梅雨到来!雨のシーンが印象的な映画9選

どんよりとした曇り空が続き、心までどこか沈みがちになる梅雨の季節。外出が億劫になる雨の日こそ、おうちで銀幕が紡いできた極上のドラマにどっぷりと浸ってみませんか?
映画において「雨」は、単なる気象現象ではありません。登場人物の切ない恋心を映し出し、時に過酷な運命を激しく揺さぶり、あるいは人間の隠された本性をあぶり出す、物語の運命を握る重要な演出となります。そこで今回は、数ある名作の中から、雨のシーンが心に深く残る映画9選をご紹介します。
映画史に名を残す不朽のメロドラマや国民的人情劇から、人間の心の深淵に迫る重厚なミステリー・サスペンス、そして大切な人を一途に想う姿に涙する純愛ストーリーまで。激しい豪雨やしっとりと降る雨の音をBGMにしながらじっくりと味わいたい、世代を超えて胸を打つ贅沢なラインナップをお届けします。

特集作品

君の名は 第1部
昭和20年5月24日の東京大空襲の夜、数寄屋橋の上で互いに命を助け合った若い男女後宮春樹(佐田啓二)と氏家真知子(岸惠子)は、半年後の24日の夜、この橋の上で再会しようと約束した。青年は別れ際「君の名は」と聞いたが、彼女は名を言わず立ち去った。しかし約束の夜、真知子は遂に現われなかった。彼女は頑迷な叔父の強制で縁談の為、佐渡ケ島に滞在していたのだ。そこの料亭ひさご家の娘・綾の協力で、やがて真知子は春樹を探し求めるが、ようよう尋ね当てた春樹の姉で戦争未亡人の悠起枝(月丘夢路)もなぜか冷ややかであった。一年後の24日の晩遂に二人は再会したが、それは真知子が浜口勝則と結婚する前日でもあった。勝則と結婚した真知子の生活はうまくゆかなかった。姑は意地悪く、勝則は春樹との間を疑った。その頃綾は上京して、ある宴会の席で勝則に会い、真知子の不幸を打ち明けるが、綾も何となく春樹に惹かれるのだった。しかし春樹は新課長に転任してきた勝則に失職させられる。真知子は夫の卑劣な態度に我慢がならず、春樹の下宿へ詑びに行くが、姑に目撃されて遂に浜口家を飛びだす。数日後、彼女は佐渡ケ島の叔父の家の病床にあった。彼女は離婚を決意するが、既に勝則の子を宿していた…。

張込み
暑い夏、柚木・下岡の両刑事は佐賀へ向かった。逃亡した深川質屋殺しの二人組みの一人・石井を逮捕するためである。主犯の供述では石井が別れた女・さだ子に会いたがっていたという。わずかな可能性に賭け、さだ子の住む佐賀で両刑事は張込みを始める。九州の果てまでも凶悪犯を追って苦闘する刑事の姿をスリルとサスペンスをヒューマニズムをもって描く、野村芳太郎監督の本格的刑事ドラマ。

男はつらいよ 寅次郎相合い傘(第15作)
青森で知り合った中年男・兵藤謙次郎(船越英二)と旅を続ける寅さんは、函館のラーメン屋の屋台で、なんとリリー(浅丘ルリ子)と再会を果す。初夏の北海道で、気ままな道中を楽しむ三人。兵藤は、小樽で初恋の信子(岩崎加根子)に一目だけ逢おうとするが、それを“男の甘え”とリリーは寅さんに当たって、二人は大げんか。そのままリリーと別れた寅さんは、リリーのことが気がかりな毎日。そんなある日、リリーが柴又へとやってきて…。

遙かなる山の呼び声
北海道中標津。民子(倍賞千恵子)は、一人息子・武志(吉岡秀隆)を育てながら、亡夫が残した牧場を経営していた。冬、激しい雨が降る夜、一夜の宿を求めて一人の男(高倉健)が訪ねてきた。男は納屋に泊まり、牛のお産を手伝い、翌朝出ていった。 そして夏、男が再び訪れ、働かせてほしいと民子に頼んできた。しかし、田島耕作と名乗る男は、過去を一切語ろうとはしなかった。

震える舌
東京の郊外の団地に三好昭と妻の邦江、娘の昌子の三人家族は住んでいる。その付近には、まだ葦の繁みがあり、昌子は湿地の泥の中を蝶を追って捕虫網をふりまわしていた。昌子はすんでのところで珍しい蝶を取り逃がしてしまった。その晩、昌子は夢を見た。蝶がぐんぐん自分に迫り、目の中に飛び込んで来た。「こわいよ」と叫ぶ昌子。かけつけてきた昭は、ぞっとする何かを感じ、身震いするのだった。
数日後、邦江は昌子の小さな異常に気づいた。食事中、昌子は食物をポロポロこぼし、トイレに立った後姿は鵞鳥のような歩き方をしている。風邪かなと邦江は心配した。しかし、その直後、昌子は絶叫をあげて倒れた。白い歯の間に小さな赤い舌がはさまってもがいていた。邦江は舌をはずそうとするが、昌子の顎はけいれんして動かない。救急車で病院へ運ばれる途中も、昌子の発作は続いた。舌を噛まないように差し込んだ昭の指はくい破られ、血が吹きだしていた。
大学病院で、昌子は医師団に裸にされ、何時間も調べられた。「テタナスだ!」と叫ぶ医師たち。テタナスとは、幾億年も昔、まだ人類などいない頃、地球に存在した微生物だ。酸素を嫌うこの微生物は、その後絶滅したかに思われたが、湿地の泥の中や鉄のサビの中など、酸素の少ない場所にじっとひそんでいたのだ。テタナスは、ほんの僅かな傷口から人間の体内に侵入し、二〇グラムで日本を絶滅させるという。そのテタナスが昌子の体の中に凄みついたのだ。
テタナスに対抗するためには光と音を遮断することが絶対に必要であるという。昌子は暗い病室の中でビニールの酸素テントをかぶされ、ベッドの枠に手足を縛りつけられている。噛み合った歯はへし折れ、金属のエア・ウェイがくわえさせられている。昌子はうめき声をあげ、体を弓なりに反らせる。これ以上反ったら、背骨が折れてしまう。昭、邦江の不眠の数日が続く。もうろうとする昭の頭に「昌子に噛まれた指の傷から、奴等が入り込んだのでは」という恐怖が生まれた。邦江も「わたし、うつっちゃった。死んでしまうんだわ」と妄想に取りつかれた。今、三人の親娘は完全にテタナスのとりことなっていた。平和な家庭は、一転して、底知れぬ地獄の中に投げこまれてしまったのだ。

はじまりのみち
時は戦中。映画界に政府から戦意高揚の国策映画づくりが要求された時代。木下惠介が昭和19年に監督した『陸軍』は、その役割を果たしていないとして当局から睨まれ、次の映画の製作を中止にさせられてしまう。すっかり嫌気がさした木下は松竹に辞表を提出、脳溢血で倒れた母、たまが療養している浜松市の気賀に向かう。失意の中、たまに「これからは木下惠介から本名の木下正吉に戻る」と告げる惠介。戦局はいよいよ悪化の一途をたどり、気賀も安心の場所ではなくなる。惠介は、山間の気田に疎開することを決め、その夏、一台のリヤカーに寝たままの母を、もう一台には身の回り品を乗せ、兄と、頼んだ「便利屋さん」と自分の三人で、夜中の十二時に気賀を出発し山越えをする。十七時間歩き通し、激しい雨の中リヤカーを引く三人。ようやく見つけた宿で、母の顔の泥をぬぐう惠介。疎開先に落ち着いて数日後、惠介はたまから一通の手紙を渡される。たどたどしい文字で書かれたその手紙の言葉とは…。

一週間フレンズ。
高校2年の長谷祐樹(山崎賢人)は、初めて会った日から惹かれていた同級生・藤宮香織(川口春奈)に、思い切って「友達になって下さい」と声をかける。が、香織は必死で祐樹を拒む。実は彼女には、”友達のことを一週間で忘れてしまう”という記憶障害があった。それでも香織のそばにいたいと願い、毎週月曜日、記憶がリセットされるたびに、香織に会いに行く祐樹。二人は交換日記を始めて、少しづつ距離を縮めていく。そんなある日、香織の過去を知る転入生が現れて…。

8年越しの花嫁 奇跡の実話
結婚を約束したカップル、尚志(佐藤健)と麻衣(土屋太鳳)。結婚式を間近に控え幸せ絶頂だったある日、原因不明の病が突然麻衣を襲い、意識不明となってしまう。いつ目が覚めるかわからない状態に、麻衣の両親(薬師丸ひろ子、杉本哲太)からは「もう麻衣のことは忘れてほしい」と言われるが、尚志は諦めず麻衣の側で回復を祈り続ける。長い年月の末、ようやく麻衣は目を覚ますが、さらなる試練が二人を待ち受けていた。そして二人が結婚を約束してから8年、ついに最高の奇跡が訪れる―。

ある男
弁護士の城戸は、依頼者の里枝から、亡くなった夫「大祐」の身元調査という奇妙な相談を受ける。里枝は離婚を経て、子供を連れて故郷に戻り、やがて出会う「大祐」と再婚。新たに生まれた子供と四人で幸せな家庭を築いていたが、ある日彼が不慮の事故で命を落としてしまう。悲しみに暮れる中、長年疎遠になっていた大祐の兄・恭一が法要に訪れ、遺影を見ると「これ大祐じゃないです」と衝撃の事実を告げる。愛したはずの夫は、名前もわからない全くの別人だったのだ…。
「大祐」として生きた「ある男」はいったい誰だったのか。「ある男」の正体を追い”真実”に近づくにつれていつしか城戸の心に別人として生きた男への複雑な思いが生まれていくー。