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傑作から話題作まで!名作邦画(日本映画)の松竹作品30選
2023.06.01 (最終更新日: 2025.02.27)

はじめに
130年の映画の歴史の中で、邦画という分野は日本のみならず、世界中に傑作を届けてきた。そんな歴史に残る作品を見逃していませんか?
映画館やソフトに加えて配信でも見ることが可能になり、映画がより身近になった今、改めて邦画の名作を振り返ってみよう。
松竹ではおうちで楽しめるDVDを販売しています。公式サイトからぜひチェックしてみてください。
邦画(日本映画)のこれまでと、これから

19世紀、トーマス・エジソンによって発明された“キネトスコープ”は1896年に日本に輸入され、その2年後には日本でもこの技術を応用した短編作品が作られるようになりました。これが邦画の始まり。当時の映画は音声のない、いわゆる“サイレント”で、上映には活動写真弁士と呼ばれるナレーターの語りが加えられました。1929年には“トーキー”と呼ばれる音声付の映画が上陸し、映画の人気は沸騰。第二次世界大戦によって一時下火になるものの、戦後の復興とともに映画人気はかつてないほど盛り上がりを見せていきます。1958年には映画人口が11億人を突破。2022年の映画人口が1億5千万人なので、これと比べても映画館で映画を見る人が、いかに多かったかがわかるでしょう。
また、これに呼応するかのように邦画は多彩な作品が作られるようになり、世界的な評価も高まっていきます。黒澤明の『羅生門』が1951年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したのを皮切りに、溝口健二の『雨月物語』、黒澤明『七人の侍』、衣笠貞之助『地獄門』などが世界の権威ある映画祭で高く評価され、海外の注目を集めました。現在も世界で愛されている特撮映画の定番『ゴジラ』が誕生したのも、この時期です。
しかし1960年を境に、テレビが家庭に普及していったことにより映画人口は減少の一途をたどり、1980年代に下げ止まります。それまで邦画は洋画を超えるシェアを誇っていましたが、この時期になると逆転現象が起こるようになり、80~90年代は“洋高邦低”と言われる時期が続きました。しかし21世紀を過ぎると、邦画は息を吹き返し、2008年以降は邦画のシェアが洋画を上回ります。
21世紀以降、シネマコンプレックス、いわゆるシネコンが日本各地に設置されるようになり、それまで1億2千人で推移していた映画人口も、1億6千万人前後に上昇。コロナ禍で一時は落ち込んだものの、2022年は回復傾向が見られました。現在は映画館だけでなく、ソフトに加えて、インターネット配信も盛んに行なわれるようになり、パソコンやタブレット、スマートフォンで気軽に映画を楽しむことができます。賛否のある状況ではあるが、映画が、そして邦画が、より身近になったことには違いありません。
年代別の松竹おすすめ映画はこちらから確認できます。時代背景を感じる作品を多く取り上げていますのでぜひご覧ください。
邦画(日本映画)における松竹作品

1895年に創業された松竹は、元々は演劇の興行を行なう会社としてスタートしました。映画事業に進出したのは1920年で、以来100年以上にわたり、製作から配給、興行までを行ない、多くの作品を世に送り出しています。日本初の本格的なトーキー映画として有名な『マダムと女房』(1931年)、邦画初のカラー作品とされている『カルメン故郷に帰る』(1951年)、世界に認められた至宝『東京物語』(1953年)、国民的な喜劇シリーズ『男はつらいよ』(1969年~)など、多くの人に長く愛される作品を製作しています。今回はそんな数多くの映画から、選りすぐりの作品をご紹介します。
話題になった名作邦画(日本映画)6選
古い映画だけが名作じゃない!21世紀も語り継がれるべき邦画が次々と誕生しています。時代を的確にとらえ、今を生きる人々の心情を反映した、素晴らしき映画たちに注目を!
1. 武士の一分(2006年)
藤沢周平の時代小説を映画化した山田洋次監督作品には『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』があるが、本作もそれらに並ぶ秀作。藩の務めによって視力を失ったうえに、上役に妻を奪われた武士の復讐が描かれる。貧しくとも生き方を曲げない武士の誇りが、切なくも美しい。木村拓哉の硬派なたたずまいも魅力的だ。
作品情報
公開(年):2006年
ジャンル :時代ドラマ
監督 :山田洋次
キャスト :木村拓哉、檀れい、笹野高史、十代目坂東三津五郎
上映時間 :121分
2. 超高速!参勤交代(2014年)
江戸時代中期、8日間の参勤交代を4日間で成し遂げよ……との命令を幕府から下された弱小藩。そこで彼らが実行に移した奇策とは!?
優秀な脚本に送られる城戸賞を受賞し、ノベライズがベストセラーとなった傑作シナリオを映画化。近道を探したり、忍者を雇ったりなどの悪戦苦闘が面白い。逆境に立ち向かう人々の熱意も魅力。
作品情報
公開(年):2014年
ジャンル :時代ドラマ
監督 :本木克英
キャスト :佐々木蔵之介、深田恭子、伊原剛士、寺脇康文
上映時間 :119分
3. 植物図鑑 運命の恋、ひろいました(2016年)
人気作家、有川浩の原作をラブストーリー主体で映画化。自宅マンション前で倒れていた青年、樹を助け、期限付きで自分の部屋に住まわせることになったOLのさやか。料理上手で野草に詳しい彼の存在に、樹の心は傾いていくが、この恋はやがて意外な局面を迎える。生活に疲れているヒロインを包み込むような、樹のやさしさが強く印象に残る。胸に迫るクライマックスはもちろん、岩田剛典と高畑充希のフレッシュな共演も好評を呼んだ。
作品情報
公開(年):2016年
ジャンル :ラブストーリー
監督 :三木康一郎
キャスト :岩田剛典、高畑充希、阿部丈二、今井華、宮崎美子
上映時間 :112分
4. 空飛ぶタイヤ(2018年)
運送会社を営む男が気づいたトラックの欠陥。同じころ、トラックの系列である銀行の行員が同自動車メーカーの不正に気付く。その間に潜む真実とは!?
『半沢直樹』シリーズの人気作家、池井戸潤の同名小説を映画化。守るべきもののために不正に立ち上がった男たちの意気が熱い。イキのよい若手俳優たちの熱演にも注目を。
作品情報
公開(年):2018年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :本木克英
キャスト :長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生、深田恭子
上映時間 :120分
5. ザ・ファブル(2019年)
南勝久の同名人気コミックを岡田准一の主演で映画化。仕事ぶりが目立ちすぎたため、ボスに“一年間、誰も殺すな”という隠遁命令を下された凄腕の殺し屋。普通の生活を送ろうと奮闘するも、トラブルは彼を放っておかなかった!
本格派の肉弾アクションはもちろん、どこかトボケた主人公像からにじみ出るユーモアも味。
作品情報
公開(年):2019年
ジャンル :アクション
監督 :江口カン
キャスト :岡田准一、木村文乃、山本美月、佐藤浩市
上映時間 :123分
6. ある男(2022年)
日本アカデミー賞で作品賞など8部門を制した重厚なサスペンス。芥川賞作家、平野啓一郎の同名小説を原作にしている。再婚相手と死別した女性が知る、思いがけない事実。亡き夫は、彼が名乗っていた人間とは別人だった。弁護士の調査によって明らかになる、衝撃の事実とは!? 亡き夫はもちろん、妻、弁護士ら、それぞれの人生がミステリーをとおして浮き彫りになり、人生において人が背負っているものの重さを伝える。俳優陣の演技のアンサンブルも素晴らしく、歯応え十分だ。
作品情報
公開(年):2022年
ジャンル :ミステリー、サスペンス
監督 :石川慶
キャスト :妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝、柄本明
上映時間 :121分
時代を超える昭和の名作邦画(日本映画)5選
素晴らしい映画は時を超えて観客の心に届くもの。今なお愛され続け、新しい世代にも響き、なおかつ国境をも超える、そんな昭和の名作。見逃し厳禁です!
1. 東京物語(1953年)
世界中のフィルムメーカーの指標となった、日本が誇る名作中の名作。家庭を持った子どもたちのもとを訪ね歩く老夫婦の旅は、ほろ苦い結末を迎える……。仕事に追われる世代の忙しさと家族愛のギャップ、老いていくことの孤独、そして決して落ち着くことを許されない人間のさが。
名匠、小津安二郎が端正に、人生の縮図を描き出す。
作品情報
公開(年):1953年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :小津安二郎
キャスト :原節子、笠智衆、東山千栄子、山村聡
上映時間 :135分
2. 二十四の瞳(1954年)
壺井栄の名著を映画化。昭和3年、小豆島の小さな分校に赴任してきた若い教師、大石。12人の小学生に慕われ、彼女は子どもたちと絆を育んでいく。しかし、時代は戦争と貧困の時代に突入しようとしていた。彼らの絆は激動の世相に揺さぶられていく。約20年の物語の中で、ある者は命を落とし、ある者は過酷な生を強いられる。名匠、木下惠介監督は、そんな人間ドラマを見つめながら、昭和の混沌を浮かび上がらせる。大石先生と生徒たちの交流や、懸命に生きる人々の姿は観る者の胸を打つに違いない。
作品情報
公開(年):1954年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :木下惠介
キャスト :高峰秀子、月丘夢路、小林トシ子、田村高廣、笠智衆
上映時間 :156分
3. 幸福の黄色いハンカチ(1977年)
第一回日本アカデミー賞をはじめとする、国内の映画賞を独占した感動作。道中をともにする若い男女が旅の途中で出会った、前科者の男。愛する者のもとへ帰ろうとしている彼の旅の終着地は?
人生の機微を体現した高倉健の名演、若き日の武田鉄矢と桃井かおりの好演ともども、味わい深いドラマを堪能して欲しい。
作品情報
公開(年):1977年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :山田洋次
キャスト :高倉健、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり
上映時間 :108分
4. 復讐するは我にあり(1979年)

佐木隆三氏の同名ノンフィクション小説を、『楢山節考』の鬼才、今村昌平監督が映像化。主人公は、金目当てでふたりの男を殺害して逃亡した詐欺師、榎津。日本各地を転々とし、愛人をつくっては、また悪事に手を染める、そんな生き様の背後には、厳格なクリスチャンだった父への反発が秘められていた…。盗みにも殺しにも良心の呵責を抱かない主人公像は強烈そのもの。偽善的な父に対する憎悪から、ただ堕ちるしかなかった男。その宿命を、緒形拳が強烈な存在感とともに熱演する。
作品情報
公開(年):1979年
ジャンル :サスペンス
監督 :今村昌平
キャスト :緒形拳、三國連太郎、倍賞美津子、小川真由美、ミヤコ蝶々
上映時間 :140分
5. 蒲田行進曲(1982年)

直木賞を受賞したつかこうへいの戯曲を鬼才、深作欣二が映画化。しがない大部屋俳優が、憧れの大スターに妊娠した愛人を押し付けられる。彼女と所帯を持とうと奮闘する彼の未来はどうなる!?
体を張って生きる人間の熱意をときにホットに、ときにユーモラスに活写。これが出世作となった風間杜夫と平田満の好演にも注目を。
作品情報
公開(年):1982年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :深作欣二
キャスト :松坂慶子、風間杜夫、平田満、高見知佳
上映時間 :109分
ホラーの名作邦画(日本映画)5選
“怖いもの見たさ”という言葉があるように、人は恐ろしいものを簡単には無視できません。ホラー映画の世界も同様。怖くても目が離せない名作を、ぜひ楽しんでください!
1. 吸血鬼ゴケミドロ(1968年)
あのクエンティン・タランティーノもお気に入りの一作に挙げているJホラーの古典的な傑作。旅客機が謎の事故により岩山に墜落するという事件が発生。生存者はわずかだったが、その中に宇宙生物に肉体を乗っ取られて吸血鬼と化してしまった者がいた!その存在は、助けを待つ人々の極限状態をさらに緊迫させていく。CGがまだなかった時代に、赤く染まる空やおぞましいクリーチャーなど、強烈なビジュアルを創造。サバイバルの緊張感も見逃せない。
作品情報
公開(年):1968年
ジャンル :SF、ホラー
監督 :佐藤肇
キャスト :吉田輝雄、佐藤友美、高英夫、金子信雄
上映時間 :84分
2. こどもつかい(2017年)
『呪怨』シリーズの清水崇監督が手がけた滝沢秀明映画初主演の衝撃作。子どもが失踪するという事件が続発。奇妙なことに、親たちは子どもの失踪の3日後に変死を遂げていた。その謎を追う記者は、保育士である恋人を守るために奔走し、やがて児童虐待の事実と、そこに秘められていた怨念に行き当たる!一見無垢な子どもがホラーキャラクターと化していく姿はショッキングそのもの。彼らを操る人物の正体が明かされるミステリーも魅力的で、目が離せない。
作品情報
公開(年):2017年
ジャンル :ホラー
監督 :清水崇
キャスト :滝沢秀明、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、門脇麦、西田尚美
上映時間 :111分
3. 事故物件 恐い間取り(2020年)
“事故物件住みます芸人”として活動してきた松原タニシのベストセラーを映画化。売れない若手芸人が、いわくつきの住居物件を探してはそこに住むという企画番組に駆り出される。これが評判となり、彼は一躍、人気者となった。だが、より危険な事故物件に住んだことから、彼は想像を絶する恐怖に直面してしまう。寝食の生活空間という、ごくごく普通のスペースが得体の知れない“何か”に侵食されていく恐怖がリアル。主演を務めた亀梨和也の熱演が緊迫感を引き立てる。
作品情報
公開(年):2020年
ジャンル :ホラー
監督 :中田秀夫
キャスト :亀梨和也、奈緒、瀬戸康史、江口のりこ
上映時間 :111分
4. シライサン(2020年)
人気作家、乙一が本名の安達寛高名義で初の長編演出に挑んだオカルトホラー。その名を知っただけで命を狙われ、目を逸らすと殺されるという怨霊“シライサン”。親友の不審死に直面した若者たちがその謎を追いかけるが、それは彼らもまたシライサンの存在を知ること、そして命を落としかねないことを意味していた!怨霊のルーツを探るミステリーに加えて、眼球破裂というショッキングな死の描写はトラウマになりそうなほどの壮絶さ。極端に目の大きな“シライサン”の不気味なビジュアルもインパクト大!
作品情報
公開(年):2020年
ジャンル :ホラー
監督 :安達寛高(乙一)
キャスト :飯豊まりえ、稲葉友、忍成修吾、谷村美月
上映時間 :99分
5. “それ”がいる森(2022年)
『リング』をはじめ多くのホラーの傑作を手がけてきた中田秀夫監督による、SF風のホラー。東京に住む少年が、福島で農業を営んでいる父を訪ねてやってくる。そのとき、父と少年はそれぞれに怪事件に遭遇。彼らが目にした“それ”は静かな田舎町に、とてつもないパニックを引き起こしていく……。子どもたちを襲う謎の存在の不気味さに加え、彼らを守ろうとする大人たちの奮闘がスリルを盛り立てる。相葉雅紀が主演を務め、子を思う父親役を共感度も高く好演している。
作品情報
公開(年):2022年
ジャンル :SF、ホラー
監督 :中田秀夫
キャスト :相葉雅紀、松本穂香、上原剣心、小日向文世
上映時間 :107分
サスペンスの名作邦画(日本映画)5選
復讐・怒り・因縁・怨恨・欲望……人間の内部を鋭く見据え、それに基づいて紡ぎ出されたサスペンスは見応えがあります。そんな力作を紹介。これらを見ずして、サスペンスは語れません!
1. ゼロの焦点(1961年)
松本清張のベストセラー小説を、後に『砂の器』も手がける野村芳太郎が映画化。東京から金沢へと出張に出向き、そのまま失踪した夫。その謎を追う妻の奔走が描かれる。事件の背景には、戦後の困難な時代を生き延びねばならなかった女性たちの、捨て去りたい過去が。高度経済成長期の社会の闇が見える点は興味深い。言うまでもなくドラマはスリリングで、とりわけ能登の断崖絶壁での緊張感みなぎるクライマックスは見逃せない。
作品情報
公開(年):1961年
ジャンル :サスペンス
監督 :野村芳太郎
キャスト :久我美子、高千穂ひづる、有馬稲子、加藤嘉
上映時間 :95分
2. 砂の器(1974年)
列車の操車場構内で発見された他殺死体。捜査は難航を極め、迷宮入りと思われたが、若き刑事が見つけた新聞記事から、意外な事実が浮かび上がる……。松本清張原作の名編を映画化。スリリングなドラマの果ての、親子の宿命のドラマが観る者の涙腺を刺激せずにおかない。芥川也寸志による音楽の美しさも印象に残る。
作品情報
公開(年):1974年
ジャンル :サスペンス
監督 :野村芳太郎
キャスト :丹波哲郎、森田健作、加藤剛、加藤嘉
上映時間 :143分
3. 八つ墓村(1977年)
ミステリーの大家、横溝正史のベストセラー小説に基づく大作。虐殺された落武者たちの呪いが言い伝えられている中国地方の村に、ひとりの青年が家族のルーツをたどってやってくる。そのときから、村では次々と殺人事件が起こる。青年の運命は?そして、名探偵・金田一耕助の推理は!? 『丑三つの村』でも描かれた実話“津山30人殺し”をモチーフにした殺人ミステリーに、呪いというオカルト要素を重ね合わせて、重厚なスリルを演出。金田一耕助にふんした渥美清の飄々とした個性も光る。
作品情報
公開(年):1977年
ジャンル :ホラー、ミステリー、サスペンス
監督 :野村芳太郎
キャスト :萩原健一、小川真由美、山﨑努、渥美清
上映時間 :151分
4. クリーピー 偽りの隣人(2016年)
元刑事の犯罪心理学者が妻とともに新たな街に引っ越してくる。彼らを迎える、どこか挙動不審な隣人。6年前の一家失踪事件を調査し始めた学者は、それが隣人と結びついているのではと疑念を抱く……。国際的に評価されるスリラーの名手、黒沢清の手腕が冴える逸品。ジワジワと罠にはまっていく主人公にふんした西島秀俊の熱演も光るが、不気味な隣人にふんする香川照之の怪演は鮮烈で、夢に出てきそうなほどの恐ろしさだ!
作品情報
公開(年):2016年
ジャンル :サスペンス
監督 :黒沢清
キャスト :西島秀俊、竹内結子、川口春奈、香川照之
上映時間 :130分
5. さんかく窓の外側は夜(2021年)
ヤマシタトモコの人気コミックを映画化。霊が見える青年が除霊師と出会い、その助手として働くことに。彼らは連続殺人事件の謎を追ううちに、呪術を駆使する謎の女子高校生と出会う。彼女の背後には巨大な権力が渦を巻いており、事件の真相に踏み込めば踏み込むほど、ふたりに危険が迫る……。オカルトを題材にしたスリリングなストーリーはもちろん、主要キャラクターの秘密を明かすミステリーの要素も吸引力は抜群。それぞれが過去の心の傷と向かい合っていく、人間ドラマの面白さも魅力。
作品情報
公開(年):2021年
ジャンル :ミステリー、サスペンス
監督 :森ガキ侑大
キャスト :岡田将生、志尊淳、平手友梨奈、筒井道隆
上映時間 :102分
松竹おすすめのサスペンス・ミステリー映画はこちらの記事で詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
感動必至の名作邦画(日本映画)5選
泣きのドラマは松竹映画のお家芸。あざとい演出をほどこすまでもなく、キャラクターを丁寧に描くことによって生まれる、深みのある感動を味わってみましょう。
1. ハチ公物語(1987年)
有名な忠犬ハチ公の実話を映像化。秋田犬の子犬が、東京の大学教授の家に引き取られる。ハチと名付けられたこの子犬は、雨の日も雪の日も渋谷駅で主を待ち続け、教授が世を去った後もそれは続いた……。人間と動物の強い絆を描き切り、観客の感情をしっかりつかむ演出は絶妙。2007年にはリチャード・ギアの主演によるハリウッド・リメイク版『HACHI 約束の犬』が公開され、こちらも好評を博した。
作品情報
公開(年):1987年
ジャンル :ドラマ
監督 :神山征二郎
キャスト :仲代達矢、八千草薫、石野真子、柳葉敏郎
上映時間 :107分
2. わが母の記(2012年)
井上靖の自伝的な小説を映画化。認知症が進む老母に複雑な思いを抱えている作家が、その世話をすることに。彼の幼少期の記憶には、母が自分を捨てたのではないかという疑惑がしこりとなって残っていた。しかし、母の世話をするうちに、彼は母が伝えていなかった意外な事実を知ることになる……。50年の時を経て初めて明かされる、親の愛情。長き年月にわたる葛藤のドラマに加えて、真実を解き明かす緻密な展開が沁みるような感動を呼び起こす。役所広司と樹木希林の、子と母にふんしての共演も見どころ。
作品情報
公開(年):2012年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :原田眞人
キャスト :役所広司、樹木希林、宮崎あおい、南果歩、三國連太郎
上映時間 :118分
3. 8年越しの花嫁 奇跡の実話(2017年)
岡山に暮らす夫婦の実話に基づいたラブストーリー。結婚を控えた若いカップルを、突然悲劇が襲う。難病によって、いつ目覚めるかわからない昏睡に陥った花嫁。花婿は彼女の回復を待ち続ける……。献身的に合いする者に寄り添う男の、信じる力と強い気持ち愛が胸を打つ。佐藤健と土屋太鳳が愛と苦悩のドラマを織りなす。『ラーゲリより愛をこめて』の瀬々敬久監督による、深みのある人間ドラマの演出にも注目を。
作品情報
公開(年):2017年
ジャンル :ラブストーリー
監督 :瀬々敬久
キャスト :佐藤健、土屋太鳳、杉本哲太、薬師丸ひろ子
上映時間 :119分
4. こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話(2018年)
難病の筋ジストロフィーを患いながらも、ボランティアに支えられて自立生活をおくる男。新たにボランティアとなった少女は、彼のワガママに振り回されながらも、そのバイタリティに触れ、心を開いていく。大宅壮一ノンフィクション賞に輝く名著を映画化。障がいを持つ者とボランティアの交流を見つめながら、人間同士の対等な関係や優しさを温かく問いかける。大泉洋の熱演が、笑いと涙のドラマをしっかり支えている。
作品情報
公開(年):2018年
ジャンル :人間ドラマ
監督 :前田哲
キャスト :大泉洋、高畑充希、三浦春馬、原田美枝子
上映時間 :120分
5. あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(2023年)
泣ける物語として評判となり、累計125万部を突破した汐見夏衛によるベストセラー小説を映画化。家庭にも学校にもイライラした思いを抱えている現代の女子高校生が、ふとしたことから戦時中の日本にタイムスリップ。そこで優しい青年と知り合った彼女は、誠実な彼にどんどん惹かれていく。しかし青年は特攻隊員として戦地に飛ぶ身であり、彼らに残された時間は限られていた……。人を愛することがとてつもなく困難だった時代を背景にして、その尊さや重さを問いかける。福山雅治による主題歌も忘れ難い。
作品情報
公開(年):2023年
ジャンル :ラブストーリー
監督 :成田洋一
キャスト :福原遥、水上恒司、伊藤健太郎、松坂慶子
上映時間 :128分
ずっと楽しめる邦画(日本映画)の名作シリーズ4選
松竹作品はこれまで日本の映画シーンをけん引してきました。笑って泣けるヒューマンドラマからハードボイルドな時代劇まで、いつの時代も愛される名作をご紹介します。
1. 男はつらいよ(1969年〜)
その日暮らしで旅暮らし、故郷、柴又にふらりと戻ってきては恋騒動を起こしてしまう、フーテンの寅こと、車寅次郎と、彼を迎える家族との交流を笑いと涙で描いた国民的な喜劇シリーズ。寅さんを演じた渥美清が68歳で急逝する1996年まで48作が作られ、2019年には過去のフッテージを織り込んだ新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』が製作され、ファンを喜ばせた。大らかなユーモアと下町の人情味が、色あせない魅力を放つ。
作品情報
公開(年):1969年~
ジャンル :喜劇
監督 :山田洋次、他
キャスト :渥美清、倍賞千恵子、前田吟、笠智衆
『男はつらいよ』については公式サイトがありますのでそちらもぜひ見てみてください。
2. 必殺!劇場版シリーズ(1984年~)
池波正太郎原作の「必殺仕掛人」から生まれたTVドラマの劇場版シリーズ。江戸時代、庶民のために悪を断つ裏の仕事人たちの暗躍を描いた痛快作だ。そのリーダー格である、藤田まことふんする中村主水は飄々としたキャラクターで絶大な人気を博した。ダークヒーローによる勧善懲悪というコンセプトは、現在もなお多くのファンを魅了。1996年まで6作が製作された後、中条きよしふんする仕事人のひとり、勇次を主人公にした『必殺!三味線屋勇次』も製作された。
作品情報
公開(年):1984年~
ジャンル :時代劇
監督 :貞永方久、他
キャスト :藤田まこと、他
3. 釣りバカ日誌(1988年〜)
現在も連載が続くサラリーマンコミックを映画化し、『男はつらいよ』に劣らない支持を得た喜劇シリーズ。万年ヒラ社員のハマちゃんと社長スーさんという、釣りが何より好きな名コンビが、オフィスや休暇先、出張先で騒動を巻き起こす。西田敏行と三國連太郎の名優ふたりによるアドリブまじりの丁々発止は、多くの笑いの見せ場を生み出してきた。2009年までに番外編を含めて、全22作が作られている。
作品情報
公開(年):1988年~
ジャンル :喜劇
監督 :栗山富夫 他
キャスト :西田敏行、三國連太郎、石田えり、山瀬まみ
『釣りバカ日誌』については公式サイトがありますのでそちらもぜひ見てみてください。
4. 学校(1993年~)
『男はつらいよ』の名匠、山田洋次が15年にわたり構想を温めていた1993年の名作『学校』。日本アカデミー賞で作品賞など6部門を制した同作は、以後シリーズ化され、2000年までに全4作がつくられた。シリーズとはいえ、どの作品も独立した物語として完結しており、夜間中学や養護学校、職業訓練校と、作品ごとに舞台は変化する。いずれも教師と生徒の間に芽生える強い絆や、生徒同士の友情、学びの喜びといったテーマが盛り込まれ、深い感動を呼び起こす。
作品情報
公開(年):1993年~
ジャンル :人間ドラマ
監督 :山田洋次、他
キャスト :西田敏行、他
名作邦画(日本映画)を生み出した監督たち
アジア映画が世界的に注目される現代だが、日本の監督たちはいち早く世界に名作を放ち、長きにわたった注目を集めてきた。歴史に名を刻み、今へとバトンをつないできた、そんな名だたる巨匠たちを、ぜひ覚えておこう。
小津安二郎
ヴィム・ヴェンダースやジム・ジャームッシュを筆頭に世界中の映画監督が目標にし、敬意を表明している名匠中の名匠。2023年に生誕120周年を迎えた。家族の関係や人生の機微を描き続け、『晩春』や『麥秋』などの名作を発表。とりわけ『東京物語』は、世界中の映画人を魅了した傑作として語り継がれている。特徴的なローアングルの映像による、丁寧なストーリーテリングはあらゆるフィルムメーカーの手本となった。
映画界を魅了する小津監督の映画人生と松竹おすすめの作品は別の記事でも紹介しています。
▼関連記事:世界を魅了する小津安二郎監督映画!名作・代表作15選
木下惠介
黒澤明のライバルとして日本映画の黄金期を支え続けた人間ドラマの才人。その手腕は海外でも広く認められており、1958年のヴェネツィア国際映画祭に出品された『楢山節考』はフランソワ・トリュフォーが賞賛。1961年の『永遠の人』は、米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。日本では国内の映画賞を独占した『二十四の瞳』(1954年)があまりに有名で、“日本中を泣かせた監督”の異名をとる。
小林正樹
木下惠介監督の下で助監督として優秀な働きを見せ、監督デビュー後に大きな飛躍を遂げた。とりわけ、代表作『切腹』(1962年)は武家社会の偽善を浮かび上がらせた時代劇の秀作で、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。完全主義者としても知られており、妥協なき姿勢で取り組み、全6部9時間半の超大作『人間の條件』を放ったことでも知られている。
山田洋次
93歳の現在も作品をコンスタントに生み出している松竹映画のレジェンドにして邦画界の第一人者。『男はつらいよ』シリーズの生みの親であり、そのほとんどで監督を務めている。同作でもわかるように、つつましく、不器用かつ必死に生きる人々の姿をヒューマニズムとともに描き出した秀作が多い。日本アカデミー賞ではこれまで、『幸福の黄色いハンカチ』(1977年)、『学校』(1993年)、『たそがれ清兵衛』(2003年)で監督賞を受賞。
映画界の巨匠、山田監督の映画にかける思いや受賞作品、松竹おすすめの作品はこちらの記事でご紹介しています。
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野村芳太郎
サスペンスからコメディまでなんでもござれの万能監督。黒澤明の助監督として経験を積んで認められ、監督デビューを果たす。その名を高めたのは『張込み』(1959年)をはじめとする松本清張の原作作品。山田洋次も脚本家として参加した『砂の器』(1974年)は国内外で高く評価され、モスクワ映画祭では審査員特別賞を受賞する。以後も『鬼畜』(1977年)、『わるいやつら』(1980年)、『疑惑』(1982年)などの大作を松本清張とともに放った。
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まとめ
映画130年の歴史は、とてつもなく多くの作品によってかたち作られてきました。松竹の作品だけでも、これまで5000本以上が製作されています。ここに上げた作品は評価が確立した名作ばかりですが、これ以外にも優れた作品は挙げればキリがないし、世間的に陽の目を見なかった映画の中にも個人的に名作となりうる作品は存在します。邦画の必見作を押さえつつ、自分だけの宝物を探してみてはどうでしょう。
また別の記事で隠れた名作の記事を紹介していますのでこちらもあわせて見てみてくださいね。
この記事を書いた人
相馬学
1966年、秋田県生まれ。情報誌の編集を経てフリーライターとなり30年。「SCREEN」「DVD&動画配信でーた」などの雑誌や劇場パンフレットなどの紙媒体、「シネマトゥデイ」「ぴあ映画生活」などのインターネット媒体で取材記事やレビューを執筆。
※おすすめ作品は松竹の担当者が選びました。