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旅の重さ

公開年月日
1972年10月28日
キャスト
高橋洋子
高橋悦史
横山リエ
砂塚秀夫
秋吉久美子
岸田今日子
三國連太郎
スタッフ
原作:素九鬼子
脚本:石森史郎
監督:斎藤耕一
撮影:坂本典隆
照明:津吹正
美術:芳野尹孝
音楽:よしだたくろう
区分
邦画
ジャンル
青春もの
人間ドラマ
本編尺
91分
カラー
カラー
製作国
日本
製作年
1972年

Introduction(作品紹介/概要)

旅を通して少女が大人になる様を描く、青春ロードムービー。主演の高橋洋子はオーディションで選ばれた。秋吉久美子は同オーディションで2位となり、別役で出演して本作がデビュー作となる。数多くの男性の出入りが激しい母親に嫌気が差した16歳の娘が突然の家出。そんな娘の四国遍路の旅を通して、さまざまな経験や出会いから彼女が自らを見つめ直していく姿を描く。よしだたくろうの「今日までそして明日から」が主題歌に。

Story(あらすじ)

16歳の少女(高橋洋子)が、貧しい絵かきで男出入りの多い母(岸田今日子)と女ふたりの家庭や学校生活が憂うつになり、家を飛び出して四国遍路の白装束で四国を廻る旅に出る。足摺岬の近くで出会った旅芸人・松田国太郎(三國連太郎)一座に加わったり、魚の行商人・木村(高橋悦史)に助けられ、家に厄介になるが、博打で木村が警察につかまったりと、数奇な体験と冒険をしながら大人にめざめていく姿を、詩情豊かに描いた意欲作。

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「旅の重さ」のちょっといいセリフ

あの…そっちへ行っていい?

セリフを選んだ理由
父親を知らない16歳の少女(高橋洋子)は、男にだらしがない絵描きの母親(岸田今日子)に辟易し、家出を決行、独り行くあてのない旅を始めます。しかし、旅の途上でさまざまな出会いや別れを経験しつつも、ついに栄養失調で行き倒れてしまいました。
そんな少女を拾って看病したのは、独り身の行商を営む朴訥とした木村(高橋悦史)という男でした。木村による看病の甲斐あって回復した少女は、看病してくれたことへの恩返しをすべく、木村の家に居付き、二人で暮し始めます。父親ほどに歳の離れた、無口で言葉少なく多くを語らない男の世話をして暮らす中で、つい木村に、知らずに育った父親の姿を夢想、父性への憧憬を投影してしまいます。
このセリフは、少女が、知らずに育った父性を、父の温もりを希求するあまり、隣りに敷いた布団で寝ている木村に、同じ布団で一緒に寝たいと、勇気を出して口にしてみた、ある種愛の告白にも似た言葉です。ちなみにもし筆者(中年男性)が言われたら、どう返答するか想像がつきませんが、少なくともドキドキゾクゾクするに違いありません。
そもそも母親の、母性よりもあまりに「女」の部分が強すぎる姿、それに翻弄される生活を嫌っての家出の旅、少女が父性を強く求めるのは当然の帰結でしょう。そして、そんな少女の懇願に男は戸惑い、困惑、狼狽するも、その一方で、今まさに少女から大人の女へと成長する過程の真っ只中にある、少女の肉体の眩しくも瑞々しい魅力に、やがて男が「異性」すなわち「女」を感じ始めるのも時間の問題でした。これも当然の帰結でしょう。
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