松竹の2000本以上の映画作品から、オススメ映画をご案内

文字サイズ
  • テーマ別

【2024年版】絶対見るべき邦画(日本映画)はこれ!必見の松竹作品16選

2024.02.29

絶対見るべき映画 邦画

はじめに

映画の誕生から130年、世界では星の数ほどの多くの作品が作られ、現在もその数を伸ばしています。その中には名作と呼ばれる作品も多く、日本でも多くの名作が誕生し、映画史を彩ってきました。

しかし、あまりに数が多すぎて、どれから観ていいのかわからない、という人も多いのでは?そんな方のために、日本の老舗映画会社、松竹の作品の中から、一度は絶対に観ておきたい作品をピックアップ。

世界的に認められている往年の名作から最近の秀作まで、幅広く取り揃えました。まずはこれらをチェックしてみてください!

 

洋画と邦画(日本映画)で異なる見るべきポイント

洋画と邦画は同じ映画ではあるものの、製作の体制には違いがあります。たとえば、製作費はハリウッド映画に比べると邦画はかなり低く、必然的に作られるものも限られてきます。

もちろん、多額の製作費を投じたからと言って名作が生まれるわけではないし、製作費が安いからといって駄作になるわけではありませんが、そんな製作体制の違いは、洋画と邦画のカラーの違いに少なからず影響をあたえています。そのポイントについて、ここでは語っていきましょう。

 

洋画の特徴と見るべきポイント

先述したとおり、ハリウッドの映画産業は日本とは比べ物にならないほど規模が大きく、たとえば日本では高額である1000万ドル(約15億円)は、低予算映画の部類に入ります。

ちなみに、2023年の大ヒット作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の製作費は、なんと2億9千万ドル(約430億円)!

スターの出演料はもちろん、作り手のビジョンを正確かつリアルにビジュアルとして刻むため、撮影技術の進化やCGにも多額の予算が投入されます。大規模なセットを組むことも可能で、とにかくスケールの大きな物語を生むことが可能です。

いうまでもなく、スケールが大きければ名作となるわけではありませんが、『風と共に去りぬ』や『タイタニック』のように、スケールが大きくなければドラマが成立しえなかった作品が存在するのも事実。SFやアクションの分野にも風格を備えた名作が多数存在します。

 

邦画(日本映画)の特徴と見るべきポイント

邦画はハリウッド作品ほど製作費が潤沢ではありませんが、そのぶん、人間を主体にしたリアルなドラマが多数作られてきました。必然的に、監督には緻密な演出力が必要となり、役者には繊細な演技が求められます。

表情はもちろん、セリフや動作の間の取り方などで、言葉以上に多くのことを伝えて感情移入を誘う職人芸的なつくりが特徴的です。

また、ハリウッド作品では特撮や美術などでスケールの大きさを醸し出すケースが多々見られますが、邦画では日本の自然の美しさを強調することで、スクリーンに雄大な空気感を刻んできました。

さらに、洋画は字幕や吹替の製作の際に翻訳作業が必要で、その段階で繊細な感情表現が抜け落ちることがあります。対して邦画はセリフがダイレクトに伝わり、その意味をくみ取ることが可能です。

【名作編】絶対見るべき邦画(日本映画)4選

世界が賞賛の声を送った、名だたる監督たちの傑作を厳選。映画ファンならずとも、一度は見ておきたい名作ぞろいです!

1. 東京物語(1953年)

2023年に生誕120周年を迎え、再評価の波が高まった名匠・小津安二郎の代表作にして、世界中の映画人が指標としている名作中の名作。尾道から上京してきた老夫婦が、都会でそれぞれの生活をおくる子どもたちを訪ね歩く。

しかし子どもたちは日々の暮らしに追われ、親の相手をすることができない。寂しさを抱えながらも、よい人生を送ってきたと夫婦は語り合い……。

戦後の経済成長を背景に、希薄になる家族の絆や、それでもなくならない優しさ、老いの悲哀を見つめていく。小津のトレードマークである固定カメラのローアングル映像の落ち着いたたたずまいも忘れ難い。

近作『PERFECT DAYS』などで小津へのオマージュを捧げた名匠ヴィム・ヴェンダースは“美や精神性、人間への敬意が宿る名作”と本作を語っている。

作品情報

公開(年):1953年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :小津安二郎

キャスト :原節子、笠智衆、東山千栄子、山村聡

上映時間 :135分

 

2. 壬生義士伝(2003年)

浅田次郎の同名小説を『おくりびと』の滝田洋二郎監督が映画化。時は幕末、南部藩を脱藩した武士、吉村が、妻子を養うために京都の新撰組に加入する。

剣の腕は抜群だが、給金の払いにうるさいため、組内では煙たがられることも。同志の斎藤もそんな彼を快く思っていなかったが、大政奉還後の厳しい戦いを通して、吉村の武士としての高潔さに共鳴するようになり……。

武士道精神と家族愛を両立させようとした男のこだわりの生は、現代を生きる人間にも響くものがあるに違いない。日本アカデミー賞では作品賞など3部門で最優秀賞の受賞を果たした。

作品情報

公開(年):2003年

ジャンル :時代劇

監督   :滝田洋二郎

キャスト :中井貴一、佐藤浩市、三宅裕司、中谷美紀

上映時間 :137分

 

3. 蒲田行進曲(1982年)

蒲田行進曲

つかこうへいの人気戯曲を『仁義なき戦い』の鬼才、深作欣二が映画化。深作作品らしいエネルギッシュな人間模様が、笑いや情とともに描かれる。

舞台は、新撰組を題材にした映画の撮影で賑わうスタジオ。その主演を務める人気スター、銀四郎は舎弟のような存在である大部屋俳優ヤスに、妊娠4か月の愛人、小夏を押し付ける。

一途なヤスは小夏と所帯を持ち、生活のために切られ役やスタントなどの危険な仕事を次々と進んでこなしていくのだが……。

愛や葛藤を見据えた人間味あふれるドラマはもちろん、映画人たちの心意気や情熱の投影もアツい。映画を愛するすべての人に見てほしい。

作品情報

公開(年):1982年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :深作欣二

キャスト :松坂慶子、風間杜夫、平田満、高見知佳

上映時間 :109分

 

4. 幸福の黄色いハンカチ(1977年)

1977年の第1回日本アカデミー賞で作品賞を受賞した、名匠・山田洋次の代表作のひとつ。米国のジャーナリスト、ピート・ハミルのコラムに発想を得て、愛のドラマが紡がれる。

フラれてヤケになった若者が北海道へ傷心旅行に出かけ、似た境遇の女性と意気投合。さらに、どこか陰のある中年男、勇作が彼らの車での旅に加わる。

服役を終えたばかりの勇作は、自分の帰りを待っているかどうかわからない妻の元に戻るべきか、迷っていた……。

前半の珍道中の描写で笑わせつつ、しだいに人間味がリアルなものとなっていく心憎いつくり。クライマックスは涙なしでは見ることができない。2008年には『イエロー・ハンカチーフ』の題名でハリウッド・リメイクされた。

作品情報

公開(年):1977年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :山田洋次

キャスト :高倉健、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり

上映時間 :108分

【ヒューマンドラマ編】絶対見るべき邦画(日本映画)4選

現実の中で、必死に生きる人々。社会に押しつぶされそうになったり、愛する者と引き離されたりなどの苦難を前にして、人はどう生きるのか?歯応えのある人間ドラマを堪能してください!

1. 母と暮せば(2015年)

2008年の『母べえ』、2023年の『こんにちは、母さん』とともに、名匠・山田洋次の“「母」三部作”を成す、ファンタジー風味の親子ドラマ。

戦争で夫や息子たちに先立たれながらも、終戦後の長崎で気丈に暮らす助産婦の伸子。そんな彼女の前に、原爆によって命を絶たれた次男、浩二が姿を現す。

浩二は恋人に未練があり、伸子は息子を不憫に思いながらも、諦めるよう諭すのだが……。

愛する者たちを永遠に引き離す戦争の残酷さを踏まえながら、母と子の絆を庶民性豊かに描き出す。吉永小百合と二宮和也が体現する、母と子の絆の強さが印象深い。二宮和也は本作の演技で日本アカデミー賞主演男優賞を受賞。

作品情報

公開(年):2015年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :山田洋次

キャスト :吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、加藤健一

上映時間 :130分

 

2. 醜聞(スキャンダル)(1950年)

醜聞(スキャンダル)

日本が世界に誇る巨匠、黒澤明が松竹に残した社会派ドラマの傑作。絵を描くために伊豆を訪れていた気鋭の画家・青江が、同宿の女性人気声楽家と知り合った。

ところが、彼らの談笑の風景を雑誌のカメラマンが隠し撮りして熱愛と報道。怒った青江は雑誌社に乗り込んで編集長を殴り、告訴を決意する。

一方、雑誌社は金に困っていた彼の弁護士を買収し、裁判を有利に進める。青江は次第に追い詰められていき……。メディアの暴走という現代にも通じるテーマを扱いながら、社会正義が軽んじられる世に警鐘を鳴らす。

黒澤とともに多くの名作を生み出した三船敏郎が主人公、青江を熱演。病気の娘を抱えて生活と職務の板挟みとなる弁護士に扮した志村喬の好演にも注目。

作品情報

公開(年):1950年

ジャンル :社会派ドラマ

監督   :黒澤明

キャスト :三船敏郎、山口淑子、志村喬、桂木洋子

上映時間 :105分

 

3. 二十四の瞳(1954年)

壺井栄の名作小説を詩情豊かに映像化した木下惠介監督の代表作のひとつ。昭和3年、小豆島の小さな分校に女学校を出たばかりの女性教師、大石が赴任してくる。

ハイカラな彼女を村人たちは当初、白い目で見ていたが、12人の生徒たちは彼女を慕い、大石は彼らに惜しみない愛情を注ぎ、村の生活にも馴染んでいく。

これが約20年にわたる、激動の時代を生きることを余儀なくされた彼らの交流の始まりだった……。師弟愛は戦争や貧困、家族制度などの不条理に踏みにじられ、ある者は不幸に直面し、ある者は世を去る。

そんな社会の残酷さにさらされながらも、前を向いて生きようとする人々の姿が、小豆島の美しい風景と相まって感動を呼び起こす。大石先生を演じた高峰秀子の名演も忘れ難い。

作品情報

公開(年):1954年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :木下惠介

キャスト :高峰秀子、月丘夢路、小林トシ子、井川邦子、田村高廣、笠智衆

上映時間 :156分

 

4. 息子(1991年)

山田洋次の監督作品は、これまで4度日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞しているが、本作はそのひとつ。岩手の田舎で農業を営みながら独り暮らしをしている老人、昭男にとって、東京で職を転々としている次男の哲夫は心配の種。

一方、鉄鋼所でアルバイトの仕事に就いた哲夫は、取引先の事務員をしている若い女性のことが気になり始める。彼女が聴覚障害であることを知ってなお、哲夫の恋心は強くなり……。

家族の愛情や葛藤というテーマは山田監督が得意とするところだが、ここでは父と息子の関係にフォーカス。都会で孤独な独り暮らしをおくる息子の精神的な成長と、そんな息子を見つめる父の温かいまなざしが感動を呼び起こす。

作品情報

公開(年):1991年

ジャンル :人間ドラマ

監督   :山田洋次

キャスト :三國連太郎、永瀬正敏、和久井映見、原田美枝子

上映時間 :121分

【サスペンス・ミステリー編】絶対見るべき邦画(日本映画)4選

サスペンス・ミステリーは今も昔も人気ジャンル。ここに取り上げた作品は、いずれも強烈なスリルを感じさせるものばかり。事件の陰に潜む、悲劇ともいえる人間模様の重さも格別です!

1. 八つ墓村(1977年)

『丑三つの村』で描かれた実話“津山30人殺し”に発想を得て、横溝正史が執筆したベストセラー小説の映画化。舞台は村人に虐殺された落武者たち8人の怨念が言い伝えられている岡山の山間部の村。

名家、多治見家の跡取りとして東京から呼び寄せられた青年の周囲で、殺人事件が続発する。青年は知らなかったが、彼の父親もまた、この村で28年前に大虐殺事件を引き起こしていた。

落武者の呪いが、めぐりめぐって今、災いをもたらしているのか!?名探偵、金田一耕助は、この謎をどう解き明かすのか?横溝正史原作の映画化は多いが、本作が独特であるのはオカルトを交えてホラーのように物語を展開させていること。

トラウマになりそうな惨殺や悪霊の描写に加え、狂気がほとばしる洞窟内でのクライマックスは強烈!

作品情報

公開(年):1977年

ジャンル :ホラー、ミステリー、サスペンス

監督   :野村芳太郎

キャスト :萩原健一、小川真由美、山﨑努、渥美清

上映時間 :151分

 

2. 砂の器(1974年)

松本清張の小説を数多く映画化してきた野村芳太郎監督の代表作。脚本に橋本忍と山田洋次を迎え、鉄壁の布陣で重厚なサスペンスを生み出した。

東京の列車操車場構内で、男性の他殺死体が発見された。難航する捜査は、思わぬところから突破口が開けてくる。小さな新聞記事から銀座のバーに行き着き、そこで知った意外な事実。

バーの常連客である天才音楽家が、ひた隠しにしていた壮絶な過去に、真相究明のヒントが隠されていた……。

病身の父と息子の旅路を描く回想シーンはミステリーに重みをあたえ、人間ドラマを歯応えのあるものにしている。クライマックスをエモーショナルに彩った、芥川也寸志の手による美しい音楽も印象に残る。

作品情報

公開(年):1974年

ジャンル :サスペンス

監督   :野村芳太郎

キャスト :丹波哲郎、森田健作、加藤剛、加藤嘉、島田陽子、佐分利信、渥美清

上映時間 :143分

 

3. ある男(2022年)

平野啓一郎の同名小説をもとに謎めいた人間模様を描き、国内の映画賞を席巻した傑作。再婚によってようやく手に入れた幸福な家庭を、夫の事故死で失ってしまった女性。

そのショックも癒えぬうちに、亡き夫の兄は遺影を見て、“これは弟ではない”と訴える。愛した夫は何者だったのか?彼女の依頼を受けて調査に乗り出した弁護士、城戸は故人の驚くべき秘密に迫っていく……。

別人として生きざるを得なかった“ある男”の秘密が明かされるほどスリルは高まり、その事実がヒロインや弁護士にも影響をあたえて新たな緊張感を生む。

サスペンスとしてはもちろん、人間ドラマも見応えたっぷり。日本アカデミー賞では作品賞など8部門を制した。

作品情報

公開(年):2022年

ジャンル :ミステリー、サスペンス

監督   :石川慶

キャスト :妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝、柄本明

上映時間 :121分

 

4. 復讐するは我にあり(1979年)

復讐するは我にあり

ベストセラーとなった佐木隆三氏の同名ノンフィクション小説を、『楢山節考』『うなぎ』などで知られる鬼才、今村昌平が綿密なリサーチを積み重ねて映像化。

昭和38年、詐欺師の榎津は金目当てでふたりの男を殺害し、逃亡する。浜松の売春宿の女将と深い仲になり彼女を愛するようになるが、捜査の手が伸びたことで、それも長くは続かなかった。

東京に逃げた榎津は、そこでも強盗殺人と詐欺を重ねていく。彼が良心を失っていった背景には、厳格なクリスチャンである父親の偽善があった……。

父子の物語には愛がつきものだが、ここにはそれが存在せず、憎悪のみが渦を巻く。父への“復讐”のように犯行を重ねる主人公に扮した緒形拳の熱演、人間の醜さを匂わせた父親役の三國連太郎の怪演が、凄まじい。

作品情報

公開(年):1979年

ジャンル :サスペンス

監督   :今村昌平

キャスト :緒形拳、三國連太郎、倍賞美津子、小川真由美、ミヤコ蝶々

上映時間 :140分

【恋愛編】絶対見るべき邦画(日本映画)4選

クラシックな名作から、近年トレンドのコミック原作作品まで幅広くチョイス。人を好きになることの素晴らしさを謳った名作に、ぜひ触れてみてください!

1. ハニーレモンソーダ(2021年)

村田真優原作のベストセラーコミックを、Snow Manのラウール主演で映像化。内向的であるためにイジメのターゲットにされている女子高校生、羽花はある日クラスの人気者、界と言葉を交わす。

界の態度はどこか冷めていたが、以来、羽花が変わるための手伝いをするようになり、羽花もそれに応えて少しずつイジメを跳ね返すようになる。

いつしかふたりの間には恋愛感情が芽生え、交際がスタートした。しかし、界には羽花に打ち明けられない秘密があり……。

出会いの春に始まり、一年にわたって成熟していく愛の軌跡をとらえる。デートやファーストキスといった、胸がキュンキュンするような要素の的確な配置が心憎い。

作品情報

公開(年):2021年

ジャンル :青春ドラマ、恋愛

監督   :神徳幸治

キャスト :ラウール(Snow Man)、吉川愛、堀田真由、坂東龍汰、岡本夏美、濱田龍臣

上映時間 :111分

 

2. モエカレはオレンジ色(2022年)

玉島ノンによる人気コミックを実写映像化。父を亡くした悲しみを抱え、転校先の高校で孤独を募らせる少女、萌衣。学校の避難訓練で若い消防士、蛯原と出会った彼女は、好意を抱くようになる。

シャイな蛯原も、そんな彼女の積極的なアプローチに心を開くようになるが、大人である自分が女子高校生と付き合うことには抵抗があった。

一方の萌衣は、蛯原の仕事を少しでも理解して近づこうと、救急救命士の資格を取ろうと奮闘するが……。

恋に前向きで積極的な少女と、大人の慎重さを持つ青年の、縮まりそうでなかなか縮まらない関係を時に切なく、時にユーモラスに描写。

ストイックな蛯原に扮したSnow Manの岩本照の肉体美や、ヒロイン・生見愛瑠の表情のキュートな変化も生き、快活なラブストーリーに。

作品情報

公開(年):2022年

ジャンル :恋愛

監督   :村上正典

キャスト :岩本照(Snow Man)、生見愛瑠、鈴木仁、上杉柊平、浮所飛貴(美 少年)、古川雄大

上映時間 :97分

 

3. 君の名は・第一部(1953年)

君の名は・第一部

1952年に放送され、社会的なブームを巻き起こしたラジオドラマを映画化。第二次大戦末期、東京大空襲のさなか、助け合って戦火を逃れ、銀座の数寄屋橋にたどり着いた男女。

おたがいに生きていたら、半年後にこの橋で再会しようと約束し、彼らはたがいの名前も知らないまま別れる。半年後、男・春樹は数寄屋橋にやって来るが待ち人は現われなかった。

その頃、女・真知子は意にそぐわない相手との結婚を強要され……。惹かれ合う男女のすれ違いのドラマチックな描写は、その後の作品にも受け継がれ、恋愛ドラマの古典とも言われている。

ヒロイン、真知子のストールの着用は“真知子巻き”と呼ばれ、映画のヒットに伴い、こちらも爆発的なブームを呼び起こした。物語はこの後、二部、三部へと続く。

作品情報

公開(年):1953年

ジャンル :メロドラマ、恋愛

監督   :大庭秀雄

キャスト :岸惠子、佐田啓二、淡島千景、川喜多雄二、小林トシ子、月丘夢路

上映時間 :127分

 

4. 遙かなる山の呼び声(1980年)

『幸福の黄色いハンカチ』の山田洋次監督と主演の高倉健、倍賞千恵子が再結集し、再び北海道の大地を舞台にして描いた、人間味あふれるラブストーリー。

幼いひとり息子を抱え、女手ひとつで牧場を切り盛りしている民子のもとに、道に迷ったという男、田島が一夜の宿を求めてくる。産気づいた牛の出産を手伝い、田島は翌朝、礼金も受け取らず去って行った。

それからしばらくして、田島が再び訪ねてきて民子の牧場で働かせてもらうことに。寡黙だが頼りになる田島に息子も懐き、民子も心惹かれ始めるが、田島には秘密にしていた過去があり……。

高倉健のストイックな個性や、倍賞千恵子の聡明さが生き、大人の男女の恋心を味わい深く伝える。ハナ肇の好助演が光る感動のラストシーンも見逃せない。

作品情報

公開(年):1980年

ジャンル :人間ドラマ、恋愛

監督   :山田洋次

キャスト :高倉健、倍賞千恵子、吉岡秀隆、鈴木瑞穂、ハナ肇

上映時間 :124分

絶対見るべき邦画(日本映画)は、DVDや動画配信サービスで

一昔前であれば、映画は基本的に劇場公開が終われば過去の作品となり、その後に探して観ることは困難なことでした。

それがソフト化や配信サービスの普及により、現在はグッと身近なものとなっています。声を出して笑ったり、人目を気にせず泣いたりできるのも、自宅で自由に映画を楽しめることの利点。

これらのサービスを利用して、観るべき名作に、ぜひ触れてみてください。

まとめ

この特集では観るべき作品として16本を取り上げましたが、もちろん必見作はこれにとどまりません。『東京物語』以外にも小津安二郎は多くの素晴らしい作品を手がけてきました。

山田洋次や野村芳太郎といった名匠たちも、また然り。まずは、この16本の作品とじっくり向き合ってみてください。本特集が他の素晴らしい映画を掘り出し、出会うためのきっかけになれば幸いです。

この記事を書いた人

相馬学

1966年、秋田県生まれ。情報誌の編集を経てフリーライターとなり30年。「SCREEN」「DVD&動画配信でーた」などの雑誌や劇場パンフレットなどの紙媒体、「シネマトゥデイ」「ぴあ映画生活」などのインターネット媒体で取材記事やレビューを執筆。

※おすすめ作品は松竹の担当者が選びました。

この記事をシェアする

カテゴリから探す
TOPへ戻る