を魅了した小津監督の映画人生と松竹おすすめの作品は別の記事でも紹介しています。
▼関連記事:2023年に生誕120年を迎える小津安二郎。世界を魅了する映画作りの秘密
8. 君の名は・第一部(1953年)
美男美女の受難劇はいつの世もエンタメの基本だが、松竹メロドラマの名手・大庭秀雄監督の大ヒット三部作、春樹(佐田啓二)と真知子(岸惠子)の波瀾万丈の恋路もそのひとつ。昭和20年、東京大空襲の夜に数寄屋橋にて運命的に出会い、互いの名前も知らぬまま半年後の再会を約束した二人にすれ違いと試練とがループし続ける。ストールの真知子巻きを流行らせるほど社会現象を起こし、様々な恋愛物の原型となった“焦らしの作法”はケータイ時代にも形を変えて生き、新海誠監督の『君の名は。』(2016年)にも継承されている!
作品情報
公開(年):1953年
ジャンル :メロドラマ、恋愛
監督 :大庭秀雄
キャスト :岸惠子、佐田啓二、淡島千景、川喜多雄二、小林トシ子、月丘夢路
上映時間 :127分
9. 二十四の瞳(1954年)
タイトルに改めて注目を! つまりは12名の子供=“二十四のつぶらな瞳”が見つめている、ということ。それを受け止めるのは昭和3年、瀬戸内海に浮かぶ小豆島の分教場へとやってきた新米先生(高峰秀子)だ。壺井栄の原作と木下惠介監督の端正な演出が手を結んだ、初々しくも毅然とした彼女と“二十四のまなざし”の物語。その数字に、澄んだ視線に、変化が起きてしまうことの残酷さ、理不尽さよ。「これを観て感情が1ミリも動かないなんてヤバいっす!!」と、そんな極論を、胸を張って叫びたくなるほどの名篇である。
作品情報
公開(年):1954年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :木下惠介
キャスト :高峰秀子、月丘夢路、小林トシ子、井川邦子、田村高廣、笠智衆
上映時間 :156分
10. 野菊の如き君なりき(1955年)
「道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」。そんな名台詞を書いたのは、明治期に活躍した小説家・伊藤左千夫。旧家の次男・15歳の政夫と2歳上の従姉・民子の身分違いの切ない恋を、名匠・木下惠介監督が信州の美しい自然を舞台に抒情豊かに綴った珠玉作だ。老人(笠智衆)となった政夫が戦後、数十年ぶりに帰郷し、過ぎ去りし日々を追憶しているという構成。この回想シーンの画面づくりが木下監督らしく実験性に富んでいて、アルバム写真のように楕円のフレームで囲んでいるのだった。全編、リリカルな映像詩が沁みる。
作品情報
公開(年):1955年
ジャンル :恋愛
監督 :木下惠介
キャスト :田中普二、有田紀子、田村高廣、杉村春子、松本克平、笠智衆
上映時間 :92分
11. 美わしき歳月(1955年)
本作は、昭和・平成ドラマ史上に輝くあの青春群像シリーズを先取りした、松竹映画版『ふぞろいの林檎たち』なのかも。監督は(のちに国際的評価を得る)小林正樹。脚本は松山善三で、共に木下惠介の愛弟子だ。激動の戦後社会で自分の生き方を模索する若者たちの話だが、喧嘩をしながらも友情を育む三人組のひとり、キャバレーのジャズドラマー役を好演したのは大スターの佐田啓二。何と実子・中井貴一は長じて『ふぞろい〜』のメインキャストとなり、しかも脚本は木下組出身の山田太一と、深い繋がりがあるのだった。
作品情報
公開(年):1955年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :小林正樹
キャスト :佐田啓二、久我美子、田村秋子、小林トシ子、野添ひとみ、山形勲
上映時間 :125分
12. 大忠臣蔵(1957年)
これはもう文化遺産といっていいだろう。ご存知「江戸城本丸、松之大廊下の刃傷事件」が引き金となった、“四十七士”と呼ばれる義士たち(赤穂浪士)のリベンジ劇。しかも江戸時代の歌舞伎の名作『仮名手本忠臣蔵』をベースに映画化したレア作なのだ。巨費を投じた豪華絢爛たるセット、各界のトップスターの競演が実に目に愉しい。特に歌舞伎界のビッグネーム、二代目市川猿之助や八代目松本幸四郎、そして後にそれを継ぐ市川團子(現・二代目市川猿翁)、市川染五郎(現・二代目松本白鸚)らの若き雄姿も観られるのが貴重である。監督は松竹時代劇を牽引した大曾根辰保。
作品情報
公開(年):1957年
ジャンル :時代劇
監督 :大曾根辰保
キャスト :二代目市川猿之助、高田浩吉、高千穂ひづる、大木実、山田五十鈴
上映時間 :155分
13. 張込み(1958年)
「人生の陰影が刻まれた傑作小説=松本清張サスペンスの映画化」と言えば脚本・橋本忍、野村芳太郎監督の名コンビだが、その3ペア(と敏腕スタッフ)が初めて揃った記念碑的作品だ。逃走中の強盗殺人犯(田村高廣)が元恋人(高峰秀子)を訪ねる可能性に賭け、刑事二人組(宮口精二、大木実)が九州・佐賀の町で猛暑の中、粘り強く看視を続ける。並行してヒロインや若手刑事の心情が浮上する構成にワザあり。セミ・ドキュメンタリータッチの演出も秀逸で、清張が「自作の映画化ベスト3」の1本に挙げるほどの完成度。
作品情報
公開(年):1958年
ジャンル :サスペンス
監督 :野村芳太郎
キャスト :大木実、高峰秀子、田村高廣、高千穂ひづる、宮口精二、北林谷栄
上映時間 :116分
松竹おすすめのサスペンス映画はこちらの記事で詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
▼絶対おすすめ!邦画(日本映画)サスペンス・ミステリーの松竹作品15選
14. 彼岸花(1958年)
監督小津安二郎監督の初のカラー(総天然色)作品で、大映のスター・山本富士子を招いて撮った――というだけでも尊い一本!相談もなく結婚相手を決めた長女(有馬稲子)に対し、堅物な父親(佐分利信)は動揺を隠せない。その友人(笠智衆)のひとり娘(久我美子)は駆け落ちし、同棲生活をゲット。それぞれの結婚話を中心に、世代間の考え方、価値観の相違が際立っていく。そんな中、母親が祇園の旅館の女将、山本富士子扮するキーパソンの仕掛ける“トリック”が人生ゲームを華麗に動かしてみせる。彼女のたおやかな京ことばも最高だ。
作品情報
公開(年):1958年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :小津安二郎
キャスト :佐分利信、山本富士子、有馬稲子、佐田啓二、高橋貞二、久我美子
上映時間 :118分
15. 人間の條件 第一部・第二部(1959年)
今や“名優”の代名詞である仲代達矢の映画初主演作は、小林正樹監督に抜擢されたこの『人間の條件 第一部・第二部』。シリーズは全6部で、劇場公開時は2作ずつ公開された。満州に従軍し受難の道を歩むエリート青年・梶という役柄に、仲代は26歳から29歳まで心身を捧げた。「第一部 純愛篇」では満州鉱山の監理者に就くが、憲兵軍曹と対立、「第二部 激怒篇」では特殊工人の脱走事件と処刑に伴って軍部に反旗を翻すことに。五味川純平の自伝的な同名ベストセラー小説が原作だが、戦地での軍隊体験があった小林監督の深い“念”も込められている。
作品情報
公開(年):1959年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :小林正樹
キャスト :仲代達矢、新珠三千代、佐田啓二、山村聰、石浜朗、有馬稲子
上映時間 :201分
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1950年代には他にも気になる名作邦画(日本映画)がたくさん!
ここまで松竹おすすめの15作品について紹介してきたが、1950年代にはまだまだ魅力的な作品がたくさん!
- 中村登『修禪寺物語』(1955年)/『波』(1952年)
- 斎藤寅次郎『東京キッド』(1950年)
- 川島雄三『学生社長』(1953年)/『お嬢さん社長』(1953年)
- 穂積利昌『この世の花』(1955年)
- 五所平之助『挽歌』(1957年)/『黄色いからす』(1957年)
- 山本薩夫『赤い陣羽織』(1958年)
- 番匠義彰『三羽烏三代記』(1959年)
作品については別のページでも確認できるのでぜひ見てみてください!
まとめ
いかがでしたか?気になる作品に出会えましたか。
普遍的なテーマや、歴史的な価値のあるもの、今に繋がる先駆性を持った作品はこの先も生き残っていきます。「モノクロ映画は何だか古臭い」という先入観を持つ人もいるかもしれませんが、映画は光と影の芸術。そこには“永遠の美意識”が宿っています。
「パッケージソフト」や「配信サービス」が充実している今。興味が湧き、実際に“観て良かった”と感じられる作品が見つかれば幸いです!
松竹の邦画名作品は別の記事でも紹介しています。
こちらもぜひご覧ください。
この記事を書いた人
轟夕起夫
洋画も観ますが、とりわけ邦画(日本映画)全般を視野に入れ、仕事をしています。単著は『映画監督になる15の方法』(洋泉社)、『轟夕起夫の映画あばれ火祭り』(河出書房新社)、共著・編著は『清/順/映/画』(ワイズ出版)、『好き勝手夏木陽介 : スタアの時代』(講談社)、『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』(スペースシャワーブックス)など。過去の文章やインタビュー記事をアーカイブした「読む映画館 轟夕起夫NET」 というサイトもあります。
※おすすめ作品は松竹の担当者が選びました。