
©1964 松竹株式会社
夜の片鱗
- 公開年月日
- 1964年1月11日
- キャスト
- 桑野みゆき
平幹二朗
園井啓介
岩本多代
富永美沙子
広村芳子
松原浩二
田中晋二
千石規子
河野秋武
中村美代子
- スタッフ
- 原作:太田經子
脚本:権藤利英
監督:中村登
撮影:成島東一郎
照明:田村晃雄
美術:佐藤公信
音楽:日暮雅信
- 区分
- 邦画
- ジャンル
-
人間ドラマ
- 本編尺
- 106分
- カラー
- カラー
- 製作国
- 日本
- 製作年
- 1964年
Introduction(作品紹介/概要)
娼婦が生まれるとき・・・そして、自由な女にかえるとき・・・。
松竹の映画黄金期を支えた名匠・中村登監督が描く美しき色彩と叙情的な世界の異色文芸作。
Story(あらすじ)
19歳の芳江(桑野みゆき)は、工場で働くかたわら、夜はバーに勤めていた。そこで知り合ったサラリーマンの英次(平幹二朗)に人生を託して身体を許したが、実は彼はヤクザ組織に身を置いていた。やがて金を無心するだけでなく、売春を強要するようになった英次に耐えきれなくなった芳江は逃げ出そうとするが・・・。
「夜の片鱗」を見る
ご自宅で、ゆっくり何度でも。
「夜の片鱗」のちょっといいセリフ
行かなくては。
止まっちゃいけない。
- セリフを選んだ理由
- 昼は工場、夜はバーで働く19歳の芳江(桑野みゆき)は、駆け出しのヤクザ組織の下っ端・英次(平幹二郎)の情婦となった。惚れた弱みか、組織への上納金の無心など英次の頼みを断れない芳江。一方でうだつの上がらない日々を送る英次は組織での出世も叶わず、単なる芳江のヒモに成り下がっていた。やがて英次の鬼畜っぷりはエスカレートし、遂には芳江に売春を強要するようになった。さすがに気持ちも肉体も悲鳴を上げ耐えきれなくなる芳江。しかし、英次がどうしようもない男と知りつつ離れることのできない複雑な心理に揺れ動き翻弄され、結局逃げだすことができない。そんなただひたすらに堕ちていく日々の中、建築技師の藤井(園井啓介)と出会う。芳江に惚れた藤井は、なんとかして芳江を救い出し、自分の転勤先に連れて行き、結婚して幸せに導こうとするが…。
このセリフは、そんな藤井の求愛に応えたい、すなわち英次との地獄のような日々から脱出したい気持ちを必死に自分に言い聞かせる芳江の心の叫びです。しかし、英次により消えない焼き印を刻まれたかのような芳江は、まるで薬物中毒からの脱却さながらに苦悶するのです。また、英次との関係は救われようの無い共依存の域に達していたとも見ることができます。良くも悪くも、男女の関係は簡単には断ち切れない、理屈では説明できないような抗い難い引力により否応なく結び付けられ、人はそれを時に優しく「腐れ縁」と言ったり、時に厳しく辛辣に「呪縛」と突き放したりします。とにかく、強く結びついてしまった悪しき関係の切断には、このセリフのような強い気持ちが、最低限必要なのです。