広い天

公開年月日: 1959年4月14日

キャスト: 真藤孝行
井川邦子
山内明
伊藤雄之助
九条映子

スタッフ: 原作：獅子文六
監督：野崎正郎
脚色：柳井隆雄
音楽：池田正義
撮影：森田俊保

区分: 邦画

ジャンル: 人間ドラマ

本編尺: 79分

カラー: モノクロ

製作国: 日本

製作年: 1959年

Introduction（作品紹介/概要）

獅子文六の同名小説の映画化で、空襲で母と別れた少年の物語。柳井隆雄が脚色し、野崎正郎が監督した。撮影は森田俊保が担当。

Story（あらすじ）

昭和二十年、生々しい戦災のさなか新太郎少年（真藤孝行）は父の郷里、広島へ疎開するため東海道を走っていた。父健三（山内明）が外地に出征していたので母春子（井川邦子）の働きでは生活が苦しかったのである。ところが途中列車が空襲のため、急停車した。逃げる途中新太郎は大切な紙片を紛失してしまった。困惑する新太郎を慰めたのは車中で知り合った顔の長い小杉朝雲（伊藤雄之助）であった。朝雲は「地面は暗いが、空はあんなに明るく広い。星を見ていると戦争が馬鹿らしくなる。元気を出せ！」と云って励ました。始めはなじまなかった新太郎もなついて、二人は仲良しになり、二人で朝雲の田舎四国へ向かった。四国では朝雲の兄夫婦（松本克平、水上令子）が新太郎を快く迎えず、自分達の子供とは別扱いに辛い百姓仕事をさせるのだった。東京っ子だからと云ってとかく苛められる新太郎をかばってくれたのは長女のよし子（九條映子）だけだった。やがて戦争が終わった。居候の体をもてあましていた朝雲の顔が急に輝いて来た。眼をみはる新太郎の前で朝雲が古い布包みからとり出したのは数本のノミだった。彼は彫刻家だったのである。数日後朝雲は新太郎をモデルに見事な作品を完成した。題して「広い天」。朝雲がその作品をもって上野の展覧会に向かった後、一人残された新太郎は冷遇に耐えかねてコッソリ家出した。しかし無一文のため、大阪行の闇船の船長（磯野秋雄）にペテンにかけられていた。朝雲の「広い天」の評判はすばらしかった。取材に来たカメラマンに新太郎の父田山健三がいた。田山が持ち帰った「広い天」の写真が春子の目にとまり夫婦は親子のめぐり合いに喜んだ。