- テーマ別
【2024年版】動物映画でリラックス!心が癒される松竹作品13選
2024.04.16
はじめに
SNSの発達や多様化する社会の要請などで、コミュニケーションが複雑化している昨今。人と人とのつながり に煩わしさを感じることも多いのではないでしょうか。
そんな時に癒やしを与えてくれるのが、動物映画です。ただ無償の愛情を注ぎ、無償の愛情をうけとる。言葉ではないその関係に、悩ましい人間関係の袋小路から抜け出すヒントを見いだせるかもしれません。
松竹ではおうちで楽しめるDVDを販売しています。公式サイトからぜひチェックしてみてください。
なぜ動物映画は人気があるのか
日本には映画史に残る動物映画の大ヒット作が多数あります。普段から劇場に足を運ぶ映画ファンはもちろんですが、動物映画は「動物好き」も含めた、より幅広い観客に支持されているようです。それはいったいどうしてなのでしょうか?
人間の本能に働きかける、かわいさ 、愛らしさ
小さいこと、柔らかいこと、全体的に丸いフォルムであること、ふわふわであること……動物行動学によれば、そうした身体的特徴は「ベビースキーマー」と呼ばれ、人間が思わず「かわいい」と思ってしまい、保護せずにはいられないものだそうです。
人間の赤ちゃんはもちろんですが、動物は赤ちゃんのみならずこうした特徴を多く持っているもの。そうした「かわいさ」を画面いっぱいに捉えた動物映画は、日々抱える多くの煩わしさを吹き飛ばしてくれるものばかりです。
人間が忘れていた「尊い何か」を思い出させてくれる
人間と動物は、言葉での直接的なコミュニケーションはとることはできませんが、動物映画は「それでも相手を理解したい」「相手と通じ合いたい」という思いが実現されるまでの努力と過程、そしてそれに対して嘘偽りなく応じてくれる動物たちの姿を描いてくれます。
人間が無償の愛を注げば、動物は必ず応えてくれ、裏切ることは決してありません。人間よりも短命ゆえに、誕生から死までの一生によって、人間が日常の中で忘れがちなことを思い出させてくれる存在でもあるのです。
松竹担当者が選ぶ動物映画13選
松竹映画が生み出した動物映画には、私たちの身近にいるペットの犬や猫との関係だけでなく、野生のキタキツネやパンダなど様々な作品があります。
実話ベースの作品も多く、その感動は決して作り物ではありません。記憶に残る大ヒット作から、知られざるドキュメンタリーまで、13本をご紹介します。
1. ハチ公物語(1987年)
飼い犬との辛い死別を経験した大学教授の上野のもとに、教え子から生まれたばかりの秋田犬の子犬が届く。躊躇しながらも受け入れられた子犬はハチと名付けられ、教授の愛を一身に受けて成長、いつしか大学に通う教授を渋谷駅へと送り迎えまでするように。ところがある日、大学で倒れた教授は、そのまま帰らぬ人になり……。
渋谷駅前で9年間も主人を待ち続けた、誰もが知る実在の忠犬の物語を映画化。大きなハチを抱きかかえ、膝枕で手づから蚤を取り、嵐の夜には家に入れ、自分の布団に犬をくるんで寝かせてしまう教授の微笑ましい溺愛ぶりから一転、他の誰を頼ることもなく、帰らぬ教授をひたすらに待ち続けるハチの痛々しいまでの愛情に胸を突かれる。
作品情報
公開(年):1987年
ジャンル :ドラマ
監督 :神山征二郎
キャスト :仲代達矢、八千草薫、石野真子、柳葉敏郎
上映時間 :107分
2. クイール(2004年)
飼い主・水戸の願いで、盲導犬の訓練士・多和田に託された生まれたての子犬。お腹に十字形の小さな斑があることからクイール(羽)と名付けられた子犬は、パピーウォーカー・仁井夫妻のもとで愛情いっぱいの1年を過ごした後、訓練センターでの訓練を経て盲導犬に。初めてのパートナーである視覚障害者の渡辺は盲導犬を信用していなかったが、やがてクイールは彼にとってかけがえのない存在になってゆく。
ある犬を主人公に、盲導犬の知られざる生涯をドキュメンタリーのように描いた作品。クイールが経験する出会いと別れを過剰なドラマとして描くことはしないが、そこにあった絆は優しさとともに心に残り、その生涯が何にも代えがたいものだったことを感じさせる。
作品情報
公開(年):2004年
ジャンル :動物もの、人間ドラマ
監督 :崔洋一
キャスト :小林薫、椎名桔平、香川照之、寺島しのぶ、名取裕子
上映時間 :100分
3. 犬と私の10の約束(2008年)
犬から人への願い事という形で綴られた短編詩“犬の十戒”をモチーフに、犬と少女との10年間に渡る絆を綴った感動作。函館で暮らす少女・あかりは、ある日庭に迷い込んできたゴールデン・レトリーバーの子犬を飼うことに。
病気療養中の母は、靴下を履いたようなその前足を見て「ソックス」と名付け、「飼い主と犬の10の約束」をあかりに教える。
母の急死、父の転職、友達との別れと再会、夢と仕事……人生の様々な岐路を経て様々に変化してゆくソックスとの関係には、ペットを飼ったことがある誰もが経験する笑いと涙と無償の愛情が。約束を守ることの大変さと引き換えに、それでも動物を飼うことがくれるものの大きさを教えてくれる。
作品情報
公開(年):2008年
ジャンル :動物もの、人間ドラマ
監督 :本木克英
キャスト :田中麗奈、加瀬亮、福田麻由子、池脇千鶴、豊川悦司
上映時間 :117分
4. ひまわりと子犬の7日間(2013年)
保健所で働く傍ら、保護した犬の命を一匹でも多く救うための里親探しに奔走する神崎。そんな中、3匹の子犬を産んだばかりの母親犬を保護する。
保護された母犬の大半が子育てを放棄するにもかかわらず、子犬を守るために必死で人間を威嚇し続ける母犬に心を打たれた神崎は、母犬を「ひまわり」と名付け、再び人間が信頼できるよう心を砕くが、殺処分までの期限は刻一刻と近づき……。
宮崎県の保護活動家、山下由美が記録した、ある保護犬親子を救った管理職員の20日の実話「奇跡の母子犬」を原案に映画化。ひまわりが歩んできた道のりの過酷さ、人間が生み出した保護動物の現実など、ペットを飼おうと思う人が知っておきたい現実も描かれている。
作品情報
公開(年):2013年
ジャンル :動物もの、ドラマ
監督 :平松恵美子
キャスト :堺雅人、中谷美紀、でんでん、若林正恭(オードリー)、吉行和子
上映時間 :117分
5. きな子~見習い警察犬の物語~(2010年)
警察犬訓練士だった亡き父に憧れ、訓練所に就職した杏子。生まれたばかりのラブラドール・レトリーバーのきな子と出会い、「警察犬に育てる」と宣言する。
訓練中についつい蝶々をおいかけてしまうような、警察犬の適性がまるでないポケッとしたきな子と、「立派な訓練士になりたい」という情熱だけで先走り、空回りしっぱなしの杏子が、互いを見捨てずに寄り添いあい、くじけながらも一緒に成長していくまでを描く。
ダメ見習い犬としてアイドルになったきな子が、サンタクロース、一日警察署長、観光列車の車掌、股旅三度笠など、子供に囲まれながら見せる様々なコスプレにもほのぼのとした気持ちに。
作品情報
公開(年):2010年
ジャンル :動物もの、ドラマ
監督 :小林義則
キャスト :夏帆、寺脇康文、戸田菜穂、山本裕典
上映時間 :113分
6. 旅猫リポート(2018年)
車に轢かれて大怪我をした野良猫を助け、ナナと名付けて一緒に暮らし始めた心優しい青年・悟。だがある事情からナナを手放さなければいけなくなった悟は、かつての友人たちを訪ね歩く。
ナナを筆頭に、最も辛い経験をした小学校時代に寄り添ってくれた鉢割れ(はちわれ)猫のハチ、友人の飼い犬の虎丸と飼い猫のナナ、高校時代に保護した野良犬……などなど様々な動物たちが登場し、人間にはわからない言葉でユーモアたっぷりに会話がかわされる。
友人たちとの思い出によって紐解かれてゆく悟の過酷な人生が、寄り添ってくれた様々な動物によって支えられてきたことにも感涙。原作は有川浩の人気小説。人気女優の高畑充希がナナの声を担当。
作品情報
公開(年):2018年
ジャンル :動物もの、ドラマ
監督 :三木康一郎
キャスト :福士蒼汰、高畑充希、広瀬アリス、大野拓朗、山本涼介
上映時間 :118分
7. 子ぎつねヘレン(2006年)
母子家庭に育った太一は、世界を飛び回るカメラマンの母により、その友人で北海道の獣医・矢島のもとに預けられる。孤独な太一を慰めたのは、道端にうずくまるキタキツネの子供だった。
目と耳が不自由な狐に、ヘレン・ケラーから「ヘレン」と名付けた太一は、「長くは生きられない」と安楽死させようとする矢島を押し切り、母親代わりとして世話をするが……。
獣医である竹田津実の実体験を描いたベストセラーを映画化。どう撮影したのか不思議なほど大人しく愛らしいヘレンはもちろん、獣医のもとで暮らす様々な動物たちの表情豊かでコミカルな演技が楽しい。美しくも厳しい大自然と人間社会の身勝手さ、そこに生きる動物たちの命のどうしようもなさにラストは涙。
作品情報
公開(年):2006年
ジャンル :動物もの、人間ドラマ
監督 :河野圭太
キャスト :大沢たかお、松雪泰子、深澤嵐、吉田日出子、藤村俊二
上映時間 :108分
8. マリリンに逢いたい(1988年)
故郷・沖縄の阿嘉島で民宿を始めるために帰郷した大輔は、隣の座間味島で知人が営む民宿の宿泊客で、東京から来たカメラマン志望の皆美と出会う。
一方、大輔が東京から連れ帰った子犬のシロは、同じ民宿の飼い犬であるマリリンと仲良しに。地元の協力で民宿を建設、営業を始めた大輔は、成長したシロが3キロの海を泳いで渡り、頻繁にマリリンに会いに行っていることに気づき……。
恋に人生に、迷い、ためらい、とんでもないことまでやらかす人間たちを尻目に、マリリンに会いたいがためだけに、迷いも計算もなく海に飛び込み、荒波を超えて泳ぐシロの姿に胸が打たれる。
作品情報
公開(年):1988年
ジャンル :動物もの、ドラマ
監督 :すずきじゅんいち
キャスト :安田成美、加藤雅也、鈴木清順、三浦友和
上映時間 :112分
9. HACHI 約束の犬(2009年)
アメリカ郊外のベッドリッジ駅で、冬の夜に迷子の子犬を拾った音楽大学の教授ウィルソン。一時的な保護のつもりで里親を探すウィルソンだったが、二人は特別な愛情で結ばれてゆく。
日本では誰もが知る「ハチ公」の物語に惚れ込んだ俳優リチャード・ギアの製作により、舞台を現代のアメリカに置き換えて映画化。
町の人々や駅を利用する人々に見守られながら、帰らないウィルソンをひとり待ち続けるハチ公は、忠誠心、誇り高さ、気高さなど、西洋人が憧れる「日本的な美徳」を体現する存在に。
ハチ公の生涯を昇華するラストのエピソードは、『ハチ公物語』とは異なる温かい余韻を残す。監督は愛犬家として知られるラッセ・ハルストレム。
作品情報
公開(年):2009年
ジャンル :動物もの、ドラマ
監督 :ラッセ・ハルストレム
キャスト :リチャード・ギア、ジョーン・アレン、サラ・ローマ―、ケイリー=ヒロユキ・タガワ
上映時間 :93分
10. パンダフルライフ(2008年)
和歌山県の「アドベンチャーワールド」で生まれ育った双子の雄パンダ「シュウヒン&リュウヒン」は、結婚と繁殖のために母・メイメイの故郷である中国に帰ることに……。
「成都大熊繁殖基地」で実現した密着取材では、ジャイアントパンダの帰国の準備はどんなものか?年に3日しかない繁殖期間に行われる「パンダのお見合い」とは?双子が生まれても一匹しか育てない、パンダの想像妊娠、茶色のパンダの存在、大人になると孤独が必要などなど、パンダの知られざる世界が満載。
観光で大人気のパンダ幼稚園では、階段を転がり落ち、木から落下し、カメラに突進し……と好奇心満点かつ自由気ままで、よく食べよく飲み、コロンコロンと遊ぶ姿の癒やし効果も抜群。
作品情報
公開(年):2008年
ジャンル :動物もの
監督 :毛利匡
キャスト :菅野美穂(ナレーション)
上映時間 :100分
11. フランダースの犬 THE DOG OF FLANDERS(1997年)
19世紀のベルギー・フランダース地方で、おじいさんとふたりで暮らすネロは、絵を書くことが大好きな少年。暮らしは貧しいが、仲良しの少女アロアと愛犬パトラッシュとともに、貧しくも幸せな日々を送っている。だがそんな穏やかな暮らしは、おじいさんの急逝をきっかけに大きく変わってゆく……。
かつてパトラッシュを虐待し捨てた前の飼い主との再会から解決までの流れには、その後のネロに襲いかかる数々の不幸や、人々の理不尽な扱いにおいて、パトラッシュが決してネロから離れない理由が見える。ラストは誰もが知る号泣の展開だが、劇場版ではテレビのアニメ版にはなかった「アロアのその後」に穏やかな救いがある。
作品情報
公開(年):1997年
ジャンル :アニメ―ション
監督 :黒田昌郎
キャスト :津村まこと、丹下桜、八木光生、山本圭、岡江久美子、鈴木保奈美
上映時間 :103分
12. シュンマオ物語・タオタオ(1981年)
四川省の山奥で母親とともに平和に暮らしていた子パンダのタオタオ。ところがある日、山にやってきた人間たちに母親を殺されてしまう。そしてその4年後、成長したタオタオもまた人間の罠に捕らえられる。
長い過酷な旅路の末にヨーロッパの動物園にたどり着いたタオタオは、飼育係の女性メアリーと心を通わせながらも、故郷に帰りたいという気持ちが捨てられず……。
初の日中合作長編アニメーションは、『男はつらいよ』シリーズの山田洋次監督が初めてアニメ製作に参加した話題作。実写と二次元の作画をところどころ組み合わせた手法も斬新。昭和の中国アニメ独特の素朴な作画により、いきいきと動く動物たちが魅力的。
作品情報
公開(年):1981年
ジャンル :アニメーション
原案 :山田洋次
監督 :島村達雄
キャスト :大竹しのぶ、白石冬美、太宰久雄、倍賞千恵子、井上真樹夫
上映時間 :87分
13. ハラスのいた日々(1989年)
昭和40年代。子供のいない徳田夫妻のもとに、親類からの引っ越し祝いとして柴犬の子犬がやってきた。夫妻は「ハラス」と名付けた子犬を、我が子同然に慈しんで育ててゆく。映画が描くのは夫婦がハラスとともに過ごした日常だ。
大学教授である徳田の教え子の結婚、毎日の散歩で出会う犬たち、ハラスを知人に預け離れ離れになったドイツ留学、スキー場での休日、年老いて引退した夫婦とハラスに起きたある騒動……そこにはハラスがいなければ出会わなかった人々と人生がある。子犬のたまらないかわいさからペットロスまで、「動物と生きること」を過剰な感情移入なしに描いた作品。
作品情報
公開(年):1989年
ジャンル :動物もの、ドラマ
監督 :栗山富夫
キャスト :加藤剛、十朱幸代、益岡徹、東野英治郎
上映時間 :106分
動物映画で癒されるなら、オンデマンドやDVDで!
動物映画を見るなら、DVDや動画配信サービスでゆっくりと。何度も繰り返して見たくなる動物のかわいさや、必ず訪れる別れの号泣場面も、遠慮なく楽しめます。
まとめ
動物と人間の絆、動物が生きる自然の世界、動物が与えてくれる安らぎなど、動物映画でしか得られない多くのテーマが描かれた作品たち。人間との関わりに疲れてしまった時は、いきいきと懸命に純粋に生きる動物たちの姿を通じて癒やされてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
渥美志保
ライター、コラムニスト。雑誌、WEB媒体、劇場用パンフレットなどで、エンタテイメント系のレビュー、インタビュー、コラムなどを執筆。「ELLE」「mi-mole」「yahoo!JAPAN」など連載多数。
※おすすめ作品は松竹の担当者が選びました。