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明日は日本晴れ

公開年月日
1948年12月7日
キャスト
水島道太郎
三谷幸子
国友和歌子
日守新一
スタッフ
脚本:清水宏
監督:清水宏
区分
邦画
ジャンル
人間ドラマ
本編尺
65分
カラー
モノクロ
製作国
日本
製作年
1948年

Introduction(作品紹介/概要)

さきに『蜂の巣の子供たち』を製作した清水宏が、松竹における『狐と狸とおかめ』を一時中止してかかった戦後の第二作である。この映画は町と温泉町をつなぐバスの中の物語で、旧作「有難うさん」で実験ずみのオールロケーション映画、撮影は杉山公平が担当、京都近郊の山峡が舞台にえらばれる。キャストは、水島道太郎と三谷幸子、日守新一このほか、久方ぶりの国友和歌子、荒木忍のほか多数の素人俳優が配役に加わっているのが特色である。オリジナルタイトルは「秋」。東宝が配給している。

Story(あらすじ)

そう涼の秋、今日も山峡の温泉町からボロボロの乗合バスが町の駅へ七曲がりの峠をあえいで登っている。イキのいいヤミ屋、重税を嘆く山主(坂田源次郎)、とりあげに急ぐ産婆(石原ミドリ)、カンの良いあん摩の福市(日守新一)など。そのバックミラーにうつる人生をよそに運転手木野清次(水島道太郎)は黙々とハンドルを動かしている。車掌の柳田サチ(三谷幸子)だけは清次の傍に立っている時間がたのしい。バックミラーにふと映った都会のにおいを持った女のまなざしがサチの心を不安にした。「噂によく出るワカさん(国友和歌子)じゃない?」清次の表情は動かない。乗客たちが案じた通りこのボロバスは見事に故障してしまった。乗客達はてんでばらばら自分の御都合を算じ始める。車体の下にもぐりこんだ清次は、あせっている人々も一向に眼中なく、のんびりと「修理の見込みは立ちません」という。一人二人客は歩き出した。みんなじりじりしている。中にはこすい占師(間山政次郎)も、人生をロハで渡る浮浪児(上田秀男)もいた。ただ一人都会から来たワカだけが六年振りの故郷のにおいにじっと動かない。救援バスを待つよりほか術はないという清次の宣言に、運賃払い戻し悪くないと歩きだした占師が、算用をかえて帰ると、ワカはうるさそうに車外に出た。泣いている娘がある。戦争で孤児になりこの近在に引取られた娘だが、やはり東京が恋しく家出して行く途中だ。福市の人を喰った話術をもってしても娘はだまっている。そして娘が淋しく歩き出すと、ワカは黙って脱いだセーターを娘にやり、じっとその姿を見送っている。

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