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時代屋の女房

公開年月日
1983年3月19日
キャスト
渡瀬恒彦
夏目雅子
津川雅彦
中山貴美子
沖田浩之
平田満
藤田弓子
藤木悠
大坂志郎
朝丘雪路
スタッフ
原作:村松友視
脚本:荒井晴彦/長尾啓司
監督:森﨑東
撮影:竹村博
照明:飯島博
美術:芳野尹孝
音楽:木森敏之
区分
邦画
ジャンル
ラブストーリー
人間ドラマ
本編尺
97分
カラー
カラー
製作国
日本
製作年
1983年

Introduction(作品紹介/概要)

骨董屋を経営する中年男と、その店に転り込んできた娘の関係を中心に、近所に住む人々の生活を人情味ゆたかに描く。第87回直木賞を受賞した村松友視の同名小説の映画化。ちあきなおみの名曲「アゲイン」の調べに乗せて繰り広げられる切ない恋模様。「相変わらず何にも聞かないのね。だんまりスケベ(笑)」。女優・夏目雅子の永遠の美が刻印された人情喜劇。

Story(あらすじ)

東京・大井町。35歳でまだ独り者の安さんと呼ばれている男(渡瀬恒彦)が時代屋という骨董屋を営んでいる。夏のある日、野良猫を抱え銀色の日傘をさした、真弓という女(夏目雅子)がやって来てそのまま店に居ついてしまう。この店は、品物じゃなくて時代を売るから時代屋というので、安物ばかりだが、思い出と歴史の滲み込んだ、古くさいミシンや扇風機が並べられている。一緒に暮すようになっても、安さんは、真弓がどういう過去を持っているか聞こうともしない。そんな真弓はひょいと家を出ていくと、しばらく戻ってこない。喫茶店サンライズの独り者のマスター(津川雅彦)やクリニーング屋の今井さん夫婦(大坂志郎、初井言栄)、飲み屋とん吉の夫婦(藤木悠、藤田弓子)などが親身になって心配していると、真弓は何事もなかったかのように帰って来る。真弓がいない間に、安さんは、どこか真弓に似ている美郷という女と知り合い、関係を結ぶ。東京の孤独で華やいだ暮しを畳んで、彼女は東北の郷里に戻って結婚しようとしており、その寂しさの中で、安さんと出会ったのだ。

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「時代屋の女房」のちょっといいセリフ

女ってね、別れるとき男が自分のために傷ついてたらバンザイなんだよ。

セリフを選んだ理由
35歳気ままな独身の安さん(渡瀬恒彦)が営む古道具屋「時代屋」に、ある日、真弓(夏目雅子)という女が現われ、その日のうちにふたりは男女の関係になり、真弓はそのまま店に居ついてしまいます。
真弓は「それ以上踏み込まないのが都会の流儀」と、自分がどういう過去の持ち主なのか語ろうとせず、安さんも「何も言わず、何も聞かずが好きだから」と、無関心が粋とばかりに、あえて聞こうとはしません。
ふらっと店を出たまましばらく帰ってこない日が続いたかと思うと、何事もなかったかのように戻ってくる真弓。恋人関係ではあるが、淡々とした、平熱に冷めたような、不思議な距離感・温度感の日々が続きます。
そしてまた彼女がいなくなりました。何度目かの失踪です。安さんには慣れたものですが、今度はいつもより長そうです。
さすがに不安になり、やきもきし、苛立ち、時に悶々とする安さん。揃いも揃って変わり者ばかりな彼の仲間たちは、同情したり、励ましたり、笑い飛ばしたり、慰めたりと様々ですが、そんな中で、ある女性が放ったひと言がこのセリフです。
言わずもがな、主語は「女」だけに限らないでしょう。非情に手前勝手な、心無い言い様ですが、妙に共感・納得できるものがあります。それは、自分を失って相手が負った心の傷が大きければ大きいほど、相手にとっての自分の存在(自分への恋慕や愛情)が大きいことに他ならないからです。自分が相対的に持ち上がるからです。
実に残酷な心情をぬけぬけとあからさまに言い表したセリフですが、老若男女問わず、人間なんてすべからくそんな生きもの、と達観したくなるような名言です。
そして、上述の、真弓の「それ以上踏み込まないのが都会の流儀」、安さんの「何も言わず、何も聞かずが好きだから」というスタイルやスタンスは、恋愛に傷つかないための防御的な知恵として、編み出されたのかもしれません。
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