松竹の2000本以上の映画作品から、オススメ映画をご案内

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記憶に新しい!2000年代の名作邦画(日本映画)松竹作品15選

2024.03.15

2000年代 映画(邦画)

はじめに

前年代に比べて若者世代をターゲットにしたドラマや小説、人気コミックなどの映画化が増えた2000年代。時代を知る人ならばちょっぴり懐かしさも感じるのではないでしょうか。今回はその中から、松竹のおすすめ15作品を集めてみました。バラエティに富んだヒット作の面白さを味わってみては!

2000年代の日本映画界の状況と邦画作品の特徴は?

バブル経済崩壊後のあれやこれやを引きずり、「失われた10年」とも呼ばれる1990年代。その余波もあって、2000年代に入るや邦画界は産業的に底を打つ状態に!2002年、市場における邦画のシェアは洋画に対して、過去最低の 27.1%(出典:映画製作社連盟)にまで落ち込んでしまいます。

しかし、翌2003年から徐々に回復傾向となり、なんと2006年には21年ぶりに邦画の興行収入が洋画を上回る結果となりました。そして以降も、(2007 年を除いて)この「邦高洋低」は、2008年、2009年と続いてゆきます。

前年代と比べて、2000年代に顕著だったのは、邦画3社=東宝・東映・松竹のシネマコンプレックス(複合映画館)が郊外から大都市へと波及し、動員数に影響を与えたこと。

また、主に若者世代をターゲットとした各テレビ局メインの企画、はたまた“製作委員会方式”による国産ヒットドラマ、ベストセラー小説、人気コミックなどの映画化が、いっそう興行面で「邦高洋低」の推進力となりました。

例えば、ヒットドラマからは『ナースのお仕事 ザ・ムービー』『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』『HERO』、小説からは『ホワイトアウト』『世界の中心で、愛をさけぶ』『いま、会いにゆきます』『武士の一分』『容疑者Xの献身』、漫画原作では『NANA』『ALWAYS 三丁目の夕日』『LIMIT OF LOVE 海猿』『DEATH NOTE デスノート the Last name』『ROOKIES -卒業-』……と、枚挙にいとまがありません。

これには、CG(Computer Graphics)やVFX(Visual Effects)といったデジタル技術の進化も大きく寄与しており、各々のファン層のニーズに応えようと二次元世界をよりリアルに再現できるようになりました。

一方で、日常生活におけるデジタル化、モバイル化の波も人々のマインドや行動様式を変えていきます。2003年12月1日、地上デジタル放送が開始され、2008年には日本でのiPhone発売によって新たなライフスタイルが定着。

iPodの普及や携帯電話の多機能性も加速し、テクノロジーの深化によって映画界においても、映像・音声のグレードが一段とアップしました。

松竹担当者が選ぶ2000年代の邦画(日本映画)15選

興行収入が奇跡のV字回復、「邦高洋低」が到来した2000年代。
数ある作品の中から松竹担当者がおすすめしたい15の邦画作品を紹介します。

1. たそがれ清兵衛(2002年)

”たそがれ清兵衛”と呼ばれる男がいた。「たそがれ」どきに下城の太鼓が鳴ると即座に帰宅することからその渾名がつき、妻亡き後、老母と幼い娘ふたりを養うために勤めの後も細々と内職に精を出す。

幕末に生きた地方下級武士・井口清兵衛の哀しみと矜持が、幼なじみのヒロイン(宮沢りえ)との胸熱なエピソードや謀反を起こした余吾善右衛門(田中泯)との殺気漲る死闘などとともに、ドラマチックに綴られてゆく。清兵衛を演じたのは現在、ハリウッドで活躍する真田広之。世界的な舞踊家・田中泯の映画デビュー作でもある。

時代小説界の第一人者、藤沢周平の短編「たそがれ清兵衛」「竹光始末」「祝い人助八」を巧みに組み合わせた山田洋次監督初の本格時代劇で、国内ばかりか海外でも絶賛、第76回米アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされた。

作品情報

公開(年):2002年

ジャンル :時代劇、人間ドラマ

監督   :山田洋次

キャスト :真田広之、宮沢りえ、田中泯、丹波哲郎、岸惠子

上映時間 :129分

2. 壬生義士伝(2003年)

主人公は実在した幕末の侍、盛岡の南部藩から脱藩して新選組隊士となった吉村貫一郎。吉村は剣の腕は立つものの、自分の命が第一で大義には殉じようとはしないうえ、カネに意地汚く、組織内では浮いた存在だった。

中井貴一が扮する、この異色かつワケありのキャラクターが、敗走していく新選組でもがき、愛する者のために“義”を通そうとする献身的な姿に涙腺が激しく刺激される。

斎藤一役の佐藤浩市、沖田総司役の堺雅人ほか、魅惑のキャストを揃えて浅田次郎の同名ベストセラー小説を滝田洋二郎監督が映画化。初コラボとなった音楽の久石譲とは『おくりびと』(2008年)、『天地明察』(2012年)と際立ったコラボレーションを続け、名コンビとなった。

作品情報

公開(年):2003年

ジャンル :時代劇、人間ドラマ

監督   :滝田洋二郎

キャスト :中井貴一、佐藤浩市、中谷美紀、夏川結衣、堺雅人

上映時間 :137分

3. クイール(2004年)

クイール

ラブラドール・レトリーヴァーの子犬、おなかに鳥が羽を広げたようなブチがあることから“クイール”と名付けられた盲導犬と、慈しみ深き人々との心に沁み入るドラマである。

訓練士(椎名桔平、黒谷友香)との生活を経たクイールは視覚障害者の渡辺(小林薫)と巡り逢い、初めこそ息が合わなかったが、ハーネスを介して伝わってくる気持ちを受け止め、次第に両者はかけがえのない存在となってゆく。

原作は秋元良平のモノクロ写真、石黒謙吾の心温まる文章で構成されたノンフィクション本の「盲導犬クイールの一生」。

愛犬家であった崔洋一監督の演出は入念で、例えば歩行の共同訓練にて卒業試験に落ちた渡辺とクイールが、卒業できた人たちの出発式を眺めるシーンはなんと36テイク。このワンカットのために4時間かけたという。

作品情報

公開(年):2004年

ジャンル :動物もの、人間ドラマ

監督   :崔洋一

キャスト :小林薫、椎名桔平、香川照之、寺島しのぶ、名取裕子

上映時間 :100分

4. CASSHERN(2004年)

CASSHERN

タツノコプロの先駆的なTVアニメ「新造人間キャシャーン」(1973〜1974年)を実写映画化した大ヒットSFアクション。近未来の遺伝子工学から生まれ、人類の敵となってしまったアンドロ軍団と、同じ出自を持つ孤高のヒーロー・東鉄也/キャシャーン(伊勢谷友介)の熾烈な闘いを描く。

アメリカ留学を経てカメラマンやPV制作などで脚光を浴びた紀里谷和明の長編監督デビュー作で、企画、脚本、撮影、編集を兼任。

全編にCGを駆使して実写と融合させ、退廃美ともいうべき特異な世界観と「人間はなぜ争うのか?」という永遠のテーマを世に問い、海外でも称賛された。エンドクレジットを飾るテーマソング「誰かの願いが叶うころ」を歌い上げたのは、当時紀里谷監督の妻であった宇多田ヒカル。

作品情報

公開(年):2004年

ジャンル :SF・ファンタジー、アクション

監督   :紀里谷和明

キャスト :伊勢谷友介、麻生久美子、寺尾聰、唐沢寿明、樋口可南子

上映時間 :141分

5. 珈琲時光(2004年)

珈琲時光

2003年夏、東京。フリーライターの陽子(歌手の一青窈、役者初体験!)は神保町で古本屋を営む肇(浅野忠信)の力を借り、第二の故郷で、有名な往年の台湾人音楽家について調査中だ。実は彼女、台湾在住の男性との子供を妊娠していたが、結婚をする気はなかった――。

淡々とゆるやかに流れていく時間。しかし確実に、何かが変わってゆく日々の暮らしの光景と心の微かな揺れを、台湾の巨匠・侯孝賢(ホウ・シャオシェン)が詩情豊かに掬い取る。繊細な撮影は盟友のリー・ピンビン。

敬愛する小津安二郎の生誕100周年を記念して制作され、小津映画とその代表作『東京物語』(1953年)にオマージュを捧げている。海外の小津ファンが手がけた“邦画”という意味では、ドイツのヴィム・ヴェンダースの『PERFECT DAYS』(2023年)と双璧をなす一篇である。

作品情報

公開(年):2004年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :侯孝賢

キャスト :一青窈、浅野忠信、萩原聖人、余貴美子、小林稔侍

上映時間 :103分

6. 子ぎつねヘレン(2006年)

子ぎつねヘレン

「お前のお母さんも自由人か?」

世界を飛び回るフリーカメラマンの母(松雪泰子)の都合で、東京から北海道の森にある動物診療所へと預けられた少年・太一(深澤嵐)は、道端で拾った独りぼっちの子ぎつねに自分を重ねてそう言う。

目と耳が不自由な子ぎつねを“ヘレン”と名付け、“サリヴァン先生”として接して介護してゆく健気な太一と、その母親の恋人、診療所の獣医(大沢たかお)との交流が映画のメイン。単なる擬似父子ものではなく、命の尊さを見つめたハードな展開で、思わず胸を衝かれる。

三谷幸喜脚本作品を筆頭にフジテレビの数多のヒットドラマを演出してきた河野圭太の映画デビュー作で、もとになったのは森の獣医師のモデルである竹田津実のベストセラー実話エッセイ、「子ぎつねヘレンがのこしたもの」。

作品情報

公開(年):2006年

ジャンル :動物もの、人間ドラマ

監督   :河野圭太

キャスト :大沢たかお、松雪泰子、深澤嵐、吉田日出子、藤村俊二

上映時間 :108分

7. 武士の一分(2006年)

タイトルの「一分」とは面目、責任のこと。山田洋次監督が初めて木村拓哉と組み、難役を授け、ひときわ輝かせた時代劇だ。幕末の庄内、海坂藩の三村新之丞は下級武士だが剣術を極め、藩主の毒見役を任されていた。

ところがある日、役職を果たした末、毒によって失明してしまう。そんな逆境の中、弱みに付けこんで愛妻(壇れい)を汚した島田藤弥(十代目坂東三津五郎)との対決に臨み――クライマックスの決死の殺陣は、まさしく“武士の一分”を体現した鬼気迫るシーンに仕上がっている。

原作は藤沢周平の「盲目剣谺返し」で、同じく藤沢文学の映画化『たそがれ清兵衛』、『隠し剣 鬼の爪』(2004年)とあわせて山田監督の時代劇三部作と銘打たれ、その末尾を飾った。

作品情報

公開(年):2006年

ジャンル :時代ドラマ

監督   :山田洋次

キャスト :木村拓哉、檀れい、笹野高史、十代目坂東三津五郎

上映時間 :121分

8. 伝染歌(2007年)

伝染歌

Jホラーブームが海外にまで伝染し、広く浸透、その影響がハリウッドにも及んだ2000年代。本作は、歌うと死ぬという“自殺ソング”を取り扱った都市伝説ホラーである。その謎を解明しようとする女子高生たちと、世の中の“まさか”を暴く雑誌「月刊MASAKA」の編集部員が怪異現象に巻き込まれてゆく。

人気アイドルユニット「AKB48」から大島優子、小嶋陽菜、秋元才加、前田敦子ら初期黄金メンバーが映画初出演しており、劇中の自殺ソング「僕の花」のボーカルの正体が話題となった。

実際に欧米で自殺者を続出させた楽曲「暗い日曜日」をモチーフに秋元康が企画・原作を担当、全篇に、原田眞人監督ならではの映像テクニックが炸裂している。

作品情報

公開(年):2007年

ジャンル :ホラー

監督   :原田眞人

キャスト :松田龍平、大島優子、秋元才加、小嶋陽菜、阿部寛

上映時間 :119分

9. 怪談(2007年)

怪談

とある街筋で、すれ違いざまに目が合う。女は三味線の師匠・豊志賀(黒木瞳)、男は年下の煙草売り・新吉(五代目尾上菊之助)。二人はやがて、恋の炎を燃やし始める。

嫉妬深い豊志賀の、新吉への強い“想い”が先走り、悲劇を加速させ、二人は切ろうとしても切れない宿命に縛られていく。親同士の因果な関係、移り気な男の欲心、女の業(ごう)がこの世を“地獄めぐり”へと変えてしまうのだ。

Jホラーのパイオニア、『ザ・リング2』(2005年)でハリウッドに進出したばかりの中田秀夫監督がつぎに選んだのは、三遊亭圓朝の名作怪談噺「真景累ヶ淵」。

男と女のメロドラマであり、狂おしい恋愛に潜むホラー的な要素は現代にもストレートに響く。幽玄な美術セットでこの愛憎ドラマを引き立てたのは世界的なプロダクションデザイナー・種田陽平!

作品情報

公開(年):2007年

ジャンル :ホラー

監督   :中田秀夫

キャスト :五代目尾上菊之助、黒木瞳、井上真央、麻生久美子、木村多江、瀬戸朝香

上映時間 :119分

10. 河童のクゥと夏休み(2007年)

河童のクゥと夏休み

学校帰りに川辺で不思議な化石を拾った小学5年生の康一と、その化石から蘇り、鳴き声に基づいて「クゥ」と名づけられた河童の子供との交流を紡いだ作品で、クゥの存在がマスコミに取り上げられてしまい、テレビ出演後、いっそう大騒動が巻き起こる。

「大人の心にも刺さる!」感動アニメといえばこの人。『劇場版クレヨンしんちゃん』シリーズや『かがみの孤城』(2022年)でも知られる原恵一監督で、これは20年以上温めていた宿願の企画だった。

木暮正夫の児童文学「かっぱ大さわぎ」と「かっぱびっくり旅」をもとに、原作者の了解を得て多くのアレンジを施しており、人間のダークサイドや集団の無自覚な暴力性から目を背けず、そして「自然との、そして異種との共存の難しさ」を厳しい目で見つめている。各アワードでベストテン入りし、第11回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の大賞にも輝いた。

作品情報

公開(年):2007年

ジャンル :劇場版アニメ、人間ドラマ

監督   :原恵一

キャスト :田中直樹、西田尚美、冨澤風斗、なぎら健壱、ゴリ

上映時間 :138分

11. 犬と私の10の約束(2008年)

犬と私の10の約束

“犬から飼い主へのお願い”を綴った作者不詳の短編詩「犬の十戒」から生まれた作品。

それは、ヒロインのあかり(福田麻由子/成年期は田中麗奈)が14歳の時のこと。ある日家の庭先に、片方の前足が靴下を履いたように白い、ゴールデン・レトリーバーの子犬が迷い込んできたのだった。

その出会いから、母の急死、父の突然の辞職、初恋、憧れの仕事、初めてのひとり暮らし、恋人(加瀬亮)の事故……と、10年にわたるあかりの人生とともに、愛犬“ソックス”との固い絆の物語を描いてゆく。

本作のドックトレーナーは『南極物語』(1983年)を筆頭に、『ハチ公物語』『クイール』『ハウ』(2022年)ほか数々の動物映画を支えてきた宮忠臣。その指導によるソックスの名演技は、観る者を捉えて放さない。

作品情報

公開(年):2008年

ジャンル :動物もの、人間ドラマ

監督   :本木克英

キャスト :田中麗奈、加瀬亮、福田麻由子、池脇千鶴、豊川悦司

上映時間 :117分

12. 築地魚河岸三代目(2008年)

築地魚河岸三代目

大沢たかお扮する赤木旬太郎はエリート商社マンで、恋人(田中麗奈)の実家は築地の老舗仲卸。入院した父親の代わりに店を手伝う彼女を助けるべく、未知の世界へと飛び込むことを決意する。

魚河岸独特のルールや職人気質の関係性の中で悪戦苦闘しながらも、持ち前の明るさと好奇心を発揮し、旬太郎が“食のプロ”たちを相手に成長していく過程を小気味よく描いている。

同名の原作は、人情、熱さ、正直さ、人間同士の触れ合い、ぶつかりあいが詰まったベストセラー漫画。これを松竹出身で、師事していた名匠・木下惠介のプロダクションにて腕を磨いた松原信吾監督がエネルギッシュな実写映画に!

ちなみに、大沢たかおの父方の祖父は築地市場で仲卸業を営んでいたそう。この旬太郎役との出会いはきっと、必然だったのだ。

作品情報

公開(年):2008年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :松原信吾

キャスト :大沢たかお、田中麗奈、伊原剛志、森口瑤子、伊東四朗

上映時間 :116分

13. パンダフルライフ(2008年)

ジャイアントパンダの生態をやさしく詳しく、菅野美穂のナレーションで贈る癒やし系動物ドキュメンタリー。

中国四川省にある、絶滅危機に瀕したパンダを救う最大規模の研究施設に海外クルーとしては初めて産室での密着取材を許可され、貴重な育児の撮影に成功している。

また和歌山県のテーマパーク「アドベンチャーワールド」で生まれた双子の隆浜(リュウヒン)、秋浜(シュウヒン)を自力で育てる母パンダ(世界初!)の梅梅(メイメイ)の奮闘や、4歳になって中国へと旅立った隆浜と秋浜のその後の成長を追ってゆくのも見どころだ。パンダ好き、それから、もふもふ好きにはたまらない。

作品情報

公開(年):2008年

ジャンル :動物もの

監督   :毛利匡

キャスト :菅野美穂(ナレーション)

上映時間 :100分

14. 鴨川ホルモー(2009年)

鴨川ホルモー

京都で千年続くという架空の競技、式神(オニ)を操って戦わせる“ホルモー”が登場する万城目学のデビュー小説を、『犬と私の10の約束』ほかオールラウンドな本木克英監督が映画化した青春ファンタジーコメディ。

二浪の末、京都大生となった安倍明(山田孝之)と、帰国子女の同級生(濱田岳)はひょんなことから、“ホルモー”に熱い思いを注ぐサークル「京大青竜会」に入部してしまう。

彼らや機械解体が趣味のオタク系メガネ女子(栗山千明)が特訓を経て、キテレツな言葉やポーズで式神を動かす奇想天外さ。2000匹以上のキモ可愛いソレが、京都の街を縦横無尽に駆け巡るVFXを駆使したシーンは壮観だ。

作品情報

公開(年):2009年

ジャンル :ファンタジー

監督   :本木克英

キャスト :山田孝之、栗山千明、濱田岳、石田卓也

上映時間 :113分

15. 60歳のラブレター(2009年)

長年連れ添った夫婦や家族が、互いに伝えられぬ感謝の言葉を1枚のハガキに綴る人気応募企画「60歳のラブレター」に着想を得たオムニバス形式のドラマ。

中村雅俊×原田美枝子、イッセー尾形×綾戸智恵、井上順×戸田恵子という多彩かつ味わい深いメインキャストが実現し、熟年男女の三者三様の切実なラブストーリーが展開してゆく。

自主映画で注目されていた深川栄洋監督が監督を務め、脚本を手がけたのは後に「コンフィデンスマンJP」シリーズはじめ、やはりTVドラマと映画を牽引するヒットメーカー・古沢良太。

製作時は二人ともまだ気鋭の若手クリエイターであったが、その老練とも言える作劇術は堂にいったもの。離婚の危機や病、子供の言い分などをきっかけに、人生を見つめ直す3組の姿に心が潤う!

作品情報

公開(年):2009年

ジャンル :ラブストーリー、人間ドラマ

監督   :深川栄洋

キャスト :中村雅俊、原田美枝子、戸田恵子、イッセー尾形、井上順

上映時間 :129分

まとめ

20世紀最後の年――2000年には情報技術による社会・生活の変革を意味する「IT革命」が流行語となり、そして翌年から、21世紀がスタート。

2000年代は邦画の製作と上映環境のデジタル化がさらに進む一方、生み出された作品はむしろ人間味が溢れたものに。この時代は、もしかしたら逆に、生身の人間同士の一度の体験や共感性、つまりは「容易にデジタル化できないもの」の価値が改めて高まっていたのかもしれません。

松竹の邦画の名作は、別の記事でも紹介しています。

こちらもぜひご覧ください!

この記事を書いた人

轟夕起夫

洋画も観ますが、とりわけ邦画(日本映画)全般を視野に入れ、執筆しています。単著は『映画監督になる15の方法』(洋泉社)、『轟夕起夫の映画あばれ火祭り』(河出書房新社)、共著・編著は『清/順/映/画』(ワイズ出版)、『好き勝手夏木陽介 : スタアの時代』(講談社)、『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』(スペースシャワーブックス)など。過去の文章やインタビュー記事をアーカイブした「読む映画館 轟夕起夫NET(http://todorokiyukio.net/)」 というサイトもあります。

※おすすめ作品は松竹の担当者が選びました。

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