©1948松竹株式会社
破戒
- 公開年月日
- 1948年12月6日
- キャスト
- 池部良
桂木洋子
滝沢修
宇野重吉
山内明
薄田研二
- スタッフ
- 原作:島崎藤村
脚色:久板栄二郎
監督:木下惠介
撮影:楠田浩之
照明:村田政雄
美術:本木勇
音楽:木下忠司
- 区分
- 邦画
- ジャンル
-
人間ドラマ
- 本編尺
- 99分
- カラー
- モノクロ
- 製作国
- 日本
Introduction(作品紹介/概要)
文豪・島崎藤村の名作文学の映画化。もともとは東宝で企画されていたものが製作不可能となり、代わって松竹京都で実現となったもの。京都と大船、松竹撮影所の東西一元化による演出家交流の第一弾として木下惠介が監督に抜擢され、初の京都撮影所での演出ともなった。また、ここで彼は脚本の久板栄二郎の進言を受け入れ、あえて原作を読まずに脚本のイメージだけで演出するという方法論を採ることで、自身の色を明確に描出。千曲川の美しい自然を背景に、問題提起よりも若者なら誰しも内包する人生の苦悩そのものを抒情的に綴ることに成功している。
1948年11月30日 国際劇場にて先行公開
Story(あらすじ)
巷はあげて自由と平等が叫ばれている文明開花の世の中。しかし因習と偏見は、なお多くの人の心をとらえて放さなかった。水清い千曲川のほとり、ここ飯山町に、夢多い青春を何故か悲しみ、ひと知れず秘密をいだいて陰多い日を送る一青年がいた。彼の名は瀬川丑松(池部良)、当年二十四歳、新しい教育理念に目覚めて教鞭をとる身であった。だがその秘密、それは彼が「部落」の出であるという事であった。同僚の土屋銀之助(森雅之)は師範時代からの心を許し合った友で、当時の階級差別感を説く部落出の論客猪後蓮太郎(滝沢修)に心酔している一青年であったが、その友にすら彼は真実を語れなかった。遠い山奥に一人、息子の出世を夢見てさびしく明暮を送っている父の「隠せ!」「身分を打明けるな」という叱咤は幾度の苦悩の果てにも、頑として彼にこの秘密のきずなをとかなかった。丑松と一緒に蓮華寺に下宿していたお志保(桂木洋子)は、彼と同じ教鞭をとる風間老(菅井一郎)の先妻の娘であった。風間は退職を言渡された今となっても「おれは士族だ」と誇示し、明日の糧を求めようとしない。恋した父の様を見るにつけお志保はかえって身分に対する言い様のない反感に憎悪を催すのであった。心の友、そして相引かれる人の進歩的な気持ちに丑松はますます悩まなければならなかった。こうした時父の訃報がもたらされた。
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